スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

劇場公開日:2025年11月14日

解説・あらすじ

アメリカを代表するシンガーソングライター、ブルース・スプリングスティーンの若き日を描いた音楽ドラマ。ウォーレン・ゼインズの著書「Deliver Me from Nowhere」を原作に、「クレイジー・ハート」のスコット・クーパーが監督・脚本を手がけた。

1975年リリースのサードアルバム「明日なき暴走 BORN TO RUN」で一大センセーションを巻き起こしたスプリングスティーン。それから7年が経った1982年のニュージャージーで、彼は人生の大きなターニングポイントを迎えていた。世界の頂点に立つ直前、スプリングスティーンは成功の重圧と自らの過去に押しつぶされそうになりながらも、わずか4トラックの録音機の前で、たったひとり静かに歌いはじめる。

ドラマ「一流シェフのファミリーレストラン」のジェレミー・アレン・ホワイトが主演を務め、ギター、ハーモニカ、歌唱トレーニングを経て若き日のスプリングスティーンを体現。「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」のジェレミー・ストロングがマネージャーのジョン・ランダウ役、「帰らない日曜日」のオデッサ・ヤングがガールフレンドのフェイ・ロマーノ役、「ボイリング・ポイント 沸騰」のスティーブン・グレアムが父親ダグ役、ドラマ「ブラック・バード」のポール・ウォルター・ハウザーがサウンドエンジニアのマイク・バトラン役で共演。

2025年製作/120分/G/アメリカ
原題または英題:Springsteen: Deliver Me from Nowhere
配給:ディズニー
劇場公開日:2025年11月14日

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(C)2025 20th Century Studios

映画レビュー

2.0 元ファン(しかも大昔)の落としどころ

2025年11月16日
Androidアプリから投稿

ブルース・スプリングスティーン

高校生のとき、友人の「Born in the USA」(’84)のカセットテープをおシャカにして、殴られ手前までいったことが懐かしい。BOSSを聞かなくなった原因は当時のカラオケブーム。BOSSを聞かず、「そのくせ」浜省や佐野、長渕や尾崎、THE虎舞竜を一生懸命歌っていたという大学生だったわけだ。

オレの中のBOSSは、「Tunnel of Love」(’87)で終わっている。ただし、その収録曲「Brilliant Disguise」はオレの生涯プレイリストとして刻まれている。蛇足だが、この曲の技巧的な構成、跳ねないメロディだがその美しさ、独白的でつぶやくようでひねり出す歌声とその歌のテーマとの統一感が、おっさんを奮いあがらせる。「Brilliant Disguise」はカラオケでは歌えない、歌ってはいけない。

残念なことだが、初期のBOSSの曲しか知らないで本作に臨むことになった。大作「The River」('80)でスターとなったが、ライブ後の空虚感、孤独感が強かった時期で自身の苦悩を吐き出す、精神を保つ方法としてわがままに録った作品「Nebraska」('82)の制作秘話。

高校生のときはさすがに「Nebraska」みたいなアルバムにはハマれないが、今でも聞けるかというと、せいぜい「Atlantic City」。そんな話に、「地味」スコット・クーパー監督のもと、BOSSの全面協力の下、「はやりの」伝記映画の流れとして公開。全米ではヒットせず。

スプリングスティーン 孤独のハイウェイ





予想通り、「地味な」映画だ。オープニングの子供時代の地味なエピソードから始まり、「Born to Run」のあっさりのライブシーン。そこからブルース自身の解放のため、周囲から見ると、わがままな作品を、わがままな行動でひねり出す。

本作のラストで語られるように、今も鬱を抱えているというBOSSはこれまでも巨大な人気や社会的役割を受けると、本人が「静かな場所へ戻りたい」という心境になるのか、「陽」→「陰」→「陽」→「陰」のサイクルでアルバムを発表してきたといわれるように、本作は自伝もすでに書き上げてはいたが、自身を開放する「映像」作品、という位置づけになる。それが本作の語り口の「言い訳」にもなっている。

だが、本作のエンドロールで「Atlantic City」のロックバージョンが流れるように、「陰」を吐き出すためだけの映画、というわけでもないようで、ちょっとたちが悪いが、父と子の関係、恋人との関係、仕事のパートナーといった普遍的な関係を(おそらく)嘘偽りないエピソードで紡いでいることは、BOSSのやり残した「作品」ということになるかもしれない。

そう考えると、カウンセラーに診てもらって数か月で、すっきり父との和解といった超絶急展開もこちらは流すしかない。

これは「彼」の「作品」だから。

なんだけど、娯楽作品を求めると、まあ、納得はしない。

と思って書き終えようとしたら、思い出した。BOSSの「作品」に対する姿勢、自分自身や家族、友人、社会と向き合うことで、夢を語れ、talk about a dream try to make it realというテーマを、分かりやすいドラマで、BOSSの思いを実現した青年の実話に基づく映画があったじゃないか。

「カセットテープ・ダイアリーズ」邦題 Blinded by the Light('19)





収録曲に「Nebraska」の収録曲はない(はず)だが、パキと呼ばれ差別を受ける青年が、BOSSを初めて聞いて稲妻が走り、自身の文才を(自身とBOSSの歌とシンクロさせて)努力で開花させ、(本作と同じように)向き合えない父親との和解、と労働階級からの少年の旅立ちあるあるの(「リトル・ダンサー」('00)とかの)わかりやすい青春映画。

初期の有名曲「Thunder Road」(これ大好き)、「Born to Run」の、これぞという使い方が感動的。これらでダンスシーンを撮るのも画期的。

「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」の、ファンなら許せる超わがままで、あまり親切でない語り口も、ここにはなくBOSS自身が体現し、成し遂げたこと。あれだけ故郷を嫌い、父を嫌うも、自身が変わり、向き合うことで、自身を、父を、故郷を救う。冒頭街名の標識に「Sucks」と書かれた落書きが消されているラストが感動的。

本作が分かりにくい、とっつきにくいのであれば、こちらで補完するといい。

追記

ブルースを演じたジェレミー・アレン・ホワイト。ライブ時のギターの弾き方、顔の大きさもイイ感じ。似ている、似てないは置いといて。

追記2

80-90年代の洋楽でケツの青い高校生だったオレが、「マイケル」以外で伝記映画をやってほしいのは、誰がいいかなあ、と。

小品でいいので、The Banglesかな。(バンド名由来の「The Beatles」もやるようだし)

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しんざん

4.0 ロック伝説にリアルな手触りを与えてくれる

2025年11月30日
PCから投稿
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村山章

4.0 有名曲のバンド演奏シーンが少ないのはやはりさびしい

2025年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

楽しい

本作については当サイトの新作評論枠に寄稿したので、ここでは補足的な事柄をいくつか書いてみたい。

個人的にスプリングスティーンのファンではなかったが、80年代に日本のテレビやラジオで流れる洋楽をリアルタイムで聴いていた記憶をたどると、1980年の「Hungry Heart」が街中でも流れて一気に知名度があがり、以降の「The River」「Dancing in the Dark」や、何年か前の「Born to Run」もちょいちょい耳にするようになり、84年の「Born in the U.S.A.」で大爆発という流れではなかったか。

劇映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」はアルバム「ネブラスカ」を世に出すまでの“生みの苦しみ”にフォーカスしたので仕方ない部分もあるが、馴染みのある「Dancing in the Dark」や「Glory Days」「I'm Goin' Down」あたりが劇中で聴けないのは少々さびしい。

「Born to Run」のライブ演奏、「Born in the U.S.A.」のスタジオ演奏のシーンはジェレミー・アレン・ホワイトの熱唱も素晴らしく胸が熱くなった。ただ後者は、劇中でデモテープの音源を先に聴かせて、スタジオで大きくアレンジが変わったことを描いているものの、「2テイク目で奇跡が起きてあの熱演が生まれた」という各所でよく目にするエピソードまで入れ込んだら、あのシークエンスがさらに良くなったのではと物足りなさも感じた。

ブルースを支えたマネージャー兼プロデューサーのジョン・ランダウ役、ジェレミー・ストロングのなりきり演技には改めて驚かされた。「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」と本作を両方観て、あちらの冷酷で凄味のあるロイ・コーンを演じたのと同じ役者だと気づかない観客もいるのでなかろうか。

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高森郁哉

2.0 スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

2025年12月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

歌唱シーンが少ないけど、彼の幼少期のことや、鬱に苦しんだことを知る事ができ、違う意味で良い映画でした。

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シバ