【7月14日公開】「君たちはどう生きるか」分かっていることまとめ ジブリ単独出資、「シン・エヴァ」に内定していた作画監督
2023年7月11日 18:00

宮崎駿監督によるスタジオジブリの新作「君たちはどう生きるか」が、いよいよ今週金曜の7月14日から公開されます。
同作は公開日とタイトル、鳥のような絵が描かれたポスタービジュアルのみが発表。キャストやスタッフなどの情報は未公表で、映画館での特報や予告はおろか、テレビCMや新聞広告も公開前には出さないことをスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが明言しています。イベントや取材での鈴木プロデューサーの発言によって結果的に“宣伝をしない宣伝”になっている格好で、ここまで情報をださないまま公開に突入する大作映画は異例中の異例です。
そんな「君たちはどう生きるか」について、公開3日前の現時点で分かっていることをまとめました(アニメハック編集部調べ)。
ジャンル:オリジナルストーリーの冒険活劇ファンタジー
形式:手描きのアニメーション
物語の舞台:日本
上映時間:124分
通常以外の上映形態:IMAX、ドルビーシネマ、ドルビーアトモス、DTS:X
映倫区分:G(年齢にかかわらず誰でも観覧できる)
劇場パンフレット:公開当日販売なし、後日販売予定(通販も予定)
タイトルは2017年刊行の漫画版がベストセラーになった吉野源三郎氏の小説「君たちはどう生きるか」(1937年発表)から採られていますが、物語は宮崎監督による完全オリジナル。ジブリ作品の歴史がつづられた新書「スタジオジブリ物語」(集英社刊)によれば、作中の人物がこの小説を読んでいるという設定があるだけで、作品の中身は小説とはまったく無関係だそうです。スタジオジブリの公式サイトでは18年1月に制作中の同作を「冒険活劇ファンタジー」と紹介しています。
「スタジオジブリ物語」では、「君たちはどう生きるか」の物語に大きな影響を与えた海外の児童文学が書名をふせて挙げられています。「風立ちぬ」の公開後、長編制作から引退した宮崎監督が鈴木プロデューサーに勧め、両者とも長編映画化するのにふさわしいと考えたものの、原作のままでは映画にならないと判断したため同書を原作にはせず、日本を舞台にしたオリジナル作品として企画書がつくられました。
宮崎監督が刺激をうけたこの作品は「アイルランド人が書いた児童文学」と紹介されていて、おそらくジョン・コナリー氏の「失われたものたちの本」だと思われます。コナリー氏はアイルランド生まれで、東京創元社から刊行された同作の文庫の帯には宮崎監督が「ぼくをしあわせにしてくれた本です。出会えてほんとうに良かったと思ってます。」と推薦文を寄せているからです。「失われたものたちの本」は、本のささやきが聞こえるようになった12歳の少年が物語の世界に迷いこみ、もとの世界にもどるため旅する異世界冒険譚で、「君たちはどう生きるか」の「冒険活劇ファンタジー」とも符合します。
「君たちはどう生きるか」は、スタジオジブリの単独出資で製作されています。ディズニー傘下になる前のルーカスフィルムによる「スター・ウォーズ」シリーズ、庵野秀明監督が代表を務めるカラーによる「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズと同じ方式で、これまでのジブリ作品で採られていた複数の企業が出資する製作員会方式ではなく、ジブリが多くの責任を担う単独出資だからこそ、ここまで思いきった施策がとれているのだと思われます。
鈴木プロデューサーは「週刊文春CINEMA」のインタビューで、「自社で製作費をまかなうということはですね……赤字になったっていいわけですよ(笑)」「今回は本当の博打です」と語っています。
「君たちはどう生きるか」のサウンドトラック(8月9日発売)の情報がすでに公開されていて、同作の音楽は久石譲が担当、主題歌をふくむ37曲が収録予定であることが告知されています。詳細は不明ながら、なんらかの主題歌も存在するようです。
久石氏は「風の谷のナウシカ」から前作の「風立ちぬ」まで、宮崎監督の長編作品すべての音楽を担当しています。また、本作はIMAX、ドルビーシネマ、ドルビーアトモス、DTS:Xで上映することも告知されていて、ラージフォーマットならではのどんな音響になっているかも気になるところです。
「君たちはどう生きるか」の作画監督は、本田雄(ほんだ・たけし)氏。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」「千年女優」「電脳コイル」などを手がけるベテランアニメーターで、仕事仲間からは“師匠”というニックネームで呼ばれています。
「スタジオジブリ物語」によると、当初本田氏は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の作画監督に内定していたものの、本田氏の力が「君たちはどう生きるか」に必要だと考えた鈴木プロデューサーが庵野監督に直談判し、最終的に本田氏自身の意志に委ねるかたちで「君たちはどう生きるか」に参加することになったそうです。
なお、美術監督は「風立ちぬ」、宮崎監督の短編「毛虫のボロ」などを手がけた武重洋二氏が担当することが「スタジオジブリ物語」に記されています。
「君たちはどう生きるか」の劇場パンフレットは、上映劇場や通信販売で後日発売予定であることが東宝映画情報の公式Twitterで告知されています。つまり、公開当日には発売されないということです。これは事前の情報漏洩を防ぐ目的もあるのでしょう。
ということは、当面のあいだポスター以外の絵(場面カット)は映画館でしか見られないことになるはずです。公式のあらすじも当分ないでしょうから、どんな話だったかは自分で見るか、見た人から聞いたり感想を読んだりするしかありません。また、マニアックな話になりますが、劇場パンフレットの終わりに載っていることが常のキャスト・スタッフのリストは、作品のエンドロールを見て覚えるしかありません。
宣伝を一切せず、ほとんどの情報をださない今回の施策は、今度こそ宮崎監督の最後の長編になるかもしれない新作を、まっさらな気持ちで楽しんでほしいという思いが根っこにあるのでしょう。情報過多な時代に、ここまで事前情報がない新作映画が見られるという体験は得難いものだと思います。
その意味で、この記事は野暮極まりないものかもしれませんが、肝心の物語については何も分かっていません。よく分からないものを見るワクワク感、公式の情報がないなかで見た人同士で情報を交換しあったり、見た人から話を聞いたりする楽しみに満ちた「君たちはどう生きるか」を、あと少しだけ楽しみに待ちましょう。
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