実写「テルマエ・ロマエII」異例のキャスティング、強烈個性の“平たい顔族”は誰? キャスト、あらすじ、トリビア紹介
2023年2月18日 21:05
ヤマザキマリの氏コミックを阿部寛主演で実写映画化したコメディの続編「テルマエ・ロマエII」が、2月18日午後9時からフジテレビ系「土曜プレミアム」で放送中。この記事では、あらすじ&概要、前作に引き続き結集した“濃い顔”のキャスト陣、異例のキャスティングとなった力士たち、意外と気になる“平たい顔族”を演じた人々(「ガキ使」のピカデリー梅田ら)や、トリビアを紹介します
原作は「マンガ大賞2010」「第14回手塚治虫文化賞短編賞」を受賞したヤマザキマリ氏の同名コミック。阿部を筆頭に、北村一輝、宍戸開、市村正親ら古代ローマ人を演じる“濃い顔の俳優たち”が再結集。現代日本人を演じるヒロインの上戸彩らも続投している。興行収入は44.2億円を記録。2014年の日本における邦画興収ベスト10では、第4位となった。
斬新なテルマエ(浴場)を作ったことで一躍人気者になった古代ローマの浴場設計士ルシウス(阿部)は、コロッセオにグラディエーターたちを癒す浴場を作ってほしいと頼まれ頭を悩ませる。そんな時、またしても現代日本へタイムスリップしたルシウスは、平たい顔族(=日本人)の山越真実(上戸)と再会。そこで見た日本の国技・相撲にヒントを得て、グラディエーター用の新たなテルマエを作るばかりか、血なまぐさいコロッセオに平和的な雰囲気を持ち込むことにも成功する。しかし、和平路線を進める皇帝ハドリアヌス(市村)に反発し、グラディエーターたちの戦いを通して市民の好戦意欲を高めようと企んでいた強硬派の元老院は、ルシウスの存在が邪魔になり、さらなる陰謀をめぐらせる。
阿部寛/ルシウス
上戸彩/山越真実
北村一輝/ケイオニウス
竹内力/舘野
宍戸開/アントニヌス
笹野高史/山越修造
市村正親/ハドリアヌス
キムラ緑子/山越由美
勝矢/マルクス
曙/アケボニウス
琴欧洲/コトオウシュヌス
松島トモ子/峰子
前作に続き、武内英樹監督がメガホンをとった「テルマエ・ロマエII」は完結編と位置づけられ、日本映画としては初のブルガリアロケを行っている。同国首都ソフィアにあるヨーロッパ最大級の撮影所「ヌ・ボヤナ・フィルム・スタジオ」に古代ローマの街並みを再現。高さ50メートルにもおよぶコロッセオのオープンセットが建設された。
外国人エキストラの参加人数は延べ5000人(前作は1000人)。4月上旬にクランクインし、草津、箱根など国内の温泉地での撮影を経て6月上旬にクランクアップ。全てがスケールアップした形で撮影が進められていた。
再び現代日本へやってきたルシウスは相撲を目にし、血みどろのグラディエーター達の戦いとは違う平和的ルールや観客のムード、その浴場に新たな可能性を見出していく――。
この展開を描くために、曙(現:曙太郎)や琴欧洲(現:琴欧洲勝紀)など、総勢17人の現役力士(当時)と元力士が多数出演。日本相撲協会所属の力士が相撲以外をテーマにした映画に出演するのは異例で、これほどの大人数が出演するのも前代未聞のことだった(相撲と同じく「伝統的な風呂文化を平和に導く役割として描く」というテーマに協会が賛同)。
曙&琴欧洲は、ローマ帝国のグラディエーター(アケボニウス、コトオウシュヌス)として登場。曙が役名付きで映画に出演するのは初、琴欧洲は母国ブルガリアでの撮影はかなわなかったが、稽古の合間を縫って日本での撮影に参加している。
琴欧洲勝紀(佐渡ヶ嶽部屋)、富士東和佳(玉ノ井部屋)、舛ノ山大晴(千賀ノ浦部屋)、豪風旭(尾車部屋)、豊響隆太(境川部屋)、鳰の湖真二(北の湖部屋)、大喜鵬将大(宮城野部屋)、東里弥(玉ノ井部屋)、磯東建太(玉ノ井部屋)、佐田ノ国豪幸(境川部屋)、睦風菊勝(尾車部屋)、二十城孝二(北の湖部屋)、白海竜光(宮城野部屋)、曙太郎、玉ノ井太祐、浜亮太、寺谷大志。
大きな爆笑ポイントとなっているのが「ルシウスがウォータースライダーを滑る」というシーン。公開当時、映画.comが実施した阿部&上戸へのインタビューでは、当時の撮影秘話が明かされている。
阿部「僕も年をとったのかなあ。最初は怖くて、しがみつきながらやっていたんですよ。僕のサイズでは飛び出しちゃうんじゃないかっていうのもあって。だんだん慣れて怖くないと分かると、ちょっとオイルを塗るといったどんどん滑る仕掛けもして」
上戸「アップって阿部さんが自分でカメラを持って撮影しているんですよ。あれは分かって見ていても面白かった」
阿部「最初はカメラを(体に)縛りつけていたんだけれど、やっぱりぶれるわけです。自分で撮る方がやりやすいので、(カメラを持って自分に向けるポーズをして)アアアーッて。ちゃんと計算してやったから、ぴったり全部入っていた」
同シーンで披露される阿部の“顔芸”は必見だ。
実写版「テルマエ・ロマエ」シリーズでは、強烈なインパクトを放つ「平たい顔族(=日本人)」も登場する。特に印象に残るキャラクター3名の情報をまとめておこう。
竹藪の中、簡易的な木製浴槽に浸かっていた老人。北島三郎の楽曲としても知られる「与作」を口ずさみ、ルシウスに“新たなアイデア”を授ける。演じているのは、1934年生まれのいか八朗さん。芸人として劇場で活躍した後は、俳優に転身。映画では「二十世紀少年読本」「遥かな時代の階段を」「罠(1996)」などにも出演。前作「テルマエ・ロマエ」には銭湯にいる老人役として参加している。 2018年5月28日に亡くなっている。
現代日本にタイムスリップしたルシウスが、山越屋旅館の常連客・館野とともに訪れた店でラーメンを調理している人物。演じているのは、“ベイビー”の愛称で慕われた白木みのるさん(1934年5月6日~2020年12月16日)。1960年代を代表するコメディ番組「てなもんや三度笠」の珍念役で人気を博した。吉本新喜劇のほか、北島三郎の歌謡ショーなどに出演。楽曲も出しており、「つんちゃな馬子さで」「泣くもんか」「珍念のタンゴ」のほか、白木さんのシャウトと強烈な歌詞で有名な「銭$ソング」(古谷三敏氏の漫画「マンダム親子」のイメージソング)などがある。
山越修造が師と仰ぐ指圧師。ルシウスは、その指圧テクニックについて「神の治療」と感嘆した(モデルは日本指圧協会の創設者・浪越徳治郎氏)。演じているのは、1931年生まれの菅登未男さん。「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」の“ピカデリー梅田”としても知られている。数多くのCM、ドラマ、映画に出演しており、武内監督が手掛けた「翔んで埼玉」(五頭岳夫役)にも参加した。
前作「テルマエ・ロマエ」が封切られた2012年4月28日の初日挨拶では、“濃い顔”の面々が古代ローマ人を演じるという、ユニークなキャスティングにちなみ、約650人の観客に判定を委ねる「日本一濃い顔選手権」が開催。ケイオニウス役の北村が“初代王者”の栄冠を手にしている。
「テルマエ・ロマエII」の初日挨拶となった2014年4月26日には、観客の要望によって、第2回が行われた。その結果、僅差で阿部がNo.1の称号を獲得。北村は「これが正しい」と納得顔。一方の阿部は苦笑いしきりだった。
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