「テルマ&ルイーズ」リドリー・スコット監督監修の4Kレストア版、24年2月16日公開
2023年11月30日 18:00
“90年代の女性版アメリカン・ニューシネマ”と評されたリドリー・スコット監督のロード・ムービー「テルマ&ルイーズ」の4Kレストア版が、2024年2月16日から公開されることが決定。あわせて、カンヌ国際映画祭特別ビジュアルと場面写真1点が披露された。
1992年、第64回アカデミー賞で6部門にノミネートされ脚本賞を受賞。女性の自立を描いた画期的な作品として世界中から評価され続け、その存在感は年々増し続けている。16年には、半永久に保存する価値のある作品が選ばれるアメリカ国立フィルム登録簿に登録されるなど、後世に残すべき作品となった。
性的被害を受けた女性の自由というテーマや、友情か愛情かで議論が巻き起こった親友2人のラストシーンなど時代を先取りした映画だったと言え、今なお輝き続けるシスターフッド映画の金字塔だ。また、ブラッド・ピットの出世作としても知られており、本作で演じたJ.D.役は、出演時間が短いながらも強烈な印象を残している。
平凡な主婦のテルマ(ジーナ・デイビス)とウェイトレスのルイーズ(スーザン・サランドン)は週末のドライブ旅行に出発した。その途中、立ち寄った店の駐車場でテルマが男に襲われるという事件が発生。テルマがレイプされそうになった寸前、助けに入ったルイーズが護身用の拳銃で男を射殺。ルイーズにはかつて、レイプの被害を受けたトラウマがあった。次から次へとトラブルが重なり、警察に指名手配された2人は、車でメキシコを目指し逃避行を続けるうちに、自分らしく生きることに目覚めていく……。
スコット監督は「エイリアン」「ブレードランナー」など、ハリウッドで大ヒット作を連発し、最新作「ナポレオン」が日本劇場公開を迎える。音楽プロデューサーだったカーリー・クーリが書いた本作の脚本を読み、気に入って映画化権を購入。当初はプロデューサーとして関わっていたが、何人もの監督に断られるうちに、当初テルマ役のキャスティングに上がっていたミシェル・ファイファーのアドバイスにより、監督も担当することに。
今回は、スコット監督の監修のもとオリジナルネガからの4Kレストアが実現している。
カンヌ映画祭ビジュアルは、映画のラストシーンでコロラド川を望むデッド・ホース・ポイントを疾走するテルマとルイーズを載せた1966年型サンダーバードを夕景の中にとらえたもの。被写体の後ろから光を当てるバックライトは「映像の魔術師」の異名を誇るスコット監督の特徴的な撮影手法の一つで、コントラストの強い映像美を作り出している。今回の記念ビジュアルは、それを意識して制作された。
なお「テルマ&ルイーズ」は、カンヌ国際映画祭との関係が深く、1991年5月24日の全米公開に先駆けて、5月20日に第44回カンヌ国際映画祭でクロージング作品として上映され大きな話題を呼んだ。その後、16年の第69回同映画祭では、公開から25年を記念した上映が行われ、サランドンとデイビスが登場。映画産業における女性の影響力を高めることに大きく貢献したことを称えられ「ウーマン・イン・モーション」賞が贈られた。
これは、映画界のすべての女性に光を当てて、男女間の不平等や女性の地位向上を目指すプログラムとして2015年から始まっている。今では世界的なフェミニズム・ムーブメントの流れの中で重要な意味を持つ賞となった。そして、2023年5月に開催された第76回同映画祭で発表されたのが、今回の特別ビジュアルなのだ。
「テルマ&ルイーズ 4K」は、24年2月16日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開。
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