私がやりました

劇場公開日:

私がやりました

解説・あらすじ

「8人の女たち」のフランソワ・オゾン監督が、映画プロデューサー殺人事件の“犯人の座”をめぐって3人の女たちが繰り広げる騒動をユーモアたっぷりに描いたクライムミステリー。

パリの大豪邸で有名映画プロデューサーが殺害され、新人女優マドレーヌが容疑者として連行された。マドレーヌはプロデューサーに襲われて自分の身を守るために撃ったと供述し、親友である弁護士ポーリーヌとともに法廷に立つ。正当防衛を訴える鮮やかな弁論と感動的なスピーチは裁判官や大衆の心をつかみ、マドレーヌは無罪を勝ち取ったのみならず、悲劇のヒロインとしてスターの座を手に入れる。そんな彼女たちの前にかつての大女優オデットが現れ、プロデューサー殺しの真犯人は自分だと主張する。

「悪なき殺人」のナディア・テレスキウィッツがマドレーヌ、「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」のレベッカ・マルデールがポーリーヌ、「エル ELLE」のイザベル・ユペールがオデットを演じた。

2023年製作/103分/G/フランス
原題または英題:Madeleine
配給:ギャガ
劇場公開日:2023年11月3日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9

(C)2023 MANDARIN & COMPAGNIE - FOZ - GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA - SCOPE PICTURES - PLAYTIME PRODUCTION

映画レビュー

3.5サン“ライズ”大通り

2025年4月21日
Androidアプリから投稿

本作監督のフランソワ・オゾンはゲイである。故に女性一般に対しあまり好感を抱いていないのが普通だ。が、トランプ大統領就任までの映画界は、ハリウッドはもちろんEUでこさえられた作品もほとんどLGBTQ礼賛一辺倒で、私が記憶しているかぎり、フェミニズムに反旗を翻したのはこのオゾンとヨルゴス・ランティモス、そしてルカグアぐらいのものだろう。特に本作の監督であるオゾンの場合、過去作の中でバチカンの“幼児性愛”体質を攻撃した映画も撮っており、優男の風貌からは想像もできないほど強気な監督さんなのである。

私が初めてオゾン作品にふれたのは確か2003年公開の『スイミング・プール』だった。創作に行き詰まった女流作家が、編集長の別荘で夢とも現実ともつかない経験をするミステリアスな展開が魅力の傑作サスペンスである。劇場の隣席で、ランプリングのオール“熟年”ヌードをご覧あそばして「すごいわねー」と口走ったオバサンには絶体にわからないオチが、『スイミング』には隠されている。すべては編集長が仕組んだ“やらせ”だったのだが、主役のランプリングを含む女性の軽率な行動をせせら笑った、ゲイ監督ならではのエスプリが実に効いていた作品だ。

評論家の皆さんがこぞって指摘しているとおり、この法廷劇の狙いはまぎれもない#ME-TOO運動批判であろう。やってもいない殺人を自分がやったと自白して世間の注目を浴びる、売れない女優とその友達の弁護士が仕掛けた“炎上商法”を、クラシカルなコメディタッチで描くことにより、その“毒性”はかなり中和させられている。しかし、おそらくレズビアンだと思われるこの女性2人に向けるオゾンの目線は実に冷ややか。

この映画、フランスの古典演劇やビリー・ワイルダー監督『深夜の告白』にも言及されているらしいのだが、すっかり売れっ子に出世していた女優のもとに訪ねてくるユペール演じる老女優をご覧になって、皆さんはある傑作サスペンスを思い出さなかっただろうか。同じビリー・ワイルダーが監督し、デヴィッド・リンチをはじめとする名匠たちがオマージュを捧げている『サンセット大通り』である。

サイレント時代には名声をはせたが、トーキー全盛になってからはすっかり忘れられ存在になっていた元大女優の設定が、グロリア・スワンソンが演じた『サンセット』の主人公にクリソツなのだ。その現実を受け入れられず、浮気した若い脚本家を思わず撃ち殺してしまう元大女優。ユペール演じる老女優もまた、自分の存在を無視して、若いパツキン女優をレ○プしようとしていたプロデューサーをどうしても許すことができなかったのであろう。

結局は、(女性を中心とした)世間の同情を浴びて“無罪”を勝ち取った女優たちの姿が、ワインスタインをハリウッドから追放することによって注目を浴びた(売れない?)女優たちと重なった方も多かったのではないだろうか。ラスト、ゴシップカメラマンの炊くフラッシュを浴びながら狂気のサロメを演じ続けたスワンソンとは対照的だ。もはやDEIの巣窟と化して治療不可のアイビーリーグに引き続いて、ハリウッドにもトランプのメスが入るのか。それを楽しみながら心待ちにしているオゾンの姿が目に浮かぶ。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
かなり悪いオヤジ

5.0こんなに笑えるコメディが撮れるなんて

2025年4月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

フランソワ・オゾン監督といえば、シリアスでエロティックなサスペンスを作る人というイメージだ。そんなに多くの作品を観ていないので間違いかもしれない。いや、本作を観れば間違いだったと言わざるを得ない。

元々オゾン監督はそんなに得意ではない。しかし、この作品がポップなコメディに見えたから鑑賞した。
事前に「軽そう」と思っていたとしても驚くほどにコメディで、驚くほど笑えた。

特に予審判事のシーンはぶっ飛んでる。この人の言っていることのメチャクチャさといったらない。
一応、本人は真剣だというところも笑える。

少し古い時代の物語で、女性が立ち上がって当時の社会の常識に抗うという意味ではオゾンらしいともいえる。特に必要ではなさそうな女性のヌードシーンもあり、これもオゾンらしい。
そういった視点から見れば、元々自分が考えていたオゾン像とそんなに違わなかったのかもしれない。ただ、こんなに笑えるコメディが撮れるとは思ってなかっただけで。

割とシュールなコメディが多い印象のフランス映画の中にあってストレートに笑えたというのも良かった。
今年のベスト、とまではいかなくとも、それに準ずるくらい面白かった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
つとみ

5.0これビックリ!!!

2025年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

見始めは単なるアンティークムービーへのオマージュかなんかかと思ったら、一級品のミステリーラブロマンスであった。とにかくシナリオが秀逸。俳優陣もみなチャーミングで映画愛満載の作品。欠陥が全くない。オシャレで華麗。しかもこのコンパクトさ。映画におけるありとあらゆる技法が詰まっている。一見難しいような展開もあれよあれよと物語が回収されていくのである。もう魔法と言って良い。これはひとえに監督の技量に帰すところが多いのだろう。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
mark108hello

4.0楽しく鑑賞できました。

2025年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

有名プロデューサー殺人事件に絡み、強かに生きる女性達を描く物語。

ミステリー・・・ではなく、ミステリーテイストのコメディです。
着せられた殺人の嫌疑。そんな中で、まだ社会的弱者だった女性達が逆転を狙います。
強かに、しぶとく、狡猾に・・・それでも女性らしく軽やかに。

彼女達の挑戦が軽快で明るく、観ている側も楽しくなってきます。

やや後半失速した印象がありましたが、私的評価4は付けられる佳作だったと思います。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
よし