そのときは彼によろしく
劇場公開日:2007年6月2日
解説
「いま、会いにゆきます」の原作者・市川拓司による同名小説を、長澤まさみ、山田孝之、塚本高史ら注目の若手俳優を主演に迎えて映画化したラブ・ストーリー。13年ぶりに再会を果たした幼なじみ3人の恋と友情を綴る。水草の店を営む智史の元に現われたトップモデルの鈴音。彼女が幼なじみの花梨だと知った智史は再会を喜びあい、もう1人の幼なじみである佑司に会いに行く。しかし佑司は事故で昏睡状態に陥っており……。
2007年製作/114分/日本
配給:東宝
スタッフ・キャスト
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2021年11月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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静かな静寂の中に、それぞれの大切なものがぎゅっと詰まった美しい映画でした。
幼い頃の3人だけの秘密基地をそっと水槽に閉じ込めたかのような、美しい水草たちが息を呑むほど繊細で綺麗で、この映画をより引き立たせてくれています。
キャストの演技も、映像も、間も良かったですし、また観たくなるような好きな映画です。
以下ネタバレ含みます。
秘密基地で時を過ごす3人花梨(長澤まさみ/黒田凛)、智史(山田孝之/深澤嵐)、佑司(塚本高史/桑代貴明)。
佑司がゴミの絵ばかり描いているのは、捨てられたものの気持ちが分かるから。父の死後、母に施設に預けられた。「お金が貯まったら迎えにくる」と。嘘の約束。佑司も捨てられた身なのだ。
花梨は生まれた時から両親の顔を知らず、親の愛を受けずに育った。そんな寂しい花梨の気持ちを知った智史の両親は、実の子供のように大切に思い接してくれた。
花梨はずっと智史の事が好きだったけど、言えなかった。それは、深い眠りに入るとそのまま植物状態になっていずれ死んでいく難病だったから。ずっと智史の側に居たかった。お嫁さんになりたかった。
「でも言えなかった。だって、智史の未来に私は居ないから。」
眠らないようにする一番強い薬も効かなくなり、ついに深い眠りに陥り植物状態でベッドで横たわる花梨に智史が語る。
「発芽するまで50年以上眠っているかもしれない。でもいつか必ず芽が出るんだよ。目覚めるんだよ。」
オムニバスの種のように眠り続ける花梨が眠りから覚めることをずっと願って、眠る花梨の周りに1つ、また1つと増えていく水草たち。
花梨がずっと大切にしている「プリズム」の光。車のラジオから流れるiLLさんの曲、松谷卓さんの優しい音楽。
ただただ美しいです。
ストーリー的に腑に落ちない所は少し。再開した後、もう再発の危険はないのか?完治したの?
深い眠りへの恐怖。死ぬのが怖い感情ももう少し描いて欲しかったかな。
でも時間的に難しいかな。それが少しだけあったので感情移入が完全には出来なかった所もあるけど、全体的に美しく素敵でした。
2020年4月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
若くて切なくて健気で真っ直ぐだった。
サトシと父親の関係にもグッときた。
感動の一作と言えます。
2020年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
『いま、会いにいきます』と同じ原作者の市川拓司。思い起こせば、あの映画を初めて観たときもクライマックス直前に眠気を感じたので、今回はしくじるものかという意気込みもピンチを救ってくれたようでした。それでも佑司(塚本高史)が元気そうにしているのには驚いたし、その佑司が「あ、あなたは智史!」と朦朧として判断力が鈍っていたのか勘違いしたのは、かつての岸田智史の髪型を思い出したからにほかなりません・・・
夢の中と大霊界が繋がっているかのような突拍子もないファンタジーでしたけど、イマアイほど現実離れしているのではないのかもしれません。ただ、イマアイでも中村獅童の病気がよくわからなかったし、今回の長澤まさみの病気もよくわからない。「深い眠りに入ると死んでしまう!」という奇病は、故阿佐田哲也氏の眠り病とは違うのか、それともアフリカで流行の兆しを見せているアフリカトリパノソーマ病とは異質なものなのか・・・とにかく、それを診断する医師がイマアイと同じく小日向文世であるところも興味深い(今回は派手なTシャツではなく、ちゃんとネクタイをしめていた)。
イマアイに比べてストーリーがイマイチなのは、意外な展開(元人気モデルが実は幼なじみの花梨ちゃんだった)が物語の前半に登場してしまったこと。それに終盤に見せる後日談が終わりそうで終わらない執拗さの割りに結末が読めてしまうことでしょう。それに、夢であってもあの世であっても固い友情なんだから全て繋がってるんだというスケールの大きさによって、観客の心が宙に浮いてしまっていたのが原因かもしれません。
夕日を背景にした逆光映像は綺麗だったし、水槽の水草の緑や湖畔の秘密基地が神秘的でもありました。特に、寝ている長澤まさみが水槽に映るという一瞬のカットには魅入ってしまいましたし、直後の小日向さんの同様のカットも意味深だったので、あとから納得してしまう。それに13年後のバスの秘密基地をどうやって撮ったのか・・・などと、感心させられる美術セットも多かった。
小ネタ伏線もたいしたもので、泣かせる最終話が有名な『フランダースの犬』を題材に選んだのは上手い。画家志望の佑司がそのままパトラッシュとともに・・・という最初の予想を覆されたばかりでなく、パトラッシュの名前を借りて“トラッシュ”という名前の店を持った智史(山田孝之)や、“TRASH”のせいか、ゴミの絵を書くのが好きな智史とか。見事なトラッシュ繋がりを見せていました。バイク事故の“CRASH”までかけてあるのかは定かではありません・・・
気になるのがイマアイでの息子役と同じ佑司という名前。父親ではなく母親に捨てられたという設定だったのでよかったものの、もしこれが父親に捨てられたのならイマアイ秋穂巧の将来とと被ってしまうところでした。
〈2007年6月映画館にて〉
よほど暇か、かなり長澤まさみファンとか、とくに観る番組が無いなら、まぁ、観てもいいかと。ただ、ストーリーはお伽話として捉えないと、ただただ無茶苦茶です。