銀座カンカン娘

劇場公開日:

解説

製作は「流星」「グッドバイ(1949)」の青柳信雄、脚本は「春の戯れ」につぐ山本嘉次郎と元日活協同プロダクション、プロデューサー、朝鮮映画製作部長をしていた中田晴康が戦後初の協同執筆、監督は「今日われ恋愛す」「グッドバイ(1949)」の島耕二、キャメラは「グッドバイ(1949)」の三村明がそれぞれ担当する。出演は「花くらべ狸御殿」「我輩は探偵でアル」につぐ灰田勝彦「グッドバイ(1949)」の高峰秀子のほか岸井明「結婚三銃士」の笠置シヅ子らが共演している。

1949年製作/68分/日本
配給:新東宝

ストーリー

落語家の新笑は、いまは引退して妻のおだいと、子供とささやかな生活を営んでいたそこへ居候として入ってきたのが、新笑が昔世話になったという恩人の娘お秋と、お秋の友人のお春だった。二人の明朗な娘達は朝から歌をうたって、おだいをイライラさせる。新笑の甥の武助は、会社の合唱隊を組織して歌に精進しているし、お春は声楽家、お秋は画家と、いずれも芸術家としての意欲にもえていた。しかし一文なしの娘達には、絵の具もピアノも買うことは出来ず、そうかといってブラブラといつまでも遊んでいる訳にも行かなかった。お秋が職さがしに出かけようとすると、おだいにポチを捨ててきてくれと頼まれてしまった。ポチをつれたお秋が捨場に迷っているとある映画会社のロケ隊に出会った。しかもその撮影に是非ポチと一しょに出てくれという話になり、一日だけエキストラとしてキャメラの前に立つことになった。撮影は進行して、女優の山田美恵が池の中に放り込まれることになって、ハタと困ってしまった。というのは山田嬢が、ガンとして承知しないのである。そこで代役を使うことになったので、お秋は早速お春をよんできて、代行させた。おかげで二人は千円という大金を手にすることが出来たのだった。そのエキストラで知り合った白井哲夫の世話で二人はバーで歌をうたうことになった。バーからバーへ毎夜銀座の裏から裏へ、白井の伴奏で三人は働いた。おかげでお秋もお春も、小ざっぱりした洋服と、いくらかの貯金も出来た。新笑の家では、生活も苦しく、しかも月一杯に十万円払い込まないと家を追いたてられると聞いて、恩返しはこの時とばかり、三人で十万円を送って新笑の苦境を救ったのだった。そのころから武助も会社をクビになったので三人の中に加って、武助とお秋、白井とお春の青春コンビは、カンカンブギウギのリズムと共に、親密さを増していった。新笑も引退しているような時代ではないと、再び落語家として第一線で活躍することになったその高座復帰のおひろめの夜は、急テンポで結ばれた、武助とお秋の婚礼ひ露の晩でもあったのだ。

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映画レビュー

2.0この時代の映画をよく知らないのですが

2020年12月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

一緒に観た『カルメン故郷に帰る』もそうだったけど、主人公たちがやたらと「芸術」について言及するのって当たり前のことだったのかな?と結構疑問だった。個人的にはそういう姿勢はすごく好きだし必要なことだと思うけれど、ちょっとセリフがキザっぽくなってしまうような。
笠置シヅ子がめちゃくちゃ格好いい…

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ありきたりな女

4.0これはミュージカル映画だったのか!

2019年7月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 眼鏡をかけた高峰秀子。オーバーオールにベレー帽といった出で立ちで、絵を描いてる姿がかわいらしい。笠置シヅ子は着るものもろくに持ってなくて下着姿だったりする。落語家は5代目古今亭志ん生、その妻は浦部粂子だ。その甥である武助(灰田)も会社のリストラに遭い、彼女たちの音楽活動に参加するのだ。

 タイトル曲の銀座カンカン娘も歌う人により歌詞を変え、ジャズ風、ハワイアン風とアレンジもバラエティに富んでいて、なかなか面白い。最後には秋と武助が結婚するのだが、志ん生が落語で締めくくるという珍しいスタイルもよい。

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kossy

3.0☆☆☆★★ 明朗快活昭和歌謡ミュージカル。 監督は児童映画の名匠島...

2018年1月23日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆★★

明朗快活昭和歌謡ミュージカル。

監督は児童映画の名匠島耕ニ。
脚本には黒澤明の師匠山本嘉次郎。
撮影には名カメラマン三村明。

ファーストシーンは、画面奥から犬が手前に走って来る場面。以下、この犬がちょこちょこと活躍する。
すると来た〜稀代の愚痴愚痴女優浦辺粂子!
いきなり5代目志ん生師匠を相手にしての愚痴の数々で本領発揮(笑)

高峰秀子と笠置シズ子の楽しいデュオに。灰田勝彦が♫オーソーレミー♫を、♫何た〜ることだ〜♫と替え歌で歌う楽しさ。
この後、映画の撮影現場で出会った岸井明が加わり。彼が家に上がる度に物が落ちるギャグの数々…等、戦後直ぐで有るのにこの明るさは、現在考えると驚く。
それ程までに、♫銀座カンカン娘♫とゆう歌には。戦後復興の為に多くの日本人に、明るさと活力を与えた一因を担っていたのでしょうね。

初めは3人で歌っていた♫銀座カンカン娘♫も4人になり。2組に別れる事で、ブギウギ調とハワイアン調へと音楽的に変化。
当時はまだ東京タワーも無い時代。
まだまだ少ないビル。東京のどの辺りで撮影していたのか?は不明ですが。緑も田んぼも多く、住宅も疎ら。
戦後歌謡曲の資料同様に、戦後直ぐの東京を活写した風俗描写等の資料価値も高いと感じる。

惜しかったのは、高峰秀子と灰田勝彦がチンピラに絡まれる場面。
この時にもしも高峰秀子がギターを使い、チンピラ達を撃破していたら…。
あの『ローマの休日』が製作されるのは、この作品の4年後だけに…。
う〜ん!先取りした作品として世界中に宣伝出来たのかもなあ〜(u_u)

映画の最後は志ん生師匠が締める。
おそらく日本人の多くが、娯楽は先ずラジオからだったのでは?
戦後数年が経ち、やっと映画を観る余裕が出来た頃と思われる。
それまでラジオを通して楽しんでいたと思われる志ん生師匠の落語。
だからこそ志ん生師匠が映画の最後には相応しい…との脚本になったのではないだろうか。

「良し、貰った! はっきり貰った!」(^^)

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松井の天井直撃ホームラン

3.0オペレッタ風の歌あり落語あり、当時の平和を満喫する庶民の暮らしも伝...

2016年9月5日
iPhoneアプリから投稿

オペレッタ風の歌あり落語あり、当時の平和を満喫する庶民の暮らしも伝わってくる楽しい作品

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tsumumiki
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