ん、苦しかったね。よく頑張ったね。
そんな貴方を受け止めてくれる人に出会えてよかったね。
☆彡 ☆彡 ☆彡
「本当の私」と「本当でない私」を巡る物語。
小学校~高校生の女子の心の移り変わり、成長を綴っている。こんな風に思っている前思春期以降の人ってたくさんいるよね。
学校・友達が軸になっているが、
いじめを受けたことがある子の後日談の一つでもあり、
諍いの多い家庭の中で、頼れる(甘えられる)大人を持たずに、「本当でない私」で暮らしている子どもや、
親のメンタルケアをしているとか、親に嫌われないように息をひそめることも含めた、親の期待に応えて「本当でない私」でいることで家庭内の居場所を確保している子どもの話でもある。
寿梨と日南子の関係は時に「こんな風に展開したら良いね」っていう、ちょっと教育番組的な、夢物語的な、中学生が好きそうな展開になっているけど…。
一方で、人気者から仲間はずれへの転落とか、
その時に自分をどう支えるかとか、
クラスの中心にいるメンバーへの想いとか、
小学校の時自分より下だと思っていたクラスメートが、久しぶりに会ったらやけに輝いていて、しかも手放した自分の元の家に住んでいることを知った寿梨の想いとか、
再婚相手の”親切”な想いが、実は寿梨を奈落の底に突き落とすということとか。
実にリアルに描かれている。
その微妙な心理を演じる成海さんがうまい!!!
二十歳ぐらいの方が演じているのか、でもなんという透明感!!!と思っていたら、14,5歳だと知って更に驚き。
対して、寿梨を囲む大人の暑苦しさ。
「本当の自分」をお互いに押し付け合う親の間で、本当に苦しむのはいつも・どこでも子ども。
「ありの~ままの~」という歌が流行っていたけど、「本当の自分」て何なのか、考えたくなる。
どうせなら「私、こんなにがんばっちゃった、えへw」と言えるような頑張りをしたい・させたい。
コトリがヒナに一生懸命贈ったメールは、コトリのためでもあるけど、ヒナのためを思って考えに考えて贈ったエール。
そこには「作られた私」が綴られているけど、ヒナの為にという想いはまぎれもなく「本当の私」。
そういう想いって、たとえメールでもちゃんと相手に届くのだろう。
そんな風に、
寿梨役の成海さんが、これだけの透明感、でも確かにそこにいる存在感を醸し出していたのに対し、
両親役のW石原さん。”自己中、大人のカッコした中身は子ども”を振り撒いていて、笑った。
日南子の母の対応との違いも訓話的で見事。
そういう自分しか見えていない人とのやりとりって、向かい合って話していても、一緒に暮らしていても、なんて届かないのだろう。
そんな物語に、メールでのやり取りの画面やカット割り等が多用されていて、演出も面白かった。
ただ、物語としては、要所を要領よくまとめ上げたな、という感想がぬぐえない。教育的動画をさっと見せられた感じ。
日南子側の物語にもう少し厚みを出して欲しかったとは思うものの、日南子役の演技ではあれがギリギリか。
彼氏とのエピソードは優等生映画的・願望映画的メッセージとしては良かったが、相手役も含めて、もう少しどうにかならなかったのか。
日南子が丸首のカットソーを脱ぐときに、顔に服が当たらないようにして脱いでいたけど、ファンデーションがカットソーにつかないようにする脱ぎ方。高校生で化粧している前提?って、興ざめしてしまった。前田さんにしたらいつもの癖が出ただけなんだろうけれど。
そんなところが、惜しい。
子連れで再婚しようとしている親や、
争っている家庭(夫婦だけでなく、舅・姑との関係でも)や、
寿梨や日南子と同じように友達の中で右往左往している前思春期~思春期の子どもには
ぜひ推奨したいけど、
自分が見返すかって言ったら成海さん目当てかな。
W石原さんが痛すぎる。(もっと別の役者使ったらもうちょっとマシになったと思うけど)
成海さんには☆5つですが、
全体的のできは☆3つ。
間をとると☆4つなんだけれど、3.5。