「翔んで埼玉」。映画は改めて監督の力が大きいのだな、と感じる斬新かつタイムリーなコメディ名作映画! : 細野真宏の試写室日記

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コラム:細野真宏の試写室日記 - 第18回

2019年2月12日更新

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。

また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。

更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)

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第18回 「翔んで埼玉」。映画は改めて監督の力が大きいのだな、と感じる斬新かつタイムリーなコメディ名作映画!

2019年1月21日@東映試写室

2018年の映画の興行収入は、コケてしまった作品が少なくなかったので心配していましたが、90億円突破のメガヒットが3本も出たりして、結果は2225億円と歴代3位になりました。

そして2019年の行方を考える上で重要だった年明け最初の王道的な大作「マスカレード・ホテル」も期待以上で、さすがは木村拓哉といったところでしょうか。

「王道映画×木村拓哉」が振るわないとなると、今後の見通しまで悪くなっていたのですが、期待の興行収入30億円を余裕で突破し、40億円、50億円と、どこまで行くか期待を膨らませられる状況になっています。

マーケットの評価がようやく順当になってきているので、その前提で「作品の出来」を踏まえると、木村拓哉主演の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の興行収入41億円は超えてほしいのが本音ですし、さらには、

「福山雅治主演×東野圭吾原作」で、両氏の過去最高興収である「容疑者Xの献身」の49.2億円を突破できるか、実に興味深い展開になっています。

この出だしや各社のラインナップ(特にディズニー?)を考えると、うまくいけば2019年は「過去最高である2016年の2355億円」を超える年になるのかもしれませんね。

画像1 (C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社

私が、邦画において「マスカレード・ホテル」の次に注目しているのは2月22日に公開される「翔んで埼玉」という作品です。

この映画は、最初の企画段階の発表を見た時に正直「これは無謀すぎるだろう……」と思っていました。

「え、どうしてこんな昔のマンガ原作? それ以上に、どうしてこのキャスト…?」と全く理解できなかったからです。

ところが「ドラゴンボール超 ブロリー」を普通に映画館で見ていたら、その前に「翔んで埼玉」の予告編がかかっていて「あれ、意外と面白そう?」と印象が変わり、正直、楽しみになっている自分がいました。

そして実際に試写で見てみたら、思わず「翔んで埼玉の制作者の皆様、無謀すぎると思っていてゴメンなさい。」という気持ちになりました(笑)。

まず「なぜこの古い未完のマンガを?」には、今だからこそ、この作品を映像化すべき、というのが実際に見てみると非常によくわかります。

さらに「なぜこのキャスト?」についても、逆にこれ以上は考えられないんじゃないか、とまで思わせてくれます。

フジテレビの武内英樹監督は、「以前、バラエティー班にいたのでは?」と思ってしまうくらいセンスが良いですね。

テレビ局関連の映画でフジテレビ映画が特に強い理由は、有能な監督がどんどん育ってきているというのがあると思います。

「映画監督」は、かつては映画会社が社員として監督を育てる時期もありましたが、その仕組みも崩れ、以降は連続ドラマなどを継続的に作るテレビ局がそれを担う時代になったわけですが、フジテレビの場合は現時点で少なくとも本作の武内英樹監督、「マスカレード・ホテル」の鈴木雅之監督、「容疑者Xの献身」の西谷弘監督など、監督名だけで作品に期待を抱かせる人材が意外と豊富なのです。

さて「翔んで埼玉」ですが、本作は間違いなく出来は非常に良いです! ただ、あまり前例のない作品で、興行収入は読み切れません(笑)。

画像2 (C)2019 映画「翔んで埼玉」製作委員会

本作の武内英樹監督のコメディ映画で似ている作品としては「テルマエ・ロマエ」ですが、さすがに「テルマエ・ロマエ」の59.8億円は期待しすぎでしょう。

テルマエ・ロマエ」はGW公開で私は試写の段階から期待していたのですが、なぜか業界的には思うほど期待されていなくて座席も少ない状態でした。ところが公開されると想定以上に観客が殺到し、「テルマエ・ロマエ満席!」とSNSなどで拡散し、お風呂ブームが社会現象化するところまでいったからです。

そこで視点を変え、「翔んで埼玉」は「古いマンガ原作で学園もの」という括りで考えてみると、監督は違いますがフジテレビ映画の「帝一の國」のほうが近いのかもしれません。

帝一の國」のほうはGW公開で興行収入19.3億円を記録しましたが、時期的に不利な「翔んで埼玉」も作品の出来は決して負けていないので、うまくいけば20億円規模を狙えるポテンシャルも十分にあります。

帝一の國」のテーマ曲である「クリープハイプ」の「イト」も良かったですが、意外にも「翔んで埼玉」のテーマ曲である「はなわ」の「埼玉県のうた」も負けていません!

とにかく「テルマエ・ロマエ」を見るような感覚で頭を空っぽにして見てみてください。

試写室の雰囲気も非常に良く、決して見て後悔しない作品だと思います。(万が一合わなかったらゴメンなさい)

画像3 (C)2019 映画「翔んで埼玉」製作委員会

個人的には、機会があれば埼玉県に行って埼玉の映画館で見て、周りの雰囲気を観察してみたいです…(笑)。

翔んで埼玉」は、たまに関東圏近郊の人にしかわからないようなニッチなネタも出てきますが、作品の99%以上は全国向けであることは間違いありません。

この映画に関してだけは「都道府県別の興行収入ランキング」も見てみたいですね。

すぐ「炎上」とか言われてしまうこの時代に果たして本作はどうなるのか、非常に興味深いチャレンジだと思います。

ちなみに製作委員会は普通は「フジテレビ、東映」なのでしょうが、この作品では「フジテレビ、東映、テレビ埼玉」という意味深なチームになっています(笑)。

この作品を機に「愛ある地元ディスり」というユーモアの文化が広がっていくと、日本人でもあまり見えていない「地域の良さ」を再発見できる社会になるのではないでしょうか?

すでに日本では、海外からの旅行者などにも各地域のアピールが重要になっていますが、それの「効果的な突破口」がこの作品の「愛ある地元ディスり」にあるのでは、と本気で感じています。

その意味で、これからの日本のためにも、まずは興行収入10億円とは言わず、15億円程度は景気よく狙ってほしいところです。

[筆者紹介]

細野真宏

細野真宏(ほその・まさひろ)。経済のニュースをわかりやすく解説した「経済のニュースがよくわかる本『日本経済編』」(小学館)が経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」(日販調べ)を記録。

 発売以来9年連続完売となっている2019年版の「家計ノート 2019」(小学館)が発売中!

 首相直轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」(扶桑社新書) はAmazon.co.jpの年間ベストセラーランキング新書部門1位を獲得。映画と興行収入の関係を解説した「『ONE PIECE』と『相棒』でわかる!細野真宏の世界一わかりやすい投資講座」(文春新書)など累計800万部突破。エンタメ業界に造詣も深く「年間300本以上の試写を見る」を10年以上続けている。

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