【インタビュー】ティモシー・シャラメは作品に“魔法”をかけた「非凡な存在」 「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」監督が語る魅力と才能
2023年10月30日 13:00

イギリス出身の小説家ロアルド・ダールによる児童文学のベストセラー「チョコレート工場の秘密」を題材に、工場長ウィリー・ウォンカの若き頃の物語と、チョコレート工場の誕生秘話を描く新作映画「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」が、12月8日から公開される。夢見ることを禁じられた街で、才能あふれるチョコ職人のウォンカはいかにして、誰もが知ることになる夢のチョコレート工場を開業させたのか? その軌跡が明らかになる。
監督を務めるポール・キング(「パディントン」シリーズ)が取材に応じ、主人公のウォンカを演じるティモシー・シャラメの魅力と才能を語ったほか、原作や過去の映画化作品に対する思い、ウンパルンパ役のヒュー・グラントにまつわる裏話を明かしてくれた。(取材・文/内田涼)

彼は実に多くの“魔法”を本作にもたらしてくれました。映画ファンの皆さんならご存知の通り、ティモシーは、ずば抜けた才能を持った特別な俳優です。あの年齢で、ジャンルや役の大小を問わず、何でも演じきってしまう非凡な存在であり、そんな俳優と一緒に仕事ができるのは、この上ない幸運といえるでしょう。実際に会ってみると、やはり感受性に富んでいるし、登場人物の感情に鋭い角度でアクセスし、それを演技でどう伝えるかを心得ている。驚くべき能力です。
それに、的確にコントロールされた演技をしたかと思えば、エキセントリックでクレイジー、そしてコミカルな魅力も放ってくれる。ティモシーにしかできない解釈のおかげで、ウォンカの心理がより深堀りされ、どこか浮世離れしたウォンカ像に真実味が与えられた。それが、ティモシーの“魔法”です。熱心なファンであれば、説明は不要かもしれませんけどね(笑)。繰り返しになりますが、本当に類まれな才能の持ち主です。

僕自身はどちらの作品も大好きです。これは想像ですが、ティム・バートン監督がリメイク版を製作した際、きっとワイルダー版の模倣はしたくないと考えたはずです。ジョニー・デップとタッグを組んで、ウォンカのまた違った側面を掘り下げようとしたはずだし、実際そういう作品になっていた。喜びと新しさが詰まっていましたよね。“世界の国旗”にまつわるジョークは最高だし、リスが登場するシーンも素晴らしかった。
そして、関連性についてお答えすると、本作は「夢のチョコレート工場」と対(つい)になるような作品にしたいと考えました。僕にとっては、子どもの頃から何度も何度も見て、DNAに刻まれた、とても神聖な存在なのです。例えば、赤いカップや立ち上がる杖など、ワイルダー版へのオマージュも登場します。もちろん、「チャーリーとチョコレート工場」も大好きですから、両作品のレガシーに対する敬意は払ったつもりです。あえて言えば、ワイルダーが演じるウォンカと、本作のウォンカの間に整合性が見出せるようにしたかった。そこは意識しました。

今回のウォンカは、過去の映画作品に比べて30~40歳くらい若いと思います。ワイルダーとデップが演じたウォンカは、どちらも引退を考え、後継者探しをしていましたからね。もっとも、ウォンカの実年齢はわかりませんが(笑)、ダール本人もウォンカに関しては、いろいろな構想を練っていたようですし、若き日のウォンカにも興味があったかもしれません。

ティモシーも過去の2作品はどちらも見ていますが、そこからは距離を置きながら、「自分ならどう演じるか?」とすぐさま考えてくれた。先ほども言いましたが、彼は天才です。ですから、ウォンカの年齢がどうこうではなく、感情を掘り下げ、自分なりにキャラクターの真実を見つけてくれると思いましたし、実際にそれを成し遂げてくれた。もちろん、僕と同様に、過去作品への敬意も忘れずにいてくれたから、“自分なり”を見つけるのは大変だったと思いますが、いまや僕にとっては、ワイルダー、デップに負けない、一番のお気に入りのウォンカです。

子どもの頃、ダールの小説が大好きで、ページが抜け落ちてしまうほど何度も何度も読んだ記憶があります。子どもなら、誰しもゴールデンチケットを手に入れ、あのチョコレート工場に住んでみたいと思うはず。ウォンカに対しては「複雑な人物だな」という印象もありました。皮肉屋で、どこか人生に疲れていて、何かに傷つけられたように、工場に引きこもっている。でも、同時にとてもオープンで、希望にあふれた魂の持ち主でもある。だからこそ、ふさわしい後継者を見つけようと、5枚のゴールデンチケットを用意したわけですから。5人の子どものうち、きっと1人は、工場を受け継ぐ価値がある存在だと希望を抱いている。無謀で奇妙な行動ですが、そこがウォンカらしいと思います。

ですから、本作でもウォンカには、楽観的な心と希望に満ち、生きることを肯定する精神を持ったキャラクターであってほしいと思いました。そこで重要なのは、ウォンカにまつわる感動的な物語を紡ぎだすこと。子どもの頃、僕がダールの小説に魅せられたのも、それが大きな理由だったはずだからです。「パディントン2」に続いて、サイモン・ファーナビーが脚本を担当してくれました。彼とも話をしましたが、この作品が観客にとって感動的であり、何かしらの意義を見出す旅路になることこそが、最大のチャレンジでしたね。

ヒューに関しては、とても面白いエピソードがあります(笑)。ウンパルンパを登場させるためには、まず、ヒュー本人の全身を3Dスキャンする必要があったんです……、衣装を着ていない状態でね。だから、ヒュー版のウンパルンパの第一段階は、全裸の状態なのです。もちろん、センシティブな部分にはモザイク処理を施したけれど、ヒュー本人にとっても、その姿は結構ショッキングだったみたいですね。裸のウンパルンパを皆さんにお見せする機会はないと思いますが(笑)、そこからCGで衣装やメイクを加えて、動きはヒュー本人の演技をキャプチャーし、ウンパルンパが完成しました。つまり、ヒュー本人と世界トップレベルのアニメーターの手による、ハイブリッドな存在というわけです。
ただ、ウンパルンパにヒューと同じように演技させることは、非常に難しいことでもありました。そんなとき、ヒューは「ちょっとやり過ぎかな」「ここはもう少しリアルに」といった具合に、的確な意見やアドバイスをくれました。おかげで、彼の名演技をしっかり反映させたウンパルンパが誕生したのです。ウォンカと絶妙なやりとりを繰り広げるウンパルンパにも、ぜひ注目してほしいですね。
「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」は、12月8日に全国公開。
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