kitchen キッチン(1997)

劇場公開日:

解説

孤独な若い女が奇妙な父子とのふれあいのなかで成長していく姿を描いたドラマ。吉本ばななのベストセラー『キッチン』『満月 キッチン2』を原作に、「息子の告発」「太陽に暴かれて」のイム・ホーが監督・脚本を手掛けて映画化。89年の森田芳光監督による映画化版「キッチン」(川原亜矢子、松田ケイジ、橋爪功主演)とはまた趣きが異なり、3人の関係に重点を置いた演出が見どころ。撮影は「ロアン・リンユイ 阮玲玉」のプーン・ハンサン。音楽は「息子の告発」「太陽に暴かれて」でもコンビを組んだ大友良英と、「太陽に暴かれて」の内橋和久。主演は「南京の基督」の富田靖子、「欲望の街 古惑仔」シリーズのチャン・シウチョン、「食神」などの個性派ロー・ガーイン。共演は「食神」のカレン・モクほか。97年第1回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞。

1997年製作/110分/香港・日本合作
原題または英題:我愛厨房/Aggie et Louie
配給:アミューズ
劇場公開日:1997年12月13日

ストーリー

アギー(富田靖子)はふたり暮らしをしていた最愛の祖母を亡くして、孤独な身に。葬儀で彼女はルイ(チャン・シウチョン)という見知らぬ青年に会う。ルイは遺影の前で泣き、アギーにしきりに話しかけるが、彼女は迷惑げにするだけだった。数日後。アパートから立ち退きを命じられて、ひとり台所の床に横たわるアギー。そこにルイが訪ねてきて、相変わらず無表情に応対する彼女に構わず、ルイは自分は美容師で祖母は常連客だったと語る。そんなふうに何度か訪ねてくるようになったルイは、ある日、冷蔵庫に入りこんでしまったアギーを見つけると、なかば強引に自分の家に連れ帰った。ルイはバーを切り盛りする母親エマ(ロー・ガーイェン)とふたり暮らし。二人は優しくアギーに接するが、アギーは心を閉ざしたまま、居間のソファに陣取る。ある晩。アギーがいなくなり、エマはルイと探しに出かける。アギーは街の夜景を望む高台の公園で月い向かって必死に手を伸ばしていた。それから三日三晩眠った後、ようやくアギーは口を開き始めた。3人の奇妙だが楽しい暮らしが始まった。アギーはお気に入りの場所“キッチン”で、もともと得意だった料理の勉強を始め、二人のために料理の腕を振るった。そんなアギーをルイのガールフレンドのジェニー(カレン・モク)が誤解し、アギーを平手打ちにするが、彼女はようやく生きる気力を取り戻そうとしていた。そんなある日。アギーはルイから、エマは実はルイの実の父親で、彼は最愛の妻を亡くした後、性転換してルイの母親になることを選んだと聞かされ、ショックを受ける。その晩、泥酔して帰ったエマのうわごとに、“彼女”の苦悩と愛情の深さを理解するアギー。アギーはやがて、料理の勉強に専念し、本当に自立するために二人と別れ、ひとり暮らしをはじめた。ところがその矢先、エマが殺されてしまう。彼女に真剣にプロポーズしていたチウ(ラウ・シウミン)が、真実を聞かされて怒り狂い、エマを刺し殺したのだった。ルイはエマの死に衝撃を受ける。アギーは見守るしかなかった。アギーはエマの親友からルイが中国の山奥に旅立ったと聞いて、思い余ってその店で評判のポークソテーを手にしてルイを追った。真夜中の宿。フェンスを乗り越えてポークソテーを届けにきたアギーと会ったルイはお互いの存在の大きさに驚いた。翌朝。アギーは香港に戻る。そのままとどまろうとしたルイだったが、彼はアギーの元へ戻ることを決心した。かくして、二人に新たな日々がはじまろうとしていた。

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