アッバス・キアロスタミ
イラン・テヘラン出身。大学卒業後はグラフィックデザイナーとして活動する。30歳から映画制作を始め、1987年の監督作「友だちのうちはどこ?」で国際的に注目を集める。「そして人生はつづく」(92)など自身の作品だけでなく、愛弟子ジャファル・パナヒの初監督作「白い風船」(95)などの脚本も執筆する。「桜桃の味」(97)はカンヌ国際映画祭で今村昌平監督の「うなぎ」とパルムドールを分かち合い、「風が吹くまま」(99)ではベネチア国際映画祭の審査員グランプリを受賞。ドキュメンタリータッチの作風を得意とし、イランを代表する映画監督として名を馳せる。「トスカーナの贋作」(10)では、初めて母国を離れイタリアで製作。続く「ライク・サムワン・イン・ラブ」(12)では日本を舞台に選び、高梨臨、奥野匡、加瀬亮らを起用した。16年7月、消化器系のがんの治療のため滞在中だった仏パリで死去。ベネチア国際映画祭の第70回を祝して製作された、70人の監督によるオムニバス映画「Vinice 70: Future Reloaded」(13)の1編が最後の監督作となった。享年76歳だった。