時計じかけのオレンジのレビュー・感想・評価
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人類への警鐘
超がつくほどに賛否両論が分かれると噂の「時計じかけのオレンジ」をついに鑑賞しました。
まず初めに感じたのは、女性でこの映画が好きな人はなかなかいないだろうなということです。。。
R-15指定ということもあり、暴力描写、性描写の連続。
音楽や映画全体の雰囲気がかなり凝っていてスタイリッシュなおかげで、多少の緩和はされるかもしれませんが、それでも無理な人には徹底的に拒否反応を示されてしまうのが本作品だと思います。(特に女性に)
また、それらの描写に拒否反応を示さず最後まで観ることができたにしても、鑑賞中、「面白い!」「最高!」などといった肯定的な感情を抱くことにはかなりの抵抗をおぼえます。(そのような感情を抱く自分自身のことが精神的に心配になる。)
簡単に言えばそういう類のかなり癖のある映画です。
では、なぜ僕が好評価をつけたのか。それはこの映画が究極の社会風刺映画だと思ったからです。国家、権力者、犯罪者、もっと言えば、人類への警鐘を鳴らしている映画であると言っても過言ではないかもしれません。
罪のない人々に暴力をはたらくという決して許されない罪を犯し続ける犯罪者に対して、それ以上の暴力を振りかざして拘束する国や権力者。良いように言えば「目には目を...」かも知れませんが、これじゃあ暴力を否定したいのか肯定したいのか分かりません。転じて、「結局何が正しくて、何が正義かなんて誰にも分からないよね。」とも捉えられると思います。
映画の前半、誰が見ても残忍だと感じるであろう暴行行為、犯罪行為を淡々と繰り返す主人公。しかし、後半になると、一転してその主人公が精神的にも身体的にも追い詰められ、窮地に立たされます。映画の前半では彼に対し怒りを抱いていたはずが、後半は、少し可哀想とさえ思ってしまいます。この複雑な感情を抱かせて悶々とさせることも、製作者の一つの意図だったのではないでしょうか。
断じて犯罪行為を肯定する訳ではありませんが、「機械的な(時計じかけの)人間にならず、もっと開放的に自分を出してみろよ。」「もっと開放的に自分を出せる世の中を作っていけよ、21世紀に生きるお前ら。」そういった力強いメッセージ性を20世紀から今を生きる僕たちに発信してくれているのではないかと感じました。
本作は、ただただ嫌になるほどのバイオレンス描写にうんざりし嫌いな映画だと感じる人もいれば、それを差し引いても、芸術性や、オシャレさの素晴らしさに感銘を受け、好きだと感じる人もいる。はたまた、芸術性やオシャレさは認めるけれども、何が伝えたいかさっぱり分からないので嫌いと感じる人がいれば、深く洞察してそのメッセージ性に惚れ込み、感動し、好きと感じる人もいる。全員が正しいと思います。間違いなんてありません。賛否両論も当然です。ただ、大事なのはその持論、感情を他人に流されず持ち続けることだと思います。時計じかけのつまらない人間にならないためにも。
この星5は個人的な評価である。
私はこの映画の狂気に惹かれている。だから正しく評価できない。しかし幾度も見返してしまうのだ。最後のシーンで、覚えてはいけないカタルシスを感じてしまう。それだけのために、何度も何度も見返してしまう。
普通に考えれば、ただの狂った男の話である。時間も長く、中だるみは激しい(これは2001年宇宙の旅もそうだ)。でも、私が言える欠点はただそれだけ。編曲されたクラシック、俳優たちの狂気の笑み、怒涛のストーリー、そしてあの特徴的なカメラワークに、「雨に唄えば」。
これは他人にすすめることはできない。そんなことをすれば自分の人格を疑われても仕方ない。しかし、これは個人的には傑作である。だから、星5をつける以外にない。あの時代の狂気を感じるのに、これほど素晴らしい映画はない。
タイトルなし(ネタバレ)
まず念頭に置いておきたいのはこの作品がいわゆるディストピアを舞台にしているということだ。それがわかると主人公たちがロシア語っぽい造語を操ったり襲った作家が反政府活動をしていたり政府主導で人格矯正手術が行われていること等が風刺的な意味を帯びてくる。また、暴力描写がなんとなくオサレに演出されているのでサイコっぽく、そこがカルトな人気を獲得している所以なのだろうがアレックスの「(僕を追い出して)良心の呵責を十分堪能してくれ」の台詞が気になった。彼は罪の意識を認識している。サイコではない。ベートーベンを聞いたりドラッグミルクを嗜んだりしながらも最後は暴力とセックスに訴える。要するにガキなのだ。ただその衝動をコントロールできない姿はただ未熟なだけではなくどこか病的ではある。
評価5の映画史上最高傑作10選+α
凶暴な幼児が性欲と暴力に溺れる
人間の本能剥き出しとも言える作品だ。製作当時からして近未来。ずっと主人公アレックスの一人語りがストーリーを説明してゆく。簡単に書いてもこんな話しだ。
よくわからないミルクバーでくだをまく若者四人組。このミルクバーのシーンはこの映画の奇妙な雰囲気をもっともよく表している。彼らは無法者だ。完全に廃墟のカジノで、棒やナイフを持って喧嘩もする。町では、浮浪者の酔っ払い老人を袋叩きにし、深夜の田舎をスポーツカーで飛ばして、森の中の一軒家にたどり着く。シンギンザレインを唄いながら老作家フランクの家で暴れまくる。目鼻を隠したマスクをし、股間を守るサポーターをつけたユニフォーム。別の日、色々あって、猫屋敷で老女を殺し、味方から嵌められるアレックス。
ポリスに捕まったアレックスは、刑務所に入れられる。しかし、そこで模範囚を演じていた彼は、実験段階の更生プログラムを受けることになる。
この秘密の更生プログラムがかなりいかれてはいるが、説得性をもつ。まずこんな短期では洗脳は無理だろうとは思うが、わけのわからん薬物と内容が少ししか見えないモノクロ映画とマルコムマクダウェルの演技が暴力的な人間から反暴力的な人間への転向を信じさせる。ステージでの証明実験シーンも説得性がある。
ここまでが前半だ。政府によって洗脳された犯罪者一号になった彼は、暴力はふるえなくなっている。そしてルートヴィヒを聴くと吐き気に襲われ、無力になる。
出所した彼は、世間に放り出される。しかし、実家では、別の男が息子の地位を占有しており、両親から見放される。
包みをもってとぼとぼと歩くアレックス。港で浮浪者たちに復讐を受ける。さらに、警官になったかつての仲間から森の中で虐待を受ける。そして最後は雨の中、老作家フランクの家に正体を隠して迎えられる。
老作家の妻はすでにいなくなっており、用心棒のジュリアンが車椅子の作家をサポートしている。
身も心もズタズタのアレックスは、そ知らぬふりをして入浴し、パスタとワインを頂くが、老作家は、彼の正体を見抜いていた。ルートヴィヒの音楽で苦しみ抜くアレックス!
洗脳についての映画であり、犯罪者更生についての映画であり、暴力的な人間についての映画である。
キューブリックの世界
どっぷりキューブリックの世界。どう頑張っても似た作品を探すのはむずかしい、唯一の映画。
暴力のシーンもあるし、ストーリー自体胸くそ悪いところがあるから体力的精神的に余裕があるときに一人でじっくりみるべき。
サイケデリックな色彩感覚、独特の先鋭的な衣装と家具、場面と不釣り合いに思える挿入音楽の斬新な使い方、、全部に他にはないかんじがあってクラクラしてくる。
欲望丸出しの残虐性をもつアレックスはもとより、この映画に出てくる人はみな残酷になる。復讐をする作家のじいさんや友人、人を操ろうとする大臣、知的欲求に駆られる研究者など。人間誰しももつ残虐性というテーマが、アートな画面から強烈に伝わってくる。
まずタイトルの意味が分からない
観た後調べて分かったけど、作中に出てこないと分からないよね。そして字幕が字幕してない。分からん。
色々と狂気に満ちてる感じはあったけどよく分からん。
最初のマルコムがアップで出てカメラが引いてく感じはすごいすきでした。
同監督の色が出てる演出やカットに興奮
16年15本目はずっとお勧めされてたキューブリック作品。早回し3Pシーンが好き。「地獄型人間動物園」ってここが元ネタなのね。
死ぬほど同監督の「シャイニング」が好きなんだけど、だったら観て!とバーで知り合ったおっさんに超お勧めされて、前から気になってはいたので意を決して観てみたらほ〜そりゃあ好きになりますわな、といった印象。
シャイニングよりアート色が強い(一昔前の映画なのにサイケな色彩感覚とインテリア&ファッションデザインセンスが秀逸過ぎて現代でも参考にできるレベル)ながら内容は同じくらいヘビー。
同監督の色が出てる演出やカットに興奮できました〜。勿論演者マルコムが凄いのだけど、独特の表情演技はキューブリック映画の味だね。
これを機にキューブリックにハマってしまいそう。次は「博士の異常な…」と「アイズワット…」に目を付けてる。
「セックスアンドバイオレンス」はわたしの好きな映画をあらわす言葉のひとつで昔から掲げてたんだけど本作には台詞としてそれが登場したので興奮しました。実際に性シーンや暴力シーンに溢れてて堪らんかった。
「雨に唄えば」アドリブだったんすね!すンばらしくて涙出る、、。。
現代社会へのアンチテーゼ
胸くそ悪いけど何か印象に残る
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