五月の七日間
解説
アメリカ大統領の核軍縮条約案をソ連が受諾。しかし軍部がこれに猛反発する。反対派の急先鋒、米軍統合参謀本部長スコット将軍の直属だったケイシー大佐は軍部の異変に気づく。調査を進めるケイシーはやがてスコットのクーデター計画を知ることに……。社会派ジョン・フランケンハイマー監督が、テレビシリーズ「ミステリー・ゾーン」の作家として知られるロッド・サーリングの脚本を得て作り上げた緊迫の政治サスペンス。
1964年製作/118分/アメリカ
原題:Seven Days in May
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2022年7月15日
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鑑賞方法:DVD/BD
「大列車作戦」や「グラン・プリ」の作品で、
本物感を魅了させて頂いた
ジョン・フランケンハイマー監督が
その前に手掛けていた作品で、
これも私にとっては幻の映画だったが、
レンタル出来てようやく観ることが出来た。
因みに、この作品は
公開1964年のキネマ旬報ベストテンで、
「山猫」「シェルブールの雨傘」
「博士の異常な愛情」「マイ・フェア・レディ」等の名作がベストテン外で
名前を連ねている中での第13位。
順位以上に専門家から非常に高い評価を
受けた作品だったことが窺える。
さて、このストーリー、
背広組と制服組の対決は
キューバ危機の際のアメリカ政府内の
遣り取りを思い出させたが、
アクション要素をことごとく排除した中で、
それぞれの陣営の布石が絡み合う
本物感溢れる展開に、
格段の緊迫感をもって観ることが出来た。
また、この作品でも「博士の…」同様、
核戦争への恐怖も語られ、
大統領が核攻撃のボタンの入ったカバンを
常に持ち歩くプレッシャーから
「医者は私の血圧よりも正気を心配すべきだ」
と側近に語る場面は、
地球滅亡と常に隣り合わせにいる恐怖を
改めて認識させられた。
この映画の巧妙なところは、
ラストシーンでの大統領のスピーチに
要約されているが、
あの民主主義大国アメリカに
軍事クーデターの可能性が?
と話を展開させて、
最後は政治の安全装置が働いて、
米国民主主義の健全さ・偉大さを
アピール出来ていることではないだろうか。
しかし、実際にそんなクーデターまがいの
事態が発生したらと想像すると
非常に恐ろしい内容だ。
日本ではそんなことは、と信じたいが、
この度の国政選挙でも与党の圧勝という
政権交代の可能性など全く考えられない
結果から、
緊迫感の無い政治体制が続くことにより、
よもや日本でも
このような動きが出てこなければと
心配がつのる鑑賞になってしまった。