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是枝裕和×坂元裕二、諦めていた相思相愛タッグがオリジナル映画「怪物」で実現!

2022年11月18日 07:00

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「怪物だ~れだ?」
「怪物だ~れだ?」
(C)2023「怪物」製作委員会

是枝裕和坂元裕二という、日本を代表する監督と脚本家の初タッグが、オリジナル映画「怪物」で実現することが明らかになった。川村元気山田兼司が企画・プロデュースする今作は既に撮影を終え、現在ポストプロダクション中。東宝とギャガの共同配給で、2023年6月2日に全国で公開される。

万引き家族」が第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞する快挙を成し遂げたほか、「真実」をフランス、「ベイビー・ブローカー」を韓国で撮るなど、国の垣根を越えた活動を続けてきた是枝監督。今作は「万引き家族」以来となる、久々の日本での映画撮影となった。これまで自らメガホンをとる作品は脚本も兼ねてきたが、今回はファンであることを公言してきた坂元の脚本に全幅の信頼を寄せ、監督に専念した。

2017年にトークイベントで対談している是枝裕和監督と坂元裕二
2017年にトークイベントで対談している是枝裕和監督と坂元裕二

是枝監督が羨望と畏敬の念を抱く坂元は、「東京ラブストーリー」「Mother」「最高の離婚」「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「anone」など、数多くの名作ドラマの脚本を手がけてきた。また、「世界の中心で、愛をさけぶ」では行定勲監督、伊藤ちひろと共同で脚本を執筆。21年にはオリジナル脚本作「花束みたいな恋をした」を興行収入38.1億円の大ヒットに導くなど、時代を象徴するストーリーテラーだ。

ふたりは、互いにリスペクトし合いながらも、トップランナーであるからこそ協業は諦めていたということが、それぞれのコメントから読み取ることができる。それでも、運命の歯車が噛み合い、「怪物」というタイトルの作品で相まみえることになった。

企画・プロデュースの川村は、是枝監督とNetflixドラマ「舞妓さんちのまかないさん」で仕事を共にしている。映画.comで連載(https://eiga.com/extra/kawamura/)をしていた際、是枝演出に関して「モニターを見ながらも俳優に対して、『あなたの芝居を近くで見ているよ』という緊張感を与え続けていると感じました」と語っており、敬意をにじませる。また、大阪の劇場勤務から企画・編成のセクションに異動となった20代の頃、「坂元裕二さんが書いた『世界の中心で、愛を叫ぶ』の脚本を読んで上司にその感想を伝える」ことが、最初の仕事だったと明かしており、巨匠ふたりとの巡り合わせを感じさせる。

なお今回の発表では、キャスト情報は一切明かされていない。森の中を走る2人の子どものイノセントな写真とともに、サイレンが鳴り響くなかで「怪物だ~れだ?」とつぶやく少年の声が不穏な余韻をもたらす、短い特別映像がお披露目されている。子役への演出に定評のある是枝監督が、今作ではどのような作品世界を紡いでいるのかに大きな注目が寄せられる。

是枝監督と坂元のコメント全文は、以下の通り。


是枝裕和監督
画像2(C)藤井保
基本的には自分の映画は自分で脚本を書いて来ましたが、誰か脚本家と組むなら誰が?という質問には必ず「坂元裕二!」と即答してきました。それは、そんなことは自分のキャリアには起こらないだろうとどこかで諦めていたからです、きっと。夢が叶ってしまいました。こんなことを言うと坂元裕二ファンには怒られるかも知れませんが、加害者遺族、赤ちゃんポスト、子供達の冒険旅行、疑似家族と、同じモチーフに関心を持たれている方だなと親近感を抱いておりました。もちろん作品になるタイミングは前後していますし、扱い方は全く違うのですが、それでも彼と自分は同じ時代を生き同じ空気を吸って吐いているんだと感じていました。そして、何より、その題材をとてつもなく面白いものに着地させる手腕には、羨望と畏敬の念と両方を抱いておりました。
今回は、縁あって共同作業が実現してしまいました。監督としてこの素晴らしい脚本とちゃんと勝負しなくてはいけないと、ファンであることは隠したつもりだったのですが、恥ずかしながら、バレバレだったと思います。
まだタイトル以外は明かせませんが、誰よりもこの作品の完成が待ち遠しいです。

画像3
是枝作品の脚本を是枝さん以外の者が書くと聞くと、観客の方はどのように思われるのでしょう。わたしは、「え、そんなことはありえるの? 無理に決まってるでしょ」派です。是枝監督は世界一の脚本家でもありますから。しかも撮影現場で俳優やスタッフと対話しながら脚本を作っていくタイプの監督です。そんな仕事を引き受けた脚本家がいたら、身の程知らずだなと苦笑いするはずです。まったくもって愚か者ですね。
是枝さんは学年もクラスも違っていて話したこともないけど、時々廊下で目が合ったり、持ってるものを見て真似して手に入れたくなる、憧れの存在のような人でした。あんな人になりたかったな、なれなかったな。いいな、羨ましいな。そんな嫉妬めいた思いの対象だった是枝さんが、『海よりもまだ深く』という映画の作中やインタビューで「こんな自分になりたいわけじゃなかった」と語られていて、驚きました。是枝さんの秘密をちょっと知ったような気になりました。誰だって多かれ少なかれ自分に納得いかなくて、こんなつもりじゃなかったと思いながら生きていて、どこかで折り合いをつけようとするけど、良いこともあれば悪いこともある。自分のことがあまり好きじゃなかったりする。廊下の向こうにいる是枝さんのことを見かけるたびに、「僕もそうなんだよね」と心の中で勝手に話しかけてみたりする、そんな存在に変わって、この映画もそんな風にして作っていきました。自分を好きになれない誰かへのエールになるといいなと思っています。

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