あにいもうと(1976)

劇場公開日:

解説

心の底では深く愛しあいながらも、互いに傷つけあい生きていく兄と妹の姿を描く、室生犀星の同名小説の3度目の映画化。脚本は「怪談」の水木洋子、監督は「小林多喜二」の今井正、撮影は「動脈列島」の原一民がそれぞれ担当。

1976年製作/88分/日本
原題または英題:Brother and Sister
配給:東宝
劇場公開日:1976年10月23日

ストーリー

ある夏の暑い日、川べりの家に、街の工場に住み込みで働きに出ていたもんが、妊娠して帰って来た。トラックの運転手をしている兄の伊之吉は、あらんかぎりの悪態をついてもんをののしった。かつて川の護岸工事の親方をしていたことを誇りに生きている、今は落ちぶれてしまった父の赤座もまた、もんを冷たく突き離した。口ごたえせずに耐えるもんをやさしくかばうのは、母のりきと妹のさんだった。ある日子供を堕ろせ、とつめよる伊之吉に我慢しきれないもんは、りきとさんが止めるのを振り切って家を飛び出した。以来、もんからの便りはとだえ、伊之吉は毎日のようにもんの写真を持って盛り場を捜し歩いた。その頃、もんはストリップ小屋で売子として暮していたが、些細なことから流産してしまった。ある日、もんを妊娠させた男、小畑が川べりの家を訪ねた。子供は堕ろしてくれたか、とたずねる小畑に赤座はすっかり失望し、もんが流産したことを伝え、家から追い出した。その小畑を伊之吉が帰る途中に掴まえ、殴り、蹴倒し、さんざんな目にあわせた。そして自分がもんを小さいころから可愛いがり、いかに大切な妹であるかを聞かせるのだった。一方、末の妹のさんには互いに好きあっている鯛一という男がいるのだが、彼が養子のためにひけ目を感じて、親のすすめる縁談を断わりきれず、さんの気持を裏切って結婚することになったのだった。流産してからのもんは水商売の世界を転々とした。派手なパラソル、炎のような髪の色、体の線を強調したドレス、きつい化粧。久しぶりに家に帰って来たもんは、もうどこから見ても商売女だった。それでも母や妹の前で土産を広げて雑談に興じている時は、昔ながらのもんにかえっていた。そこへ伊之吉が帰って来た。悪態をつく伊之吉を無視していたもんだが、伊之吉が小畑をさんざんな目にあわせたことを知ると、逆上して食ってかかるのだった。伊之吉は家を飛び出したが、土手を登る彼の頬を涙が伝わっていた。翌日、橋を渡って帰るもんとさんの後から、伊之吉のトラックが追いかけてきた。「バカ! どこへ行くんだ」「バカだけ余計だ」「早く、乗れ!」「乗ってやろう」兄と妹を乗せてトラックが走る。「帰って来るんだぞ! 遠くへ行くなよ……」ハンドルを握りながら、ポツリと言った伊之吉の言葉に、もんの顔が涙でくしゃくしゃになっていった……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0ビデオも無く地上派のみの昭和

2018年8月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

当時のメロドラマ的な作品

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ゆたぼー

3.5兄妹愛

2013年6月21日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

幸せ

これが3度目の映画化となる、鮮烈な兄妹愛の物語。1976年の作品。 今井正監督・水木洋子脚本のコンビなので、市川崑の名作「おとうと」のような文芸の香り漂う作品かと思ったら、退廃的でありながら若さ溢れる作品に仕上がっていた。 川べりで暮らす一家。父、母、長男、長女、次女の5人。 東京に出ていた長女が妊娠して戻ってくる。長男は散々なじり、長女は家を出る。長男は行方を捜す…。 顔を合わせれば喧嘩し互いを傷つけ合う長男と長女の兄妹。 その関係はただの深い兄妹愛ではなく、うっすら近親愛的な感情をも匂わせる。 長男が、長女を妊娠させた男に食ってかかるのは、惚れた女を弄んだ相手への妬みのように感じた。 不器用な兄の愛に妹が笑顔で応えるラストに、ほっこりさせられる。 気性の激しい長男を草刈正雄が熱演。長女の秋吉久美子は妖艶な魅力。次女の池上季実子も含め、若い! 頑固な父・大滝秀治は本作他でキネマ旬報助演男優賞受賞。

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近大