白い風船

劇場公開日:

解説

お金を落とした少女が体験する冒険を描く、詩情とみずみずしさあふれる児童映画の秀作。「オリーヴの林をぬけて」でアッバス・キアロスタミ監督の助監督を勤めたジャファール・パナヒ監督の長編第一作で、編集と美術も担当。出演は素人ばかり。パナヒ監督の、“ある映画の、ある登場人物に完全にぴったりはまる人は一人しかいない”という方針に従って、イラン各地から集められたのが子役のアイーダ・モハマッドカーニを始め、フェレシュテ・サド・オラファイ、モハマッド・シャハニ、アンナ・ブロコフスカ、モハマッド・バフティアリ。ただし最初に兄の役の予定だった少年がその後海外に移住してしまったため、この役は6000人のオーディションの末モフセン・カリフィが選ばれた。95年カンヌ国際映画祭“黄金のカメラ”(新人監督)賞、同年東京国際映画祭ヤングシネマ部門でさくらゴールド賞(第一位)受賞。

1995年製作/85分/イラン
原題:Badonak-E Sefid/The White Baloon
配給:パルコ
劇場公開日:1996年3月23日

ストーリー

イスラム暦の大晦日。ラジェ(アイーダ・モハマッドカーニ)はお母さん(フェレシュテ・サド・オラファイ)に新年飾りの金魚を買ってくれとせがむが、うちの水盤の金魚と同じだと言って取り合ってくれない。市場の金魚は太っててヒレが大きくて花嫁さんみたいに綺麗なのに……お兄ちゃんのアリ(モフセン・カリフィ)がお母さんと掛け合い、やっと買ってもらえることになった。大事なお札を金魚鉢に入れ、市場に走るラジェ。途中で寄り道して意地悪な蛇遣いにお金を巻き上げられそうになるが、相棒の小父さんがお金を返してくれた。ところが金魚屋につくとお金がない。来た道を探したら見つかるよと小父さんに言われ、親切な老婦人(アンナ・ブロコフスカ)も一緒に来てくれた。はたしてお札は道端の側溝の格子に引っ掛かっていた。ところがラジェが駆け寄る直前にオートバイがその上を通り、お札は側溝に落っこちてしまう。親切な老婦人はすぐ側の仕立屋のバフティアリさん(モハマッド・バフティアリ)に頼んでくれたが、老婦人が行ってしまうとバフティアリさんは客との喧嘩に夢中でラジェのお札どころではない。とりあえず金魚屋の小父さんにはお金が見つかったと知らせ、小父さんは金魚をくれたが、お金が取れるまで預かってもらう。側溝のそばで困っているとお兄ちゃんが心配してやって来た。バフティアリさんは正月休みが終わって隣の店の人が帰ってきてから取ってもらえばいいという。お兄ちゃんは店の人の家を探しに行き、ラジェは兵隊さん(モハマッド・シャハニ)に話しかけられる。彼には彼女と同じくらいの妹が二人いるが、お金がないので田舎に帰れないのだそうだ。今度はアフガン人の風船売りの少年が通りかかり、お兄ちゃんは彼が風船を繋いでいる棒を強引に借りる。最初は怒っていた少年だが、事情が分かるとお札をくっつけるためのガムまで買ってきてくれた。少年のおかげでやっとお札が取れた。兄妹は一目散に金魚屋に走っていく。後には白い風船の残った棒を持った、風船売りの少年だけがぽつんと残された。新しい年が明ける。

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