芦田愛菜&岡田将生、細田守作品に初参加 「果てしなきスカーレット」復讐に燃える中世の王女&旅を共にする現代の看護師役
2025年7月4日 05:00

「時をかける少女(2006)」、「サマーウォーズ」などで知られる細田守監督の最新作「果てしなきスカーレット」の声優キャストが発表され、芦田愛菜と岡田将生が参加していることがわかった。芦田は復讐という狂気に取りつかれた主人公、中世の王女・スカーレット役で主演を務め、岡田はスカーレットと旅を共にすることになる心優しい現代の日本人看護師・聖(ひじり)を演じる。芦田と岡田は共に本作で細田監督作品に初参加となる。
本作で描くテーマは、“生きる”。「人は何のために生きるのかを問う、骨太な力強い映画を目指したい。今、この大きなテーマを、観客と一緒に考えたい」という細田監督の思いから始まった本作は、主人公の王女・スカーレットが父の復讐に失敗するも、“死者の国”で再び、宿敵に復讐を果たそうとする物語。
「怪盗グルー」シリーズや「映画 えんとつ町のプペル」など数々のアニメ作品に出演してきた芦田が演じるスカーレットは、元々、戦いよりも平和を望む父親を尊敬する心優しき王女だったが、父親を目の前で殺されたことから、復讐に取りつかれていくという役どころ。復讐相手に怒りを露わにし、アクションシーンでは声を張り上げたかと思えば、自身の復讐心に対して苦悩するなど感情の起伏が激しく、同時に繊細さも求められる。スカーレットの子ども時代も描かれ、子ども時代と19歳のスカーレットを、当時19歳で同い年の芦田が豊かな声色で演じ分けた。

本作での芦田について、細田監督は「スカーレットをここまで表現できたのは芦田さんのおかげです。凄まじい演技の連続で、なんと素晴らしい俳優なんだ、と収録中、何度も驚きました。復讐に取り憑かれた中世の王女に、芦田さんは全身全霊で憑依しています。彼女の可愛らしい外見からはとても想像できないほど、本番中は迫力に満ちています。圧倒的な狂気と、身悶えするほどの葛藤、そしてその奥に隠れた清らかな人間性が、十二分に表現されています。芦田さんのお芝居は、この映画の大きな見どころのひとつです」と絶賛している。
スカーレットと旅を共にする心優しい看護師・聖の声を担当する岡田は、本作で長編アニメ作品に初挑戦。聖は現代日本で日々命と向き合う生活を送っている看護師だが、ある日、“死者の国”で目を覚まし、そこでボロボロに傷ついたスカーレットに出会う。傷ついた人を癒すことを使命としている聖は、スカーレットに何の見返りもなく手を差し伸べ、そんな聖に対し、スカーレットは反発するも次第にその関係にも変化が……。なぜ自分が“死者の国”に迷い込んだのか分からないままスカーレットの旅を支え、バディとなる重要なキャラクターとなっている。
岡田について、細田監督は「演技が上手くて誠実で、でも謙虚で控えめな方でもある。“聖ってこういう人かもな”と、聖の人物像を、岡田さんを通して理解したような感覚がありました。聖は、命に関して真摯に向かっていく能動的な力もあれば、スカーレットのように復讐という怒りと狂気を持った人物にそっと寄り沿って慰める優しさもある。この両面性は、岡田さんご本人の人間性とも通じるものがある、と感じます。役と俳優がぴったり噛み合っている、と強く思わせられました」と、聖というキャラクターを作り上げるのに、岡田の存在が大きかったことを語っている。
芦田と岡田は「星の子」以来5年ぶりの共演となった。当時の舞台挨拶では「次は仲の良い役で共演したい」と話していたが、復讐に取りつかれたスカーレットと、すべてを癒し包み込もうとする聖がどんな旅路を辿るのか、期待が高まる。
また、本作では細田作品初の試みとなる、プレスコアリング(以下、プレスコ)という収録方法で制作された。プレスコとは、まだ映像ができていない段階で、キャストの声を先に収録し、その声に対してアニメーションを制作していくという手法。キャストによる声の演技を聞いて、制作側が後からアニメーション表現を組み立てるため、いわば実写作品と同じような作り方になる。

芦田と岡田は1年前にプレスコし、今回改めてシーンにあわせてアフレコを行った。プレスコはそれぞれ別の収録だったが、アフレコでは芦田と岡田が一緒に収録することになり、「2人一緒に演じさせていただけて、聖とスカーレットの対比がとても演じやすかったです。一緒にアフレコができてよかったなと思っています」(芦田)、「今回の経験は僕にとってすごく大きいことで、大好きな細田監督とご一緒できて良かったと実感しています」(岡田)と語っている。
あわせて、幻想的な世界で剣を構えるスカーレットと聖を描いた新ビジュアルが披露された。「果てしなきスカーレット」は11月21日から公開。芦田、岡田のコメント全文は、以下の通り。
とある国の国王である父を殺された王女。宿敵に復讐を果たすため“死者の国”を旅する。
スカーレットは、中世の王女で私と同世代の19歳という設定ですが、根底にあるものや価値観が違う部分がたくさんあり、演じることがとても難しかったです。
監督から「現代の19歳と中世を生きる19歳は違う。一国の王女としての自覚や覚悟がある感じがほしい」と言葉をいただき、ジャンヌダルクやエリザベス1世など、動乱の世を生きた女性たちのことを調べ、少しずつ役作りしました。“復讐”とはどのような気持ちなのか、きっと大きな声を出さないと立ち向かっていけないだろうと想像しながら演じました。叫ぶシーンでは、少し戸惑いもありましたが、全力でやってみて“これだ!”と吹っ切れた瞬間があり、どんどん役が体に馴染む感覚がありました。
スカーレットは、復讐に燃えて狂気的に見える部分もありますが、そうせざるを得ない状況を思うと、愛おしく、まっすぐ駆けていく姿は、観てくださる方々も応援したいと思ってもらえるのではないかと思います。
混沌とした世界の中で一生懸命に生きようとする人々が描かれた作品ですが、それは現代世界にも通じる部分があり、また、苦しいことや絶望してしまうことがたくさんある中、それでも一生懸命前を向いて生きようとする人々に、いち観客として心打たれました。そのような明日への希望を感じていただける作品になっているのではないかと思います。
現代の日本から“死者の国”に来て、スカーレットと共に旅をする心優しい看護師。
長編アニメの声優に初めて挑戦しましたが、声だけでの表現はとても難しく、感情がこんなにも伝わりづらくなることを今回初めて知りました。色々なアニメを観させてもらっていますが、声優さんのすごさを改めて実感しています。
僕が演じた聖は、困っている人たちに何の見返りもなく手を差し伸べるような人で、簡単に言うととても理想主義者です。復讐に燃えるスカーレットの鞘(さや)のような存在となれるよう、彼女の支え方や寄り添い方、聖の優しさや誠実さを伝えられるようにキャラクター像を作っていきました。スカーレットから反発されるシーンもありますが、今この世界でとても必要な人だと思います。スカーレットが抱えている問題や彼女が導き出す答えを、皆さんも彼女とストーリーに沿って考えながら、聖を通して、優しさや人に対して誠実さを求めてはいけないのか、求めるべきなのか…感じ取っていただけたら嬉しいです。
細田監督の作品をいつも楽しみにしていましたが、自分がその内側に入れてもらえたことは嬉しくもあり、不思議な感覚です。正直、まったく内容を知らないまま、映画館で観たかった…と思ってしまう“細田作品ファンな自分”もいます。
いちファンとして作品が完成するのを楽しみにしています。皆さんも是非、楽しみにお待ちください。
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