第80回ベネチア国際映画祭 フィンチャーのNetflix作品、フリードキンらビッグネームの新作ずらり 日本からは濱口竜介、塚本晋也、坂本龍一さんドキュメントなど
2023年7月26日 13:00
第80回ベネチア国際映画祭のラインナップ発表が7月25日(現地時間)にあり、コンペティション部門をはじめとした上映作品が発表された。
日本関連の長編作品では、コンペティション部門に濱口竜介監督「悪は存在しない」、新鮮で革新的な作品で構成されるオリゾンティ・コンペティション部門に塚本晋也監督「ほかげ」がノミネート。アウト・オブ・コンペティションのノンフィクション部門で、空音央監督による、父・坂本龍一さんのドキュメンタリー「RYUICHI SAKAMOTO OPUS」が上映される。
映画祭の目玉となるコンペティション部門では、デビッド・フィンチャーが、マイケル・ファスベンダー、ティルダ・スウィントンを起用し、連続殺人事件を描くNetflix最新作「ザ・キラー(原題)」をはじめ、マイケル・マン、リュック・ベッソン、マッテオ・ガローネ、ソフィア・コッポラ、ヨルゴス・ランティモス、パブロ・ラライン、ブラッドリー・クーパーと国際的人気を誇る監督の最新作が金獅子賞を競う。
今年のコンペ部門審査委員長はデイミアン・チャゼル(「「ラ・ラ・ランド」)で、審査員をジェーン・カンピオン、マーティン・マクドナー、サーレフ・バクリ、ミア・ハンセン=ラブ、ガブリエーレ・マイネッティ、サンティアゴ・ミトレ、ローラ・ポイトラス、スー・チーらが務める。
アウト・オブ・コンペティションでも、「フレンチ・コネクション」「エクソシスト」などで知られる巨匠ウィリアム・フリードキンが、キーファー・サザーランド主演にケイン反乱軍軍法会議を描く「THE CAINE MUTINY COURT-MARTIAL」、ウッディ・アレンが全編フランスロケ、フランス語で撮影した「COUP DE CHANCE」、そのほかロマン・ポランスキー、フレデリック・ワイズマン、ウェス・アンダーソン、リチャード・リンクレイター、ハーモニー・コリン、今年5月に死去したチベット映画の先駆者ペマ・ツェテンの新作と、注目作が披露される予定だ。第80回ベネチア国際映画祭は、現地時間8月30日~9月9日に開催される。
「DOGMAN」(原題)リュック・ベッソン
「LA BETE」(原題)ベルトラン・ボネロ
「HORS-SAISON」(原題)ステファヌ・ブリゼ
「ENEA」(原題)ピエトロ・カステリット
「MAESTRO」(原題)ブラッドリー・クーパー
「PRISCILLA」(原題)ソフィア・コッポラ
「FINALMENTE L’ALBA」(原題)サベリオ・コスタンツォ
「COMANDANTE」(原題)エドアルド・デ・アンジェリス
「LUBO」(原題)ジョルジョ・ディリッティ
「ORIGIN」(原題)エバ・デュバーネイ
「THE KILLER」(原題)デビッド・フィンチャー
「MEMORY」(原題)ミシェル・フランコ
「IO CAPITANO」(原題)マッテオ・ガローネ
「悪は存在しない」濱口竜介
「ZIELONA GRANICA (THE GREEN BORDER)」(原題)アグニエシュカ・ホランド
「DIE THEORIE VON ALLEM」(原題)ティム・クルーガー
「哀れなるものたち」ヨルゴス・ランティモス
「EL CONDE」(原題)パブロ・ラライン
「FERRARI」(原題)マイケル・マン
「ADAGIO」(原題)ステファノ・ソッリマ
「KOBIETA Z... (WOMAN OF)」(原題)マウゴシュカ・シュモフスカ、ミハウ・エングレルト
「HOLLY」(原題)フィーン・トローチ
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ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
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文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。
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