あるいは裏切りという名の犬のレビュー・感想・評価
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これ・・・実話をもとにしているんですね。
主人公警部とそのライバルが繰り広げる出世争いの策謀を描く物語。
実話を基にしたフランス産ノワール作品。どこ迄実話なんでしょうね?
ライバル役を演じたジェラール・ドパルデューが良い味を出していますね。出世のライバル・・・だけではなく、愛する女性を奪われた嫉妬。その二つをしっかりと描いているので、彼の主人公に対する敵愾心と仕打ちに説得力を感じてしまいます。
ラストはカタルシスを感じることが出来ましたが、それでも全体的に救いがなく陰鬱。完成度の高い佳作だとは思いましたが、私好みの作品ではありませんでした。
私的評価は普通にしました。
うまいよね
ひさびさに男くさい、
面白い映画を観た。
こう書いて男くさいってのは
どういうことだろうなって思ったが
仕事なり、なんであれ
信念をもってそれに突き進む姿とかだろうなと
認識した。
この映画の男達は突き進む方向が
だいぶ間違っているのだけれど。
この緊迫感!
気持ちいい裏切りといっていいでしょう。
邦題もうまいですね。
韓国映画『ビースト』を観て…
韓国によるリメイク『ビースト』を観てから観たんだけど、
何じゃこりゃ?軽すぎる(笑)
話にならない(笑)
コッチが本家本元なんでしょうけど、ひどい劣化版を観てるようで、ダメでした(笑)
デニーロによる、ハリウッド・リメイクが決まってるらしいが、パチーノと一緒に、重厚に作り変えてほしい。
拍子抜けした1本です(笑)
コインの裏と表 二人の男の生き様
親友だった二人。何が二人を分けたのか。
同じ女性を愛したから?それでも親友のままでいられることもある。親友とまではいかなくとも、ここまで人生に送り方が変わってしまうなんて。
二人の間に何があったのか。
同じ部署で同じ目標を持てていた時には、やり方は違っていても相互補完。認めあえていた。でも、部署が違い、付き合う仲間が違い、役目・負う責任が違ってきて、さらに張り合わされるうちに、雪崩の如く、放出された水のごとく、一つ一つのことが絡み合い連鎖して、止められない。
そんな風に見えた。
しかも、この監督はエディという同年代(ちょっと先輩)を配し、そこでもやじろべいのような三角関係を描き出す。部下たちを巻き込んで。
二人の間に、”今”起こっていることは描き出されるが、過去に何があったのかは、映画の中で詳しくは語られない。鑑賞しているこちらが推測していくだけ。
やることなすことが裏目に出て、追いつめられていくレオ。
そうやってレオを追い落としているように見えるドニだって、初めからレオをはめようとしたわけではない。ドニの時々の表情・慌てっぷりを見ていると、自分のやってしまったミスを狡猾にフォローしようとして、結果的にレオを追いつめてしまうようにも見える。
レオの復讐劇にも見えるが、ドニの人生の哀れさがテーマにも見える。
二人の名優の妙。特に演技合戦をしているわけではない。だが、この二人の比重がほんの少しでも狂えば、映画は、また違った雰囲気をまとってくる。
なんてすごいんだ。
正直加齢臭すら漂ってきそうな二人の佇まい。喉元まで生活に・警察にどっぷりつかっている匂いが漂ってきそうな映像。そこがまた絵空事ではない人間臭さを感じさせ、渋い。(ファッション性なんてなんのそのだ)
内部抗争がらみの警察物。
信頼と裏切り、迎合、事なかれ主義、身の保身…。組織や関係性でうごめくいろいろなものが、幾つかの凶悪犯罪と絡み合って描き出される。
監督の警察時代の教官に捧げられている。実際にあった話をbaseとするらしいけど…どこまでが実話なのか。かえって教官を貶めることにはならないのか?と余計な心配をしてしまうほどに、これでもかと問題場面が描き出される。(検死したら嘘はばれるはずだが、等)
最初はバイオレンスの様が激しく、音楽も時に緊迫感を煽り、時に静かに凄惨な場面を見せつけと、その激しい様に途中で見るのを断念しそうになる。
けれど、途中からは人間を描くことにシフト。その心情と行動で魅せてくれる。
説明は足りない。エピソードとエピソードのつなぎもうまくはない。
でも、人間を描くことには丁寧で、甘すぎず、感傷的すぎず、日本の感覚からいったらドライだけど、胸が締め付けられる。
最後の落とし前の付け方は、ティティは別として、こういう犯罪ものを愛する方々には不評かもしれないが、私には最高だった。
因果応報。風が吹けば桶屋が儲かる。人生は自分の想うようには進まない。
一寸先は闇。人に放った矢は自分に帰ってくる。
そんな中での二人の男の生きざま。堪能させていただいた。
濃厚すぎる映画。ワイン倉庫の隅に長年放置され熟成されたブランデーを少しずつ味わうが如く。
邦題が秀逸。 後から、ゾクゾク来る。
鼻が特徴的な名優対決
ジェラール・ドパルデューは好きな俳優の一人ですが、フィルム・ノワール作品だけあって鼻の陰影もくっきり描き出されているため、どうしても目立ってしまう。いかに男根鼻といえどもモザイクをかけるわけにはいかないので、ライバルの警視には同じく鼻が印象的なダニエル・オートゥイユが起用されている(彼が主人公)。
“36”というタイトルがど~んと描かれ、どこの誰が“犬”なんだかとワクワクしながらのめり込んだ前半。現金輸送車強奪事件が連続し、9人もの人が殺されていた。そんな物騒なパリであったけど、警察内部では長官(アンドレ・デュソリエ)の昇進が決まっていて、この事件をBRIのレオ・ヴリンクス警視(オートゥイユ)とBRBのドニ・クラン警視(ドパルデュー)が追うことになった。事件を解決すれば次期長官に・・・と野心に燃えるクラン。一方のレオは出世欲は感じられないのだが・・・
情報屋という存在が大きかった。難事件を解決するにも信用度が低い彼らの情報も無視はできない。大体が犯罪者であったりするのだが、時として貴重な情報源となったりするのだ。2人のライバル警視は情報屋を殺されたり、その情報屋に利用されたりと、捨て駒であるはずの彼らに運命を翻弄されるところが見ものなのです。そして裏情報を得たヴリンクスは見事に事件を解決し、クランは失脚するかに見えた・・・
立場が逆転して投獄されたり、最愛の妻を失ったりで奈落の底へ突き落とされたかのような男を演じたオートゥイユがしぶかった。ドパリュドゥーやドゥソリエも鋭い眼孔の奥底で、口には出さない心理が読み取れるところが凄い。そしてもう一人、ヴリンクスの部下であったティティが物語の最大のキーパーソンになるところも脚本の素晴らしいところだ。
かつての親友の対立に様々な人間関係が重なり合うずっしり重いフレンチノワール
パリ警視庁のBRI(探索出動班)とBRB(強盗鎮圧班)は同じ警察組織にありながら激しく対立していた。双方のボス、ヴリンクスとクランはともに次期警視庁長官と目される優秀な幹部。しかし、あくまで現場志向で部下からの信頼も厚いヴリンクスと上昇志向が強く狡猾なクランは性格も正反対。二人はかつて親友同士であったが同じ女性カミーユを愛してしまい、カミーユがヴリンクスと結婚して以降関係がきくしゃくしていた。そんな折武装グループによる現金輸送車連続襲撃事件が発生、現場で鉢合わせするBRIとBRB。ともに24時間体制で捜査にあたるよう厳命が下されるが、功を焦ったクランが犯したミスをきっかけに事態は徐々に暗転していく。
様々な試練に晒されながらも理性を失わないヴリンクスを演じるダニエル・オートゥイユと自身の野望のために手段を選ばないクランを演じるジェラール・ドパルデューの対立を軸に様々な人間関係が重ね合わされた重圧なドラマが圧巻、そんな二人の男の運命を狂わせるカミーユを演じるヴァレリア・ゴリノの美しさも印象的です。
なげぇ。
盛り上がってくるまでの展開があまりにゆっくりで、「なげぇ」と17回くらい呟いたあたりでやっと山場が始まった。
アメリカの映画みたいな「正義は勝つ!しかも至極正攻法で!」っていう単純明快な最後じゃなかったけど、たくさんの登場人物や組織の絡みが細かく描かれていて、スッキリした終わり方だった。
物語が進むにつれて悪役としてのキャラクターを確立していくクランだけど、元はといえば権力争いだったり奥さんの取り合いだったり、彼が歪んで壊れていく動機は理解できるし、誰しも思い当たる節があるんじゃないかと思う。
だから世紀末的にウザい奴だと思う反面、部下には嫌われ夕飯の席で自分の奥さんにも哀れまれ、物凄くかわいそうにも見えた。まぁでも、やっぱり嫌な奴。
今まで会ったフランス人はみんなプライドが高くて排他的で仲良くなれた試しがなかったけど、映画はハードボイルドで格好いい。
フランス語の余韻に浸りたくて、エンドロールをぼーっと最後まで見てしまった。
登場人物のどろどろとした人間性のからんだ犯罪活劇
総合:75点
ストーリー: 80
キャスト: 70
演出: 80
ビジュアル: 75
音楽: 75
かなりどろどろとした人間関係が犯罪事件の裏側に描かれる。
ただの犯罪アクションではなく、人の野望、欲、ねたみ、悲しみといったものが絡まり、警察が犯人と対決するだけの単純な善悪の対決の物語とはならない。そのような人間性を描いていることがハリウッド映画とは違うフランスらしさだろう。
ただそのようなことを描いているぶん、時間的に苦しいようにも感じる。もっと長くするか連続ドラマにするならもっと良いものになったように思う。
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