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「トロン:アレス」あらすじ・概要・評論まとめ ~デジタルが現実を侵食する「トロン」の新局面~【おすすめの注目映画】

2025年10月16日 09:00

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「トロン:アレス」
「トロン:アレス」
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近日公開または上映中の最新作の中から映画.com編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介!

本記事では、「トロン:アレス」(2025年10月10日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。


画像2(C)2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
【「トロン:アレス」あらすじ・概要】

長編映画として世界で初めて本格的にCGを導入したことでも知られるSF映画「トロン」のシリーズ第3作。

1982年に公開された第1作「トロン」では、天才プログラマーのケヴィン・フリンがデジタル世界に送り込まれ、命を懸けたゲームに挑む姿を描き、その画期的な設定と映像技術で話題を呼んだ。28年後の2010年には続編の「トロン:レガシー」が公開され、当時最先端の映像とダフト・パンクが手がけた音楽でも注目を集めた。そして本作「トロン:アレス」では、これまでの「現実世界の人間がデジタル世界へ足を踏み入れる」構図が逆転。デジタル世界から現実世界へ、実体化した超高度AIプログラムが襲来する。しかし、彼らが現実世界で生存できるのはわずか29分間だけ。やがて、29分以上生存することができる手段を求めて、AI兵士たちが暴走を始める。

未来を変えるミッションを遂行するため現実社会に送られてきた、戦うためだけに開発された人型AIのアレスを、「スーサイド・スクワッド」「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャレッド・レトが演じる。監督は「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」「マレフィセント2」を手がけたヨアヒム・ローニング。音楽を「ソーシャル・ネットワーク」「ソウルフル・ワールド」でアカデミー賞受賞歴を持つトレント・レズナーアティカス・ロスが率いるバンド「ナイン・インチ・ネイルズ」が担当。バンド名義での映画音楽の担当は本作が初となる。


【「トロン:アレス」評論】
●デジタルが現実を侵食する「トロン」の新局面(執筆:尾﨑一男)
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1982年に公開された「トロン」は、映画史におけるCG革命のフラッシュポイントであり、視覚表現の新たな地平を切り拓いた記念碑的作品である。だがそれ以上に重要なのは、工業デザイナーのシド・ミード、バンド・デシネ作家ジャン・“メビウス”・ジロー、そしてイラストレーターのピーター・ロイドらが築き上げたプロダクションデザインの存在だ。青白く発光するスーツ、無限に広がるグリッドの地平――。これら冷たい幾何学と有機的曲線が交わる独創的な造形美は、誕生から40年以上を経た今もサイバーパンク美学の原点として息づいている。

最新作「トロン:アレス」は、その意匠をスタイリッシュに継承・発展させつつ、現代的な問いを内包する。前回「トロン:レガシー」(2010)が提示した「デジタルと人類の共存」というテーマをさらに深化させ、AI時代におけるプログラムの存在そのものを定義する構成となっている。タイトルキャラクターのアレス(ジャレッド・レト)は、その渦中に置かれた宿命のマスタープログラムだ。

物語は、シリーズを貫く宿命的な系譜――エンコム社と宿敵デリンジャー社の対立を軸に展開する。AI技術を軍事利用しようとする後者と、医療や環境保全への応用を模索する前者が、フリン(ジェフ・ブリッジス)の遺した「デジタル資産を永続させるコード」をめぐり、熾烈な攻防を繰り広げる。

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その戦いは、光と肉体が融合するかのようなライド感を伴い、映像としても圧倒的な身体性と躍動感を放っている。夜の都市を残光で切り裂くライトサイクル、高層ビル群を圧倒する巨大ゲート、そして地表を蹂躙するグリッドのプログラムたち――。これらは単なる視覚的スペクタクルにとどまらず、現実と仮想の境界が曖昧になったことによるカタルシスをもたらす。「トロン」が長らく予見してきたデジタル世界の侵食が、現実として立ち現れた瞬間だ。

いっぽう聴覚面では、いまや映画音楽界の最前線に立つトレント・レズナーアティカス・ロスが、ナイン・インチ・ネイルズの名を掲げて猛威をふるう。重厚で威嚇的なインダストリアル・サウンドが作品全体の緊迫感を倍加。金属的なリズムと唸る重低音のグルーヴがスクリーン全体を振動させ、ノンストップな展開にすさまじい推進力を与えている。

筆者は、そんなめまいを覚えるような様相に、小説版「トロン」の序文を思い出す。

「プログラムの世界は、我々が考える以上に広大だ。プログラムが演算法以上の何物でもないというなら、人間も化学物質の集合にすぎないというようなものだ」。
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テクノロジーと人類の関係を寓話的に描いてきた「トロン」は、パーソナル・コンピュータという概念がまだ一般化する前の我々には、あまりにも早すぎる存在だった。しかしAIや自動運転、デジタル資産といった要素が現実となった今、その概念はもはや空想ではなく、リアルなものとして眼前を覆う。我々がそこに目撃するのは、創造性豊かにデザインされた電子世界ではない。すでに到来した世界そのものなのだ。

かつて時代の遥か先を走っていた「トロン」の哲学とヴィジョンは、いまや現実とクロスリンクを果たしたのである。

執筆者紹介

尾﨑一男 (おざき・かずお)

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映画評論家&ライター。主な執筆先は紙媒体に「フィギュア王」「チャンピオンRED」「映画秘宝」「特撮秘宝」、Webメディアに「ザ・シネマ」「cinefil」などがある。併せて劇場用パンフレットや映画ムック本、DVD&Blu-rayソフトのブックレットにも解説・論考を数多く寄稿。また“ドリー・尾崎”の名義でシネマ芸人ユニット[映画ガチンコ兄弟]を組み、TVやトークイベントにも出没。

Twitter:@dolly_ozaki


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