劇場公開日 2023年11月23日 PROMOTION

首 : 特集

2023年10月30日更新

【こんな狂った戦国時代、観たことない――!】北野武
監督、構想30年の“集大成的一作”で描いたのは“誰も
見たことがない本能寺の変”だった! 有名武将たちの
“全員、狂人”も凄まじいエンタテインメント超大作

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カンヌ国際映画祭で絶賛された北野武監督の新作がようやく、よーーやく公開される!!

我々映画.com編集部も首を長くして待ち望んでいたのが、「アウトレイジ 最終章」以来、6年ぶりの新作となる「首」(11月23日公開)。北野監督の初期代表作「ソナチネ」と同時期にアイデアが芽生えた(=構想30年!)という渾身の作品で描くのは、幾度となく映像化されてきた歴史の転換点“本能寺の変”だ。

北野監督流の“新解釈”は一味も二味も違うどころの話ではなく、もはや“歴史への挑戦状”と言えるほど。綺麗事は一切無し! 人間の業や欲、裏切りにフォーカスし、有名武将たちを“偉人”ではなく“狂人”として描き切る。しかも、それがエンタメ作品として昇華されているというのだから……やはり“世界のキタノ”は凄すぎる!

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この“本能寺の変”は、誰もが初めて見る衝撃の展開だらけ。絶対に“目撃”しておくべき大・大・大事件なのだ……。本特集では、北野監督流“本能寺の変”の新しさや体感すべき理由に加え、本作を実際に鑑賞した映画.com編集部員によるレビューをお届けしよう。


【予告編】大儀なし!情けなし!戦国武将たちの<野望×策略×バイオレンス>が入り乱れる衝撃作

【“本能寺の変”のイメージを徹底的にぶっ壊してきた!】
“テレビでは絶対に流せない”超大作……どこが新しい?

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1582年(天正10年)6月2日、武将・明智光秀が、本能寺に滞在していた主君・織田信長を襲撃――これが“本能寺の変”である。教科書はもちろん、大河ドラマを含む“映像化”によって広く知れ渡った歴史的事件だ。

「首」の始まりは、1579年(天正7年)にまで遡る。信長に反旗を翻した家臣・荒木村重の反乱が1年3カ月に渡り続いているという状況。その後、村重が姿をくらませて……そこから“本能寺の変”へと繋がる愛憎劇が描き出されていく。

本作には、これまで目撃してきた“本能寺の変”は影も形もない。「きっとこうなるはず」という先入観がめちゃくちゃにぶっ壊され、トンデモナイものを“目撃”しているという高揚感に包まれるはず! では、何がえげつないほど“異質”なのか――その一部を紹介しよう。

<イメージぶっ壊し超大作の理由>①.織田信長がかつてないほど“最低×最悪×最凶” お国言葉全開で罵倒しまくる②.高潔な人物? そんな人間は一人もいねぇ!豊臣秀吉だって、徳川家康だって、大切なのは“己の欲望”のみ!③.“ある事実”に“ブチギレ”! 信長の忠実な家臣・明智光秀はなぜ謀反を起こしたのか…その理由が斬新すぎた④.忍も、芸人も、農民も……戦国時代を泥臭く生きる人々“全員が超重要人物” ひとりでも欠けていたら“本能寺の変”は起こらなかった?⑤.最前線で血みどろの死闘を繰り広げる者たちと、安全地帯で高みの見物を決め込む武将たち……合戦シーンの“リアリティ&スケール感”が凄まじい⑥.セリフ回しは全てが“現代語”! 戦国時代の“予備知識なし”で楽しめる、一級のエンターテインメント作品だった!

はい、ここでストップ! 記載したのは“ほんの一部”……というか、これ以上言及できない。ネタバレへの配慮という意味合いもあるが、その他はあまりにも刺激が強いから……!

つまり、この映画、絶対にテレビでは放送できない。ということは、新しすぎる“本能寺の変”を目撃するためには、映画館へと駆けつけなければならないんです。“ヤバいもの”ほど見たくなりますよね……? さぁ、万難を排して、いざ劇場へ!


【世界が認めた監督×豪華キャスト=カンヌが熱狂!】
新しすぎる“本能寺の変”→“体感すべき理由”を解説

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製作費はなんと15億円! 北野武監督作史上最大のスケールで描かれているため、映画.comは“北野映画の集大成的一作”と位置づけています。そして“至高の映画体験”は、4つの根拠によって確約済! これを知れば、鑑賞意欲が急激にぶちあがるはず!

[“体感”すべき理由①]誰もが“新作”を待ち望んでいる 北野武は“日本を代表する映画監督” 世界中で高評価獲得
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“映画監督・北野武”がどれほど凄いのか――今一度振り返ろう。主演も務めた「その男、凶暴につき」で映画初監督。完成度の高さで世間を震撼させると、「3-4x10月」「あの夏、いちばん静かな海。」「ソナチネ」を世に送り出し、「HANA-BI」ではベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。初の時代劇となった「座頭市」では、同映画祭の銀獅子賞に輝いている。

独自性のある空気感、色彩表現で“キタノブルー”という造語が生まれ、ヨーロッパを中心とした熱狂的なファン(=通称:キタニスト)を生み出した。名実ともに日本が誇る映画監督であり、世界に愛され続ける存在……そんな監督の新作、見逃がすわけにはいかないでしょ!

[“体感”すべき理由②]豪華すぎる俳優陣が大結集!加瀬亮、西島秀俊、浅野忠信らが“クセ者共”を体現
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北野武19本目の長編監督作に集ったのは、実力を備えた俳優陣! 北野監督がビートたけし名義で羽柴秀吉役として強烈な個性を発揮し、「アウトレイジ」にも参加した加瀬亮が“超絶ぶっ飛んだ”織田信長を怪演。さらに「Dolls(ドールズ)」以来の北野作品となった西島秀俊が明智光秀の“葛藤”を演じ切り、大森南朋(羽柴秀長役)、浅野忠信(黒田官兵衛役)といった北野組経験者が存在感をバキバキに示している。

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さらに、北野組初参戦となった中村獅童が秀吉に憧れる百姓・難波茂助として物語に“カオス”をもたらし、木村祐一(曽呂利新左衛門役)、遠藤憲一(荒木村重役)、桐谷健太(服部半蔵役)、小林薫(徳川家康役)、岸部一徳(千利休役)らが参戦したことで“画圧”が急上昇。濃い……誰に目を向けても、半端なく濃すぎる……。 時に笑いをかっさらい、次の瞬間にはヒヤリ、そしてゾクっとするようなハイレベル演技合戦がたっぷりと堪能できる!

[“体感”すべき理由③]傑作が生まれるはず――「七人の侍」の巨匠・黒澤明が生前に語っていたこと
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本作の成り立ちにおける“最重要エピソード”を知れば、本作への関心がさらに、さらに高まること間違いなし! キーパーソンは、名匠・黒澤明だ。1990年代初頭、黒澤監督と北野監督の対談が実現。黒澤監督は、北野監督の手腕を評価しており「ビートさん(=北野監督)の作品、全部好きでね。面白いですよ、とても。何故かというと“余計な説明”がないから。あれがいいね。説明が多すぎるよ、日本の映画っていうのは」と賛辞を送っていたのだ。

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そして、「首」について「北野くんがこれを撮れば、『七人の侍』と並ぶ傑作が生まれるはず」と相当期待していた。世界的巨匠からの力強い後押しもあった念願の企画を、遂に実現させた北野監督。本作の衣装デザインに、黒澤監督の長女・黒澤和子氏を起用しているという点もグッとくる。

[“体感”すべき理由④]カンヌでワールドプレミア!上映時には5分間のスタンディングオベーション
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“世界初上映”が行われたのは、第76回カンヌ国際映画祭(カンヌ・プレミア」部門)。北野監督にとっては「ソナチネ」「菊次郎の夏」「アウトレイジ」に続く、カンヌ出品。そして、世界は予想通り、いや想像以上に“沸いた”のだ。

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上映終了後に起こったのは、約5分にも及ぶ熱狂的スタンディングオベーション! 北野監督と現地入りし、その光景を目の当たりにした西島は「何度か映画祭に立ち会っていますが、いままでのなかで一番、素晴らしい上映だったと感動しています」と感慨深げ。目の肥えた海外の映画ファンの“絶賛”は、本作のクオリティの高さを示す揺るぎなき証拠と言えるはず!


【レビュー】「こんな上司は嫌」ってレベルじゃねぇ…
ミス=即クビ 戦国エンタメは今をも映し出す!?

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ラストを飾るのは、ひと足先に「首」の世界に身を投じた映画.com編集部員(30代男性)の“熱狂的な感想”……のはずだったが、鑑賞を終えた彼は、恐ろしげに震えていた。

一体、どうした?

理由は「この職場、ブラックすぎるでしょ……いや、でも超狂ってて最高(褒め言葉)。しかも、めちゃくちゃ“参考”になったわ……」とのこと。織田家、豊臣家、徳川家を、いわば現代の“コーポレーション(企業・株式会社)”としてとらえ、悲惨な目に遭う社員(=家臣)に感情移入してしまったようだ。なかなか“狂った”見方ではあるが、“今”をサバイブするヒントになるかも?

[もしも織田信長が社長だったら]鉄拳制裁は日常茶飯 死線ギリギリのパワハラオンパレード
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“第六天魔王”を自称する信長(加瀬亮)は、いわばカリスマ経営者。ところが、筆者はこの信長を心の底から軽蔑してしまった。鉄拳制裁は日常茶飯事。死線ギリギリのパワハラオンパレードなのだ。

「俺のために死ぬ気で働け!」と焚き付けながら、凡ミスがあれば“即クビ(=死)”。お気に入りの部下さえ、気分次第では重要ポジションから引きずり落とす。そのくせ「俺の跡目を継がせてやろう」と家臣を争わせながらも、その腹の内は……。

レビューを読んでいる方の大半は、筆者と同じく“働いている”方だろう。では、こんな上司と出会ったらどうすべき? 筆者だったら、速攻で見切りをつける。でなければ“狂ってしまう”。明智光秀(西島秀俊)も、信長の所業に耐えに耐えたことで“最悪の憂さ晴らし”をしているくらいなのだから。

その気持ち、めちゃくちゃわかるよ……と言いたくなるほどの“ドギツイ扱い”は、是非本編で確認してみて!

[もしも徳川家康が社長だったら]好々爺だと思っていたら……いつの間にか“身代わり”にされるので注意
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では、温厚そうな家康(小林薫)のもとで働くというのは? 一見“ホワイト”に見えるが……でも、今でも言うでしょう?「うまい話にはウラがある」って。

“タヌキ”と称されている家康は、信長でさえ腹積もりが読み取れない。暗殺を仕掛けられても、機転を利かせて難なく回避。しかも、家臣への感謝は忘れず「ありがとう」という言葉は欠かさない。“良い人”じゃないか……と思いきや、次第に様相が異なってくる。

家康の得意技は“身代わり”。その要員をわんさかと抱えている。“身代わり”の役目とは何か? 家康の代わりに、しっかりとあの世に召されること。ひとり殺されれば「次を用意してくれ」。また殺されれば「もうひとり!」と枚挙にいとまがない。

何度も繰り返される光景は、爆笑ポイントのひとつ! でも、冷静に考えると恐ろしい。上司のために奔走する日々を送っていると、ある日、肩をポンと叩かれる。「俺の身代わりになって」と。そんなエピソード、現代でもあるような……。“身代わり”の方々に、自分を投影してみて。笑ってしまうのに、ブルっとしますから。この一連のくだり、細かい部分ですが“必見”です。

[もしも豊臣秀吉が社長だったら]強欲×理不尽×内弁慶の三拍子! “トンデモ発言”に唖然茫然
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ということは、百姓の身から“出世”した秀吉(ビートたけし)が一番? 成り上がりだからこそ、下々の者たちの“心”を理解しているのかも……ところが、その考えは甘い! 実は、最も部下の心労が絶えない上司像だと筆者は感じてしまった。

搾り取れるところからは、徹底して搾り取る“強欲さ”。書状を読み上げると「声に出すな」と怒り、その内容を直接見せると「(文字が)読めないのを知ってるだろ!」とガチギレする“理不尽さ”。外面だけは良く、家臣には“内弁慶”ぶりを発揮。しかも、優秀な家臣を持ってしまったがために「どうにかしろよ!」「なんでもいいから上手くやれよ!」と完全に人任せ!

だから、絶対にこう思うはず。「こんな奴にはついていけない」と。そして“妙に鼻が利く”のがタチが悪い。自身への不利益を察知すると「悪い芽は早い内に摘んでおけ」と言わんばかりに、仲間ですら切り捨てる。ちなみに本作のラストでは“トンデモ発言”も!北野監督らしい“笑い”が同居した場面だが、現代で同等の行為をされたら……(白目を剥く)。

信長や家康とは違った方向で家臣を振りまわしていく――。戦国武将のなかでも、特に“人たらし”と称されてきた秀吉だが、この“最悪上司”っぷりがめちゃくちゃ新しい!

[まとめ]どこに身を寄せても“地獄の日々”……劇場で“ヤバすぎる戦国時代”を目撃せよ!
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織田家、豊臣家、徳川家、どこの家臣になったとしても、ミスをした時に差し出す“首”がひとつでは足りない。本作は“働く”という観点から見てみると「こんな場所で働いちゃダメ!」という指針を示すバイブルとなっている稀有な1作なんです。この映画を観て「ウチの会社に似てる」なんて“共感”しちゃった人は、転職をおすすめします。

鑑賞した後は「どいつも、こいつも、マジで狂ってやがる」と叫びたくなる――そんな奴らが織り成す“歴史的大事件”。北野監督が生み出した“斬新な顛末”を見届けるべく、劇場へ向かって出陣すべし!

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