若松孝二
宮城県出身。農業高校を中退して上京。TVドラマの助監督を経て、63年にピンク映画「甘い罠」で映画監督デビューする。65年、若松プロダクションを設立。反体制的な主張を込めた作品を数多く発表し、学生運動の高まりとあいまって若者の支持を得る。大島渚監督の「愛のコリーダ」(76)では製作を務めた。その後も、権力や体制に対する怒りを原動力に社会派の作品を生み出し、国内外で評価を高める。08年、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」でベルリン国際映画祭のNETPAC賞(最優秀アジア賞)と国際芸術映画評論連盟賞を受賞。「キャタピラー」(10)では、主演の寺島しのぶに同映画祭の最優秀女優賞をもたらした。12年10月12日、東京都内で交通事故に遭い、5日後の17日に逝去。享年76歳だった。中上健次の小説を映画化した「千年の愉楽」(12)が遺作(13年春公開予定)となった。