コラム:シネマ映画.comコラム - 第25回
2023年1月6日更新
「マイライフ、ママライフ」配信! デジタル・プレイスメント広告とは?
第25回目となる本コラムでは、2022年11月22日からスタートした「デジタル・プレイスメント広告企画」の第1弾作品「ココロ、オドル」に続いて、1月6日から配信の第2弾作品「マイライフ、ママライフ」をピックアップして、作品の見どころや「デジタル・プレイスメント広告企画」について紹介します。
【作品概要】
現代ならではの生きづらさを抱える2人の女性の葛藤と希望を描き、2020年・第14回田辺・弁慶映画祭コンペティション部門で観客賞を受賞した長編作品。監督・脚本は、映画・ドラマ・広告など幅広いメディアで企画・演出を担ってきた亀山睦実。第14回田辺・弁慶映画祭の受賞作品を劇場公開する特集企画「田辺・弁慶映画祭セレクション2021」(2021年8月27日~9月16日、東京・テアトル新宿/2021年9月24日~9月30日、大阪・シネ・リーブル梅田)で上映された後、22年4月に単独劇場公開された。
2020年製作/88分/日本
【あらすじ】
仕事に熱中する日々を送る綾は、結婚して3年になる夫から、そろそろ子どもが欲しいと言われ辟易としてしまう。彼女には、妊娠・出産に勇気が持てないある理由があった。一方、2人の子どもを育てる沙織は、本当にやりたい仕事を諦めて事務職で働いている。ある秋、綾は「家族留学」という家族体験プログラムのイベント運営を任され、沙織の家族と出会う、綾は子どもを持つ働く母の気持ちが理解できず、沙織のことを傷つけてしまうが、それぞれ悩みを抱える同い年の2人が出会い、人生のわだかまりを少しずつ解きほぐしていく。
■子育てと仕事の両立に悩む女性を応援する映画
本作は、30歳という人生のひとつの節目を迎え、その岐路にたつ女性を主人公に、彼女たちが持つ夢や希望、悩みを物語として制作されました。さらに、メインスタッフとキャストに平成生まれのクリエイターが結集し、等身大の主人公たちを描くことで、現在(いま)の働く子育て世代の“幸せ”について、多様な価値観を表現し、“不安”を抱えている人たちに“共感と可能性”を生む映画になることを目指したといいます。
近年の映画やドラマでは、女性の社会進出・活躍の影響を受けて、作り手側の女性たちの活動の成果もあり、これまで以上に様々なタイプの女性キャラクターが描かれるようになってきました。脚本も手掛けた亀山監督は、「女性活躍ブームの裏側で、仕事と結婚・出産・育児に悩む方は近年急増しています。『誰もが活き活きと、夢や仕事と育児に向き合える社会にしたい!』という思いから、平成生まれの『現実が凝縮された』ヒューマンドラマ。女性たちをはじめ、すべての働く子育て世代の心に突き刺さる映画をお届けします」と述べています。
■“等身大の女性”を演じる魅力的なキャスト
本当にやりたい仕事を諦めて事務職で働きながら、2人の子どもを育てる沙織を演じたのは、映画やドラマ、舞台などで俳優として活動するとともに、TBS「日立 世界ふしぎ発見!」にミステリーハンターとして出演し、バラエティー番組でも活躍している鉢嶺杏奈。
仕事に熱中する日々を送り、妊娠・出産に勇気が持てない綾を演じたのは、モデルやテレビ番組のリポーターとして活動し、映画やドラマをはじめ、特技のバレエを活かしてTHE SUPER LIVE「美少女戦士 セーラームーン」のパリ公演にも出演した尾花貴絵。
そして、綾が働く会社の同僚役で、「天然コケッコー」「あしたの私のつくり方」「グーグーだって猫である」「チチを撮りに」「ローリング」「まんが島」「21世紀の女の子」「凪の海」など数多くの映画に出演し、近年では映画監督としても活躍している柳英里紗。「こんな夜更けにバナナかよ」、連続ドラマ「新しい王様」や「凪のお暇」に出演するなど、モデルを経て俳優として活躍している中田クルミが共演しています。
さらに、沙織の夫を数々の映画、舞台、ドラマ、CM等に出演している池田良、綾の夫を男性グループBOYS AND MENの元メンバーで、映画やドラマ、バラエティーなどでも活躍している水野勝が演じ、作品の脇を固めています。
■多彩な才能を持ったクリエイターが集結
亀山監督は、日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業後、2016年にクリエイティブチーム・ノアドに入社。映画、SNSドラマ、広告、テレビ、2.5次元舞台のマッピング映像演出など、幅広いメディアでの企画・演出・脚本等を担当しています。主な映画・ドラマ作品には「ゆきおんなの夏」「追いかけてキス」「12ヶ月のカイ」などがあります。
脚本監修は狗飼恭子。高校時代から雑誌に小説を発表し、一貫して恋愛をテーマにした作品を描いています。また、脚本家として2004年「天国の本屋 恋火」でデビューし、数多くの映画の脚本を手掛けています。
音楽は、ピアニスト兼プロデューサーとして全国各地で公演を行うなど精力的に活動を展開している久保田千陽。主題歌はシンガーソングライター小玉しのぶの「Hello」。
そして、大学在学中にmanmaを設立し、学生が子育て家庭の日常生活に1日同行し、生き方のロールモデルに出会う体験プログラム「家族留学」を開始した新居日南恵(特定非営利活動法人manma理事)がスペシャルサポーターとして参加しています。
■「プロダクトプレイスメント」と「デジタル・プレイスメント」って何だ?
それでは作品の中に、どのように広告が掲出されるのでしょうか。テレビドラマや映画の劇中で、小道具や背景に企業の商品やロゴを映り込ませることでPRする広告手法が「プロダクトプレイスメント」です。この方法は、テレビドラマや映画の撮影時にPRしたい商品を入れ込まなければならないため、撮影後にテレビドラマや映画が公開されるまでの期間中に新しい商品が出てしまうという問題が発生する点など、いろいろとスケジュール面の調整作業や懸念点がありました。
この課題を解決するのが「デジタル・プレイスメント広告」です。日本初のサービスである日本映画・映像専門の海外向けオンラインマーケットを展開するフィルミネーションが、日本人の若手映画監督や海外進出を目指す日本映画支援しています。今回、「デジタル・プレイスメント広告」を日本で推進している、カカクコムグループのガイエ協力のもと、デジタル・プレイスメント専門会社の英Mirriad社の特許技術を活用し、実現困難とされてきた「ロゴ、商品をオンデマンドで映像に入れ込むデジタル・プレイスメント」という新しい手法によるプロジェクトをスタートさせたのです。
■「デジタル・プレイスメント広告」の可能性とは
「デジタル・プレイスメント」の技術によって、映像収録後でも商品画像さえあれば、後付けで映像内に入れ込むことができます。また、AIの活用によりカメラの動き・背景・露出時間などを自動解析することで最適なプレイスメント箇所が提案され、プロダクトプレイスメント作業を数日間という短期間で行うことが可能。視聴者、ユーザーの属性に合わせて、入れ込む商材を出し分ける、といったターゲットに合わせた配信もできます。
この技術を活用することで、視聴者は広告に煩わされることなく映像を視聴することができ、広告主は自然な流れで自社の商品情報を露出することが可能です。最近では、有料動画配信サービスにおいて広告により新たな収益を得る取り組みも話題となっていますが、この手法を取り入れることで収益面も含め、若手映画監督や、海外進出を目指す日本映画支援を具現化することができます。今回も、北海道札幌市中央区に本社を置く、日本の航空会社「AIR DO」が協賛しています。
■映画の自然な流れの中での商品情報露出
「マイライフ、ママライフ」では、街の風景の数シーンでビルの看板に「AIR DO」の広告が露出しますが、物語の流れや内容を損なうような露出にはなっていません。今回の企画に参加する作品は「ココロ、オドル」「マイライフ、ママライフ」のほか、フィルミネーションが厳選した、海外進出を目指す有望な若手映画監督作品が予定されています。
「デジタル・プレイスメント広告」が映画作品の中で広がり、どれくらいの広告効果を発揮していくのか注目されます。そして、それによって日本人の若手映画監督や海外進出の支援につながっていくことが期待されます。11月22日から2023年3月末まで、「シネマ映画.com」上で順次公開(配信)していきます。通常版と「デジタル・プレイスメント広告版」を配信していますので、見比べてみてください。「デジタル・プレイスメント広告版」は通常版よりお安く視聴できます。(執筆/編集 和田隆)