本物のルノワール、マグリットも!リッチな美術品溢れるセットを紹介 ウェス・アンダーソン「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」特別映像
2025年8月20日 17:00

第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されたウェス・アンダーソン監督の最新作「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」の特別映像が公開された。
今作は、「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」(21)にも出演したベニチオ・デル・トロを主演に迎え、ケイト・ウィンスレットの娘で俳優のミア・スレアプレトン、「バービー」(23)でアランを演じたマイケル・セラ、アカデミー賞ノミネート俳優リズ・アーメッドらウェス組初参戦のキャスト、ウェス作品常連のトム・ハンクス、スカーレット・ヨハンソン、ブライアン・クランストン、マチュー・アマルリック、ジェフリー・ライト、ルパート・フレンド、ホープ・デイビス、そして物語の重要なカギを握る人物にベネディクト・カンバーバッチと超豪華キャストが競演し、ウェス・ワールドを盛り上げる。
ヨーロッパ屈指の大富豪ザ・ザ・コルダ(ベニチオ・デル・トロ)は、フェニキア全域に及ぶ陸海三つのインフラを整備するという大規模プロジェクト「フェニキア計画」の実現を目指していた。全大陸で最も引く手あまたのディールメーカーで、非情な資本家、実業家、事実上の外交官として、定住所なくして複数のパスポートを持ち、国境にもルールにもほとんど縛られることなく各国を飛び回っている。しかし、冷酷で手段を選ばないやり口から、幾度も暗殺を仕掛けられ、その度に奇跡的に生き延びてきた。そんなザ・ザの生涯をかけた一大プロジェクトのさなか、ライバル企業はもちろん、各国の政府までもがザ・ザの命を狙い始める。

この程公開された映像は、ザ・ザ・コルダの邸宅のいたるところに飾られている絵画や美術品を紹介するもの。なんと、本作に登場するいくつもの名画は、実在の本物を各地から集めているのだ。通常、映画を撮影する際、美術館やコレクションから本物の絵を持ちだすことはない。アンダーソン監督も過去作ではオリジナルで美術品を作成したり、レプリカを使用してきているが、本作ではアンダーソン監督の強い希望で“本物”の美術品を集めることになった。アンダーソン監督は「今回は“収集家”であり“所有欲の強い”キャラクターが登場します。ザ・ザは物を所有することにこだわる人物。そして今回はアートとビジネスが入り混じった物語なので、本物を使ってみようと考えたのです」と話す。
まず登場するのは、ベルギーの画家であるルネ・マグリットの《赤道》。ベルリンの個人から借りたという。修復家や美術品専門の搬送チームなど万全の準備で設置、撮影が行われている。さらに、フランスの印象派画家、ルノワールによる幼い甥、エドモンの肖像画《青い服の子供(エドモン・ルノワール)》も登場する。アンダーソン監督は、この絵をリーズルのベッドの上に飾りたいと要望したそうだ。実業家としてビジネス第一で動くザ・ザの内面に潜むやさしさを示唆するだけでなく、物語が進むにつれ、現実や記憶を再構築するためのカギを示すサインにもなっている。つまり、リーズルはザ・ザの“これから”を左右する重要な存在ということが表されているのだ。
ザ・ザ邸の大理石の壁に立てかけられていくつもの古典絵画や彫刻はハンブルクの美術館から借用した。壁に立てかけられた美術品からは、物が常に出入りしていることが読み取れる。ザ・ザの莫大な資産と、熱心な収集家であることが暗示されている。圧巻の作品群は、ザ・ザの人となりを表現するように配置され、ザ・ザの大きな願望だけでなく、不安までも映し出しているという。
“本物”の放つオーラはキャスト、スタッフ全員に刺激とエネルギーをもたらした。アンダーソン監督は当初から、そのオーラが作品に良い作用をもたらすと信じていたという。「キャストにとっても“本物”が飾られているということは意味を持つと思いました。画面の中でもセットでも、“本物”だということを感じるはずです。レプリカとはやはり全く違うオーラがある。作品の保護のために手袋をした係員が歩き回っているのも面白いと思いました」
劇中で、ザ・ザが息子のひとりに進言する「良い絵は買うな 本物の名作を買え」というセリフさながら、スクリーンに映し出されるアンダーソン監督のこだわりぬいた美意識が感じられる映像となっている。映画は9月19日からTOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイント他全国で公開。
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