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【「新幹線大爆破」評論】邦画史上屈指の傑作サスペンスを現代にアップデートさせた意欲作

2025年5月5日 07:00

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「新幹線大爆破」
「新幹線大爆破」
Netflixで世界独占配信中

1975年に佐藤純彌が監督、高倉健千葉真一山本圭ほかオールスターが出演、博多行き新幹線に仕掛けられた爆弾をめぐり、警察と犯人側の行き詰まる攻防戦を描いた東映の傑作パニック映画「新幹線大爆破」が、50年の時を経てNetflixの配信映画として甦る。監督は「シン・ゴジラ」の樋口真嗣。出演は草彅剛、のん、細田佳央太斎藤工尾野真千子ほか。

新青森発・東京行の新幹線「はやぶさ60号」に、時速100km以下になると作動する爆弾が仕掛けられた。車掌の高市(草彅)は乗客の命を守るため、本部の笠置指令長(斉藤)が出す指示のもと、運転士の松本(のん)らと事態の収拾に当たる。犯人は1000億円の身代金を要求。JR、警察、政府、そして乗客それぞれの思いが交錯する中、はやぶさは無事に東京まで行き着けるのか。

驚いたことに、本作は75年作品の続編となっている。先の事件は「109号事案」としてJR内部や警察でも情報共有されているという設定で、今回のストーリーにも深く関わってくる。前作が高度成長による社会の矛盾、個人の葛藤を描いていたのに対して、本作は大規模災害に見舞われる日本、高度な情報化ネット社会、個から集団へと変遷した働き方などが反映された。

特筆すべきは特撮、新幹線同士の衝突や爆発、破壊シーンが次々に登場する。6分の1スケールの模型を作り、福島県の施設で80mの線路を敷設して撮影されたシーンもあると言う。その迫力とディテールへのこだわりは、鉄道マニアも納得の出来だろう。ちなみに、プロップ・デザインとして庵野秀明の名がクレジットされている。

さらに今回は協力としてJR東日本が入っており、荒唐無稽にも見える救出作戦に現実性を持たせるアドバイスがあったという。撮影専用の列車を走らせ車内外シーンを撮影したり、草彅とのんを始めとする乗員チームへの演技指導も実施された。車両備品の貸与や、一般公開されていない車両情報などの共有も行われている。75年作品では一切の協力が得られず、逆に国鉄が東映に上映中止要請を申し入れたことを考えると、真逆の対応だ。

語り手が前作の犯人から車掌に変更されたり、JRの協力によって中身が忖度されるのでは、と配信前には多くの危惧が見られていたが、いざ公開されるとSNSでも称賛の声が溢れている。YouTuberや炎上議員、修学旅行生を登場させた多様なキャラクターや、本部が総力を結集して解決を模索する姿は、興味や深い感動を呼び起こす。犯人像と動機の掘り下げ方に唐突な感が否めないが、前作への敬意と新たな可能性に挑戦した本作は、邦画サスペンスの新たな指標になり得るだろう。(一部「旅と鉄道2025年6月号」を参考にしました)

(本田敬)

執筆者紹介

本田敬 (ほんだ・けい)

映画.com外部スタッフ。映像宣伝会社エクラン代表。監督は成瀬巳喜男とドゥニ、ビルヌーブ、女優は高峰秀子とブリット・マーリングが好み。落語好きで古典も新作も好きな爆笑派。


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