ターセム「落下の王国」4Kリマスター版11月21日公開 フィンチャー&スパイク・ジョーンズが製作サポート、衣装は石岡瑛子
2025年9月6日 12:00

2008年の日本公開以来、国内では配信されていなかったカルト的ファンタジー大作「落下の王国」(原題:THE FALL)が、11月21日4Kデジタルリマスター版で公開される。
「ザ・セル」で鮮烈なビジュアル世界を築き、世界に衝撃を与えた“映像の魔術師”ターセム監督が、構想26年、撮影期間4年の歳月をかけて完成させた圧巻の美術絵巻。4Kデジタルリマスターでは、オリジナルの劇場公開版でカットされたシーンが新たに追加され、より濃密な没入体験を実現。CGに頼らず、13の世界遺産、24カ国以上のロケーションを巡って撮影された息を吞む“本物”の映像が描き出す、まるで万華鏡を覗くような世界観を観る者にもたらす。
時は1915年。映画の撮影中、橋から落ちて大怪我を負い、病室のベッドに横たわるスタントマンのロイは、自暴自棄になっていた。そこに現れたのは、木から落ちて腕を骨折し、入院中の5才の少女・アレクサンドリア。ロイは動けない自分に代わって、自殺するための薬を薬剤室から盗んで来させようと、思いつきの冒険物語を聞かせ始める。それは、愛する者や誇りを失い、深い闇に落ちていた6人の勇者たちが、力を合わせて悪に立ち向かう。
デビッド・フィンチャー、スパイク・ジョーンズが、盟友ターセムが私財を投入して挑んだ壮大な自主製作映画である本作製作をサポートし、フランシス・フォード・コッポラ監督作「ドラキュラ」でアカデミー賞衣装デザイン賞受賞、チャン・イーモウ演出の2008年北京オリンピック開会式のコスチュームも担当した、故・石岡瑛子が衣装を手掛け、煌びやかにして未知なる視覚領域を拡張し、独自の美術世界を創出した。
塚本陽氏が手掛けた日本版ポスタービジュアルは、映画撮影中の事故で傷を負った主人公のスタントマン・ロイが、入院中の少女アレクサンドリアに語り聞かせる、幻想的な物語の一場面を切り取ったもの。圧倒的な自然美と静寂が漂う、荘厳で神秘的なロケーションは、インドのラダック地方にある塩湖・パンゴンツォで撮影されたもの。まるで絵画のようなこの1カットは、ターセム監督が地球規模で捉えた“世界中の美”を象徴する場面として、映画の中でも特に印象的なシーンとなっている。
世界中のアートやファッション、音楽、建築、民族文化のエッセンスを横断しながら、17年経った今もカルチャーとしての価値を放ち続けるタイムレスな傑作であり、4Kデジタルリマスター版上映では、手のひらの上では味わえない、感性を揺さぶる本物の体験を味わうことができるだろう。
11月21日から、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国公開。
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