オスカー女優ジェシカ・チャステインがほぼノーメイクで、インディペンデント映画に出演した理由とは?
2025年1月30日 14:00

ジェシカ・チャステインが主演作「あの歌を憶えている」について語るコメントと新場面写真がお披露目。「タミー・フェイの瞳」で第94回アカデミー主演女優賞を受賞したチャステインが、ほぼノーメイクで、インディペンデント映画に出演した理由を明かしている。
本作は、米ニューヨーク・ブルックリンを舞台に、記憶に翻ろうされる不器用なふたりが出会い、新たな人生と希望を見つけていくヒューマンドラマ。メキシコの俊英ミシェル・フランコ(「或る終焉」「ニューオーダー」)がメガホンをとった。真実を愛で包み込む奥深い視線で、心に傷を抱えた男女が戸惑いながらも寄り添い、過去や人生と向き合う姿を静かに優しく描き出す。

物語の中心となるのは、ソーシャルワーカーとして働き、13歳の娘と暮らすシルヴィア(チャステイン)と、若年性認知症による記憶障がいを抱えるソール(ピーター・サースガード)。ふたりはある日、高校の同窓会で出会う。家族に頼まれ、ソールの面倒を見るようになったシルヴィアは、彼の穏やかで優しい人柄と、抗えない運命を与えられた悲しみに触れるなかで、少しずつ惹かれていく。しかし、彼女もまた過去のある傷を胸に秘めていた。
ソールに会うまでは、過去のトラウマから逃れるため、静かで規則正しい生活を黙々と送っていたシルヴィア。演じたチャステインは、「女神の見えざる手」での冷徹に仕事を遂行していく敏腕ロビイストや、「355」での史上最悪の秘密兵器を奪還するべく、世界中のスパイと手を組み奮闘するCIA最強のエージェントなど、数々の主演作で、たくましいキャラクターに扮してきた。

本作では「ターゲット」というディスカウントストアで自ら衣裳を選び、最低限のヘアメイクを施し、人間関係に葛藤しながらも何とか前へ進もうともがくシルヴィアを体現。チャステインは、出演への並々ならぬ意欲を、以下の通り語っている。
「私はずっと、もっと小規模な作品を作りたい、独自の視点を持ち自由に映画を作れる監督と仕事をしたいと思っていました。チヤホヤされるために映画に出ているのではありません、仕事と創造性のために映画を撮っているのです。この映画にはインディペンデントの映画の精神が詰まっています。なんと美しいことか、と思います。今回私は自分で髪を整えて、シルヴィアの服を買いに行きました。130ドルくらい使って、それを持ち帰って、フィッティングをしました。毎日自分で髪を整えていたのは気分がよかったし、楽しかったです」
海外メディアからは、「なぜ彼女が現役の最高のアメリカ人女優のひとりであるかを証明した」(ガーディアン)、「忘れられない演技」(バラエティ)、「本当に素晴らしく、息を呑む」(パリジャン紙)など、絶賛の声が寄せられた。なお、フランコ監督とチャステインが再びタッグを組んだ「Dreams(原題)」は、2月に開催される第75回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に選出されており、ふたりのコンビネーションに注目が集まっている。
「あの歌を憶えている」は2月21日に、東京の新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で公開。
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