ニューオーダー
劇場公開日 2022年6月4日
解説
「母という名の女」「或る終焉」などで知られるメキシコの俊英ミシェル・フランコ監督が、広がり続ける経済格差が引き起こす社会秩序の崩壊を描き、2020年・第77回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞したディストピアスリラー。裕福な娘マリアンは夢にまで見た結婚パーティの日を迎え、幸せの絶頂にいた。彼女が暮らす豪邸には、結婚を祝うため政財界の名士たちが集まってくる。そんな中、近所の通りで行われていた貧富の差に対する抗議運動が暴動化し、マリアンの家も暴徒たちに襲撃されてしまう。殺戮と略奪が繰り広げられ、パーティは一転して地獄絵図と化す。マリアンは運良く難を逃れたものの、次に彼女を待ち受けていたのは軍部による武力鎮圧と戒厳令だった。
2020年製作/86分/PG12/メキシコ・フランス合作
原題:Nuevo Orden
配給:クロックワークス
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2022年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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貧困層と富裕層の対立を描いているのだけど、一部を切り取って富裕層側からの目線で描いていて、全体像がよく分からず非常に食い足りない。もっとすごい面白いのを期待していて、実際面白くできそうなので残念だ。メイドが貴金属をごっそり盗っていくのがらしくていい。
2022年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
主人公は、富裕層家族の中で育った娘マリアン。幸せ絶頂の結婚式の日に、身内の手術費がないとお金を借りにきた昔の使用人に対しても、親身になって何とかしてあげたいと、親族や知り合いからお金を集めるために走り回る人格者でもある。
本作の世界観としては、貧困層の増加によって、政府や富裕層に対しての不満が爆発。使用人や労働者たち、そして同調する者たちが結託して、暴動に発展してしまっているというカオスなもの。
しかし今作が恐ろしい点は、現実に起きてもおかしくないということだ。
ある程度の誇張はされているものの、舞台となっているメキシコは、貧富の差が激しく、常に麻薬カルテルや人身売買、武装した強盗の襲撃など、危険が絶えず、穴を掘れば人骨が出てくるというような嘘のような本当の状況なだけに、フィクションとは言っていられない。
本作と同じような思想や不満をもった人々は、必ずいるのだ。
それを富裕層ではあるが、混じりっけのない人格者であるマリアンの視点で描かれるというのが、これまた皮肉に満ちている。
貧困層をバカにしたような、性格の悪い富裕層はいたぶられるというような、ホラーにおけるリベンジや教訓メタファーではなく、徹底的に人格者がいたぶられるのは複雑な気分にさせられるし、富裕層のもとに生まれたマリアンが自分の人生を恨むような、耐え難い体験の数々は、観ていてかなり辛くなってきてしまう。
『父の秘密』『母という名の女』といった濃厚な人間ドラマを撮り続けてきたミシェル・フランコが手掛けたスリラーという時点で、ストレートなものなはずがないとは思っていたが、ここまで後味が悪い作品だったとは……。
2022年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
刺激に飢えた人は観るべし!
メキシコの本当の姿がココにあると思います。
これはノンフィクションですが、フィクションです。
類似の「ボーダーライン」もお薦めです。
粛正、拷問、処刑、、、
新しい秩序は酷い。
でも生きる、愛する、、。
は『大地と自由』だったか。
1995年のパルムドールを、
クストリッツァの『アンダーグラウンド』と、
最後まで競った傑作。
構造的なニューオーダー、
場当たり的なニューオーダー。
怖さの質が違う。
最近だと、『ホテル・ムンバイ』
『ジェノサイド・ホテル』が近いか。
某国で撮影していた時に、
この国では、交渉する相手、
順番、タイミング、を間違えると、
取り返しのつかない事になる事が多いので、
気をつけてください、と言われた。
一生、出国できないどころか、
存在を消されるのか!
と絶望した、あの瞬間が、
フラッシュバックした。
空港で足止めされた。
道路が封鎖されていた。
窓外の男がこちらを見ている。
音だけヘリ。
水道の蛇口から緑色の水。
怖さを積み上げていく。
後半はあまりシナリオを整理しないで、
ニューオーダー、
新しい仕切り、
秩序の順番、
力のヒエラルキーなどを、
カオスのまま、
2014年のあの事件を匂わすように描いたのはインパクト増しを狙ったか、
または、
元々の企画はあの事件を描こうとしてたとか、なのかな。
シナリオを変更していくと、
元の企画はワンシーンのみの、
エッセンスだけ、、、
というのは海外の作品に多い。
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