北野武監督「首」で秀吉を演じた理由、次回作の構想明かす「今考えているのは“パロディ”について」
2023年11月15日 17:42
北野監督6年ぶりとなる「首」は、本能寺の変を題材にした戦国エンタテインメント。北野監督初期の代表作「ソナチネ」と同時期に構想され、完成までに30年間を費やした超大作となる。北野監督自身も「30年前に台本を書いて。たまには時代劇を撮ろうと思って撮ったんですが、試写の段階でかなり好評。非常に喜んでいます」と手応えを感じている様子だった。
本作では北野監督自らが“本能寺の変”を策略する羽柴秀吉を飄々(ひょうひょう)と演じている。
その理由について「本当は監督1本でやりたい感じもあったけど、製作会社の方から、たけしさんでないと海外に宣伝しづらいと言われて。それで出ることになった」と説明。その上でもし自分が出演するならば“やりやすいのは秀吉だろう”と考えたという北野監督は、「昔からタレントを戦国武将に例えた本があって。信長がぼんちおさむちゃんだったり、紳助が明智光秀がなるのかなと思うんですけど、その中で俺はたいてい秀吉なんですよ」と自身のイメージにも言及した。

さらに物語の展開としても「秀吉はストーリーの影の部分での悪人でもあるので。監督を同時にやったときに、けっこう離れて人の芝居を観ることができるなというのがあって。監督をやるために秀吉を選んだというのと、やりやすいというところでそうなっちゃったなという感じがします」と付け加えた。
会見中は現在の芸能界をめぐる環境の変化について、その意見を赤裸々に語った北野監督。そんな流れの中、外国人記者から笑いとシリアスなこととのバランスについて質問がおよぶと「シリアスなこととお笑いは表裏一体というか。お笑いというのは悪魔だと思っているんですよ。結婚式やお葬式とか、みんなが緊張するところに必ず、お笑いというのが忍び込んできてお笑いに持っていってしまう」と解説した。
北野監督「ホームレスがバナナの皮ですべって転んでも可哀想なだけだと思うけど、偉い人、総理大臣とかがバナナの皮を踏んで転ぶとみんな笑いますよね。暴力映画もそうで。すごいシリアスなものを撮ると、同時にそこにお笑いの要素という悪魔が忍び寄ってくる。フィルムではまわさなくても、現場では大笑いになることがあるんです。だから今度つくろうとする映画は、暴力映画におけるお笑いというテーマで制作の準備に入っています」

その次回作とはどのような作品になるのか。興味津々な様子の外国人記者から質問がおよぶと、「今のプロジェクトで考えているのは“パロディ”について。よく『この映画はあの映画のパロディですよ』という時は、その元が有名な映画だということが多い。『風と共に去りぬ』とか『ローマの休日』とか『ジョーズ』とか。そういう有名な作品やヒットした作品を題材にしないとパロディということにならない」と前置きした。
その上で「だからいちばんいいのは半分の時間でギャング映画とか暴力映画を撮って。それと同じキャストと、ストーリーでその映画のパロディを2部同時に流してみるということ。そういうことを考えているんですが。これはなかなか難しい。でもこれをやりたいというものは、どうにかなりそうだなと思っている」とコメント。

さらに80年代のバブル全盛期に、反社会グループなどが入り乱れた時代の映画についての構想もあるそう。「映画はいろんな可能性があるんで。いろんなものをつくりながら、ひらめいたものをメモして。いつか実現させようと努力はしています」と語るひと幕もあった。
「首」は11月23日より全国公開。
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