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静かな静寂の中に、それぞれの大切なものがぎゅっと詰まった美しい映画でした。
幼い頃の3人だけの秘密基地をそっと水槽に閉じ込めたかのような、美しい水草たちが息を呑むほど繊細で綺麗で、この映画をより引き立たせてくれています。
キャストの演技も、映像も、間も良かったですし、また観たくなるような好きな映画です。
以下ネタバレ含みます。
秘密基地で時を過ごす3人花梨(長澤まさみ/黒田凛)、智史(山田孝之/深澤嵐)、佑司(塚本高史/桑代貴明)。
佑司がゴミの絵ばかり描いているのは、捨てられたものの気持ちが分かるから。父の死後、母に施設に預けられた。「お金が貯まったら迎えにくる」と。嘘の約束。佑司も捨てられた身なのだ。
花梨は生まれた時から両親の顔を知らず、親の愛を受けずに育った。そんな寂しい花梨の気持ちを知った智史の両親は、実の子供のように大切に思い接してくれた。
花梨はずっと智史の事が好きだったけど、言えなかった。それは、深い眠りに入るとそのまま植物状態になっていずれ死んでいく難病だったから。ずっと智史の側に居たかった。お嫁さんになりたかった。
「でも言えなかった。だって、智史の未来に私は居ないから。」
眠らないようにする一番強い薬も効かなくなり、ついに深い眠りに陥り植物状態でベッドで横たわる花梨に智史が語る。
「発芽するまで50年以上眠っているかもしれない。でもいつか必ず芽が出るんだよ。目覚めるんだよ。」
オムニバスの種のように眠り続ける花梨が眠りから覚めることをずっと願って、眠る花梨の周りに1つ、また1つと増えていく水草たち。
花梨がずっと大切にしている「プリズム」の光。車のラジオから流れるiLLさんの曲、松谷卓さんの優しい音楽。
ただただ美しいです。
ストーリー的に腑に落ちない所は少し。再開した後、もう再発の危険はないのか?完治したの?
深い眠りへの恐怖。死ぬのが怖い感情ももう少し描いて欲しかったかな。
でも時間的に難しいかな。それが少しだけあったので感情移入が完全には出来なかった所もあるけど、全体的に美しく素敵でした。