その『デビルマン』といえば永井豪。永井豪といえば石川県出身。この映画も金沢ロケがふんだんに用意されていました。さらに、奇妙な符合として、『デビルマン』にも出演していた嶋田久作と小倉一郎が見られることにも吉祥天の呪いなのか、因縁めいたものを感じてしまいます。ついでに言えば、津田寛治は福井県出身、勝地涼の祖父さんは石川県だ。
金沢及び、近郊のロケ地はロケ地マップで参照できますが、有名すぎるくらいの観光スポットよりも、地元の人間でさえ知らない場所を選んだのがとてもよかった。ロケ地も廻って見たい・・・そういう思いにもかられてしまうロケ地マップ。全てを廻るのはかなり厳しいでしょう。
舞台挨拶付きの上映。なぜか最前列のど真ん中の席。鈴木杏が目の前(3M以内)にいました。普通の女の子だ・・・しかし、なぜか魔性の目は映画と同様。さすがに目は合いませんでしたが、この杏ちゃんの目ヂカラに翻弄される男どもの気持ちもよくわかります。本編に入ると、巨大なスクリーンも眼前に現れるため、魔性の目ばかりを追っていると、金沢の風景を見逃してしまうのです。『舞妓haaaan!!!』と同じく、浅野川の梅の橋(舞妓では夢の橋でした)も出てきます。
映画としては風景や能をメインとしているせいなのか、動きを楽しむよりは叶小夜子(鈴木)を中心とした心理描写を楽しむべき内容。ポイントとして、襲いかかる不良高校生を一網打尽に殴り倒すアクションシーンや、12年前の神社火災事件の謎めいた映像があり、静と動、そしてサスペンスを対照的に描いていたように思います。
主演の鈴木杏はもちろん、勝地涼もとてもよかった。もっともポイントの高かった俳優は、謎めいた書生役の津田寛治。彼の演ずるキャラクターとしても、毒薬に絡んだ事件や小夜子との謎の関係が心地よく余韻として残りました。ただ、登場人物が多い割に軽い扱いになっていた市川実日子が残念でした。