第80回ベネチア国際映画祭開幕 豪華作品がずらり、審査委員長デイミアン・チャゼルはハリウッドのストに言及
2023年8月31日 16:00

第80回を迎えた、世界最古の歴史を持つベネチア国際映画祭が、現地時間の8月30日に開幕した。現在ハリウッドでおこなわれている脚本家組合と俳優組合によるストの影響を受け、今年はオープニングに予定されていたルカ・グァダニーノの新作「Challengers」が急遽キャンセルされるなど、さまざまな影響が懸念されていたが、ラインナップ自体は豪華な作品が並んだ。
コンペティションは、オープニングに抜擢されたエドアルド・デ・アンジェリのイタリア映画「Comandante」を含む23本。マッテオ・ガローネ、サボリオ・コスタンツォら、イタリア勢は6本とフィーチャーされる形に。アダム・ドライバー主演のマイケル・マン監督作「FERRARI」、ヨルゴス・ランティモスがエマ・ストーンと再タッグを組む「哀れなる者たち」、ソフィア・コッポラがプリシラ・プレスリーを描く「PRISCILA」、長編監督作は「ANNA/アナ」以来4年ぶりとなるリュック・ベッソンの「DOGMAN」、レア・セドゥとジョージ・マッケイ共演によるベルトラン・ボネロの「La Bete」、「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」のニコライ・アーセル監督がマッツ・ミケルセンと組む「The Promised Land」、そしてネットフリックスからはブラッドリー・クーパーがメガホンを握り自らレナード・バーンスタインに扮する伝記映画「MAESTRO」と、デビッド・フィンチャーとマイケル・ファスベンダーの顔合わせによる「The Killer」、パブロ・ララインがチリの独裁者ピノチェトをバンパイアに仕立てて描くモノクロ作品「El Conde」という強力な3本が並ぶ。さらにベネチア常連のミシェル・フランコや、ポーランドのアグニエシュカ・ホランドの共同監督作に加え、日本からは濱口竜介の「悪は存在しない」が参加。なんと非欧米映画としては、唯一のコンペ作となった。
審査員メンバーは、昨年の金獅子受賞監督ローラ・ポイトラス、ジェーン・カンピオン、ミア・ハンセン=ラブ、マーティン・マクドナー、スー・チーら8名を審査委員長のデイミアン・チャゼルが率いる。

開幕記者会見にマクドナーらとともに「ライターズ・ギルド・オン・ストライキ」と書かれたTシャツを着て現れたチャゼルはハリウッドのストライキについて、「それぞれのアートワークに価値があり、それはハリウッドで最近よく使われる言葉である“コンテンツ”とは異なるというのが基本の考えだと思う。いかにアートは作られるか、そしてそれを作り出す人々にとっていかにサステナブルになり得るか、ということは根本的なことでありながら、ここ10年でおろそかにされて来ていると感じる。(中略)いまハリウッドはあきらかに困難な時期にあるが、とくに脚本家や俳優たちにとってはタフな時代で、多くの人が煽りを受けている。だから僕らはここにいるあいだ、映画芸術を祝福しながら、そのことをより多くの人に知ってもらえたらと願っている」と語った。
また映画祭ディレクターのアルベルト・バルベラも、ストライキを支持するためにブラッドリー・クーパーを含む多くのハリウッド・スターたちが、今回来訪を見合わせたことを明かした。
映画祭は11日間にわたって開催され、9月9日の閉幕式で、金獅子賞をはじめ各賞が発表される。(佐藤久理子)
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