劇場公開日 2023年12月8日

ウォンカとチョコレート工場のはじまり : インタビュー

2023年12月7日更新

ティモシー・シャラメ×ヒュー・グラント 複雑なプロセスをたどった“共演”を語り合う

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映画「チャーリーとチョコレート工場」で知られる工場長ウィリー・ウォンカの“はじまりの物語”を紡ぐ「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」に、若き日のウォンカ役で主演するティモシー・シャラメと、オレンジ色の小さな紳士ウンパルンパを演じるヒュー・グラントが来日。映画のなかで、夢と魔法に満ちた冒険を繰り広げるふたりが、揃ってインタビューに応じた。(取材・文/内田涼)

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全米映画俳優組合のストライキが終了した直後に実現した本作の来日プロモーション。シャラメのPR来日は初めてで、多くのファンを熱狂させた東京・六本木ヒルズアリーナでの来日イベントも記憶に新しいところ。グラントは、本作の監督であるポール・キングが手がけた「パディントン2」以来、6年ぶりの来日だ。作品の雰囲気そのままに、終始温かな雰囲気に包まれた彼らとの対話を“味わって”ほしい。

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――ティモシーさん、この作品はあなたにとって、どのような挑戦になりましたか?

シャラメ:これほど寛大で温かさに溢れた映画に出演するのは、初めて。いままではシリアスで重厚な作品が多かったから、正直「映画の撮影をこんなに楽しんでいいのかな?」という思いもあって、慣れるのに1~2日必要だったんだ。挑戦といえば、それが1番かな。夢のような体験をしながら、心のなかに喜びが溢れる感覚を味わったし、小説や映画で長年愛されてきた物語の一部になれたことは、とても光栄なことだったよ。

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――歌って踊るミュージカルシーンでも、あなたの新たな魅力が発揮されていますね。

シャラメ:ありがとう。高校生の頃に、舞台のミュージカルを勉強していたから、そういった経験は役に立ったと思うよ。映画の場合は、カメラの位置や動きが決まっているから、苦労があったけどね。お気に入りの曲? そうだな……。「You’ve Never Had Chocolate Like This」かな。楽しさに溢れて、最高にクレイジー。希望に満ちていて、(ウォンカの)大志も溢れている。ロンドンのスタジオに作られた巨大なセットや、魔法のように変化する衣装にも注目してほしい。

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――歌といえば、ウンパルンパが歌う楽曲も印象的です。実は映画を見終わってから、ずっと頭から離れないんですけど……。

グラント:僕もそうだよ。まるで悪夢だよね(笑)。でも、つい歌ってしまうんだ。我が家の子どもたちも歌っている。気に入っているかって? 答えはノー(笑)。というのは冗談で、素晴らしい楽曲だよね。

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――オレンジ色の小さな紳士。そんなウンパルンパを演じる自分の姿を見て、率直にどのような感想を抱きましたか?

グラント:スタッフのみんなが素晴らしい仕事をしてくれたから、これはイケるなって。心配はなかったよ。でも、ポストプロダクション中のポール(・キング)が、作業に飽きると、僕にウンパルンパの映像を送ってくるんだよ(笑)。それはかなり怖かったかな!

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――ウンパルンパは、モーションキャプチャーの産物だと思うんですが、ひょっとして、おふたりは現場では“共演”していないのでしょうか?

シャラメ:実はセットの近くにテントがあって、そこでヒューが演技をしていたんです。だから、ヒューの演技を間近で確認できたし、それを参考にどんなリアクションをすればいいのか、しっかり準備することができた。完全な別撮りでは、そうはいかないから、とても助けられました。

グラント:僕らの“共演”は複雑なプロセスを経ている。だからこそ、俳優同士の化学反応を生み出すために、モーションキャプチャーの機材をセットに持ち込んだんだ。一緒にリハーサルもできたしね。小さなテントのなかで、カメラ付きヘルメットをかぶって演技をするわけだけど、まあ、うまくいったと言えるんじゃないかな(笑)。

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――ジーン・ワイルダー(「夢のチョコレート工場」)、ジョニー・デップ(「チャーリーとチョコレート工場」)が演じたウォンカと比較して、若き日のウォンカは、どんな人物だと思いますか?

シャラメ:僕が演じたウォンカも、頭のネジがぶっ飛んでいる部分はあるけれど……、まあ、彼らほどじゃないかな(笑)。ものすごく希望に満ち溢れているし、いい意味で野心家だ。少々ナイーブだけど、愛情深くて友情にも厚い。周りにいる人々の幸せを願っているんだ。ポールの「パディントン」シリーズから感じる、ある種の温かみや誠実さも参考になっているよ。

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――ヒューさん、ずばり、あなたとウンパルンパの共通点は?

グラント:共通点? たくさんあるよ(笑)。彼はセンチメンタルなことが嫌いなんだ。それに自分のことをとても重要な人物だと思っている(笑)。それに悲劇的なキャラクターでもある。仲間に気に入られず、(ウンパルンパの故郷から)追い出されてしまったんだからね。それって僕のことじゃない(笑)?

――そ、そうですか(笑)? それはさておき、「パディントン2」に続くキング監督との再タッグで、ユニークなキャラクターを演じましたね。

グラント:彼は素晴らしい映画作家だ。シネフィルだから、あらゆる映画に精通していて、美術や撮影といった映画的デザインに強いこだわりを持っている。僕自身もそういう作家に惹かれるし、だからこそ「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」はぜひ映画館で楽しんでほしいんだ。

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――先ほど、ティモシーさんもキング監督の作品から「温かみを感じる」と言っていましたね。

グラント:そう、本当に心が温かいんだ。チャールズ・ディケンズ的というべきかな。映画のもとになった小説「チョコレート工場の秘密」には、資本主義の冷酷さや負の部分を見せる(原作者の)ロアルド・ダールの作風が見え隠れするけど、それにポールの人間味が加わることで、塩と砂糖を混ぜたような感覚が生まれていると思うんだ。

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――「夢見ることからすべては始まる」という言葉が深く心に刻まれる作品でした。夢を実現させるために、必要なことは何だと思いますか?

シャラメ:ウォンカの姿を見れば、わかることだと思います。たとえ、ノーと言われても、それを受け入れず、やりたいことをやり続ける。夢見ることをやめず、諦めない。それに自分を支えてくれる仲間を作ることも大切じゃないかな。

グラント:それは重要なことだね。僕の夢は、ウンパルンパの“はじまり”を演じることかな。

シャラメ:それは絶対に見たいな!

ウォンカとチョコレート工場のはじまり」は、12月8日に全国公開。

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