「バレリーナ The World of John Wick」あらすじ・概要・評論まとめ ~スタントの意味を再認識させられる人気シリーズのスピンオフ~【おすすめの注目映画】
2025年8月21日 10:30

近日公開または上映中の最新作の中から映画.com編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介!
本記事では、「バレリーナ The World of John Wick」(2025年8月22日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。

キアヌ・リーブス主演の大ヒットアクション「ジョン・ウィック」シリーズのスピンオフ作品。シリーズ第3作「ジョン・ウィック パラベラム」とクロスオーバーしながら、新たな暗殺者の復讐劇を描く。主演は「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」「ブレードランナー 2049」のアナ・デ・アルマス。
伝説の殺し屋ジョン・ウィックを生み出した組織「ルスカ・ロマ」で殺しのテクニックを磨き、暗殺者として認められたイヴは、ある殺しの仕事の中で、亡き父親に関する手がかりをつかむ。父親を殺した暗殺教団の手首にあった傷が、倒した敵にもあったのだ。コンチネンタルホテルの支配人・ウィンストンとその忠実なコンシェルジュのシャロンを頼り、父親の復讐に立ち上がるイヴだったが、教団とルスカ・ロマは、はるか以前から相互不干渉の休戦協定を結んでいた。復讐心に燃えるイヴは立ち止まることなく、教団の拠点にたどり着くが、裏社会の掟を破った彼女の前に、あの伝説の殺し屋が現れる。
アナ・デ・アルマスのほか、「ウォーキング・デッド」のノーマン・リーダス、「ユージュアル・サスぺクツ」のガブリエル・バーンらが新たな顔ぶれとして参加し、キアヌ・リーブス、イアン・マクシェーン、ランス・レディック、アンジェリカ・ヒューストンらシリーズおなじみのキャストも再登場。「ジョン・ウィック」シリーズのチャド・スタエルスキがプロデューサーを務め、「ダイ・ハード4.0」「アンダーワールド」のレン・ワイズマンがメガホンを取った。

キアヌ・リーヴスがアクション俳優として美しい動きで観客を魅了して来た「ジョン・ウィック」シリーズ(2014~)にも、遂にスピンオフが登場。時系列的にはシリーズ第3作「ジョン・ウィック パラベラム」(2019)と第4作「ジョン・ウィック コンセクエンス」(2023)の間に設定されている。今回、キアヌが物語にどう関わるのかはさておき、第3作で難しいターンを繰り返していたバレリーナの少女が、闇の組織、ルスカ・ロマの下で一人前の殺し屋、イヴ・マカロへと成長し、父親の仇を討つために始動するというがプロットだ。
とあるミッションを遂行する過程で、父親を殺した暗殺教団の手がかりを掴んだイヴが、身寄りのない自分をルスカ・ロマへと導いてくれたコンチネンタル・ホテルの支配人、ウィンストンと忠実なコンセルジュ、シャロンの協力を得て、怒涛のリベンジに着手していく。思えば、第1作でジョン・ウィックの怒りに火をつけたのが、亡き妻からプレゼントされた愛犬を殺された恨みと喪失感だったわけで、復讐の動機はそれなりにアップデートされた、と言えるだろうか。

アクションシーンはいつも通りアイディア満載だ。イヴが予め用意していた拳銃の類いや、背中に背負った日本刀を使って敵を絶命させるのはもちろん、たまたま氷の上に突き刺さっていたトマホークや側にあった意外な物たちが戦いの道具として即興的に使われる。つくづく、このシリーズのアクションはコレオグラフ(振り付け)と呼ぶに相応しい流れと即興性が魅力なのだと再認識した。演じるアナ・デ・アルマスはキアヌと同様、厳しい特訓を積んで撮影に臨んだという。アルマスのキャスティングは勿論、「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2023)でのコケティッシュなボンドウーマンぶりが評価されてのことだが、特訓の一つとしてチャレンジしたあるシーンでは、その手応えがあまりにリアル過ぎて泣き崩れたとアルマス自身が告白している。
しかし、俳優がどれほど自分でスタントをこなしたところで、それを受けていなせる一流のスタントマンがいなければ動きに流麗さは生まれない。俳優からスタントマンへの繋ぎも肝心だ。「ジョン・ウィック」シリーズ、そして、このスピンオフ映画は、そのあたりを熟知しているスタントマン出身の監督、チャド・スタエルスキが製作、または監督として関わった、スタントを見せるための作品群。だから、気がつくとリアルでリズミカルな格闘シーンに惹きつけられてしまうのだ。

因みに、本作のために動員されたスタントマン及び関連する業務に関わった人数は、アルマスのスタントダブルを担当したカーラ・マリー・チュールジャンを始め、総勢100名以上。例えば「ミッション: インポッシブル ファイナル・レコニング」(2024)のスタントチーム60名と比べても格段に多い。
執筆者紹介
清藤秀人 (きよとう・ひでと)
アパレルメーカーから映画ライターに転身。TVガイド、TV TARO、TV Bros等にレビューやインタビューを執筆。著書としてファッションの知識を生かした「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」(近代映画社)「FUNNY FACE」(マガジンハウス)他。
Twitter:@hidetokiyotoh

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