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【第50回トロント国際映画祭】注目の世界初上映作 クリス・エバンス「Sacrifice」、ラッセル・クロウ×ラミ・マレック「Nuremberg」、マッツ・ミケルセンの異色ホラーなど

2025年9月11日 15:00

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「Dust Bunny」
「Dust Bunny」
Courtesy of TIFF

カナダ・トロントで「第50回トロント国際映画祭」が開催中だ。本映画祭では、毎年アカデミー賞の受賞に直結する作品や、豪華ハリウッド俳優陣が共演した話題作が上映される。本記事では、50回目となる本映画祭での世界初上映作品を厳選して紹介する。

▼「Sacrifice」(ロマン・ガブラス監督、スペシャル・プレゼンテーション)
「SACRIFICE」
「SACRIFICE」
Courtesy of TIFF

クリス・エバンスアニャ・テイラー=ジョイバンサン・カッセルジョン・マルコビッチといった豪華な俳優陣が顔をそろえ、「アテナ」(2022)で知られるロマン・ガブラス監督の新作「Sacrifice」は、世界の崩壊をめぐる犠牲の寓話をスタイリッシュに描いている。環境破壊による地球滅亡の危機が久しく叫ばれるなか、エバンス演じる落ち目のスター、マイクは、カッセル扮するブレイキンが主催する環境会議に参加する。ブレイキンは、胡散臭い深海鉱物産業への支持を取りつけようと暗躍する人物であり、マイクはその場で自らのイメージを刷新しようと目論む。しかし、会議の場を襲撃するのは終末論を掲げる環境テロリストたち。その首謀者ジョーン(テイラー=ジョイ)は、火山の噴火による世界の終焉を告げ、それを回避するには人間を火口へ投げ入れる「供犠」が不可避であると宣告する。こうしてマイクらは、その苛烈な選択を前に逡巡しつつ、やがて自らの運命を受け入れることを余儀なくされていく。本作は、環境問題という切迫した現実を突きつける政治的な映画であると同時に、犠牲の寓話を鮮烈に織り込み、さらに俳優陣の存在感が豊かに響き合う、重厚かつ娯楽的な大作として結実している。

▼「EPiC:Elvis Presley in Concert」(バズ・ラーマン監督、スペシャル・プレゼンテーション)
「EPiC:Elvis Presley in Concert」
「EPiC:Elvis Presley in Concert」
Courtesy of TIFF

バズ・ラーマン監督は、2022年にオースティン・バトラーを主演に迎え、エルビス・プレスリーの肖像を解体するフィクション映画「エルヴィス」を製作した。その3年後、ラーマンは「ドキュメンタリー」という手法を用いて、再びプレスリー像に果敢に挑んでいる。本作は、1967年にインターナショナル・ホテルで数回の公演が予定されていたものの、好評を博した結果、実に7年間継続された「INTERNATIONAL」の深層を、近年発掘されたアーカイブ映像を通じて映し出したものである。外部の証言やインタビューを一切排し、あくまでもプレスリー自身の映像と言葉のみで構成された本作は、単なる「コンサートの記録映像」の域を超え、プレスリーの音楽性がいかに形成されたのかという「創造」のプロセスを浮かび上がらせることに成功している。リハーサルとライブとを往還する映像の中で、プレスリーが音楽を生み出していく過程が刻まれており、本作はプレスリー像の再検討を超えて、音楽という芸術そのものを考察する契機となる作品である。

▼「Nuremberg」(ジェームズ・バンダービルト監督、ガラ・プレゼンテーション)
画像4Courtesy of TIFF

戦後80年を迎える今年、世界各地でナチス政権による戦争犯罪を検証する映画作品が数多く製作されている。その中には、キリル・セレブレンニコフ監督の新作「The Disappearance of Josef Mengele」(2025)のように、犯罪に直接従事した当事者に焦点を当てたものも含まれる。ジェームズ・バンダービルトが監督を務め、ラッセル・クロウラミ・マレックマイケル・シャノンといった豪華俳優陣が出演する「Nuremberg」は、13年に出版されたジャック・エルハイによるルポルタージュ「The Nazi and the Psychiatrist」を原作とし、ナチスの戦争犯罪を裁くために1945年から46年にかけて開かれたニュルンベルク裁判をめぐる人々の葛藤を描いた作品だ。マレック演じる精神科医は、クロウ扮するヘルマン・ゲーリング(ナチスの最高幹部であり、ヒトラーの後継者と目されていた人物)の精神鑑定を通じて、「悪」に関する新たな著作の出版を構想する。一方、裁判所の設立を任されたジャクソン判事(シャノン)は、裁判への協力を拒み続けるゲーリングをいかに法廷に立たせるかという難題に直面し、苦悩する。本作は、戦争犯罪を裁く「世紀の裁判」をめぐる駆け引きとプロセスを描き出す中で、その歴史的意義を改めて問い直していると言える。

▼「Dust Bunny」(ブライアン・フラー監督、ミッドナイト・マッドネス)
「Dust Bunny」
「Dust Bunny」
Courtesy of TIFF

多くのハリウッドスターが出演する作品が上映される中にあっても、本作ほどスター像の新機軸を切り拓いた豪快な作品は他に見当たらない。「ハンニバル」(13~15、トロントで撮影された)で知られるブライアン・フラーが満を持して送り出す初の長編映画「Dust Bunny」は、名優マッツ・ミケルセンの新たな側面を存分に堪能できるコメディ・ホラー作品である。物語は、とある家に暮らす少女が、自らの里親を食い殺した怪物を倒すため、奇妙な殺し屋(ミケルセン)を雇おうとすることから展開する。ミケルセンがこれまで演じてきた冷徹な人物像とは対照的に、クールでありながらもどこか抜けたユーモラスな殺し屋像は、「タクシー・ドライバー」や「レオン」が継承してきた「強い男と少女の連帯」という図式を、新たなかたちへと刷新することに成功している。さらにシガニー・ウィーバーをはじめとするホラー映画史を彩ってきた名優陣に囲まれながら、コメディアンチックな身振りを交えつつも、アクションスターとしての存在感を遺憾なく発揮した、これまでにない新たなミケルセンの魅力を堪能できる作品となっている。(小城大知

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