30年ぶり復活「シコふんじゃった!」と一緒に見たい! 日本映画史に輝く周防正行&矢口史靖両監督の傑作選
2022年11月12日 13:00

ディズニープラスのコンテンツブランド「スター」の、日本発オリジナルドラマとして制作された「シコふんじゃった!」(原作・総監督:周防正行)が独占配信されている。そこで、原点である「シコふんじゃった。」(1992)のほか、アルタミラピクチャーズが世に送り出した周防監督の代表作「Shall We ダンス?」、矢口史靖監督の「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」といった良質なコメディ映画の数々をご紹介。その魅力はずばり、意外な“掛け算”が生み出す奇跡の化学反応。日本映画史に輝く両監督の傑作を見れば、30年ぶりに復活した「シコふんじゃった!」がさらに楽しめるはずだ。

周防監督にとって、一般映画デビュー作となった「ファンシイダンス」の原作者・岡野玲子氏から「相撲漫画を描く」という話を聞き、「キャスト全員がまわし姿」という物語の面白みから、企画がスタート。「ファンシイダンス」に引き続き、本木雅弘が主演を務め、美しい男子たちが土俵でしのぎを削る姿は当時、空前の“若貴ブーム”も後押しとなり、大きな話題を集めた。この成功が、周防監督を一気にスターダムに押し上げた。

1996年に設立されたアルタミラピクチャーズが製作した本作は、日本アカデミー賞を独占する快挙を果たし、アメリカでも上映された周防監督の代表作。日本では時代遅れとされていた“社交ダンス”と、うだつの上がらない“おじさん”。そんなふたつの要素を組み合わせ、多彩なユーモアを盛り込んだストーリーと、軋轢にもめげずに自分を肯定し、人生の輝きを取り戻す、役所広司演じる主人公の姿が大きな感動をもたらした。2004年には、リチャード・ギア主演でハリウッドリメイクもされた。

落ちこぼれ男子高校生の奮闘と、メジャーとは言いがたかった“男子のシンクロ”が融合し、新たな青春映画の金字塔を生み出した、矢口監督の代表作。アルタミラピクチャーズが製作するコメディ映画の特色である、涙と笑いの絶妙なバランスも健在。テレビドラマ化もされ、実際に男子のシンクロ(現在のアーティスティックスイミング)が大ブームとなり、社会現象を巻き起こした。妻夫木聡、玉木宏ら、いまも第一線で活躍する俳優たちの初々しい姿も見どころになっている。
同じく矢口監督が、若い世代にはハードルが高いと思われがちなジャズと、地方に暮らす女子高生を組み合わせることで、意外性あふれるセッションを奏でた上質なエンタメ作品。第28回日本アカデミー賞では、受賞部門数(7部門)が最多を誇った。公開後は高校生の間で管楽器ブームが起こり、「ウォーターボーイズ」に続き社会現象化。若き日の上野樹里、貫地谷しほり、本仮屋ユイカらが出演しており、「矢口作品=ブレイクへの登竜門」と考える映画ファンも少なくなかった。
以上の作品でプロデューサーを務めた桝井省志氏は、作品が長く愛される理由を「周防正行監督、矢口史靖監督の独特なユーモアセンスに尽きるでしょう。共通して観客をトコトン喜ばせたいという天性のサービス精神の持ち主でもあります。それが笑いの源泉なのです」と分析。「私たちもキャスト、スタッフと一丸となって、観客を喜ばせたいという思いだけで作品づくりに励みました」と振り返る。
「ドラマの中身はもちろん青春でしたが、実は私たちの映画づくりそのものが青春だったんですね。禅寺の修行、学生相撲、社交ダンス、シンクロ(アーティスティックスイミング)、ビッグバンドジャズ……。すべて吹き替えなしの真剣勝負、俳優部さんたちが本気で訓練しなければ成立しないドラマばかりです。その結果、単なるコメディで終わることなく、ドキュメンタリー作品と言っても良いようなリアリティのある青春ドラマとなったのです。それが、見る人の心を捉えたのではないでしょうか」(桝井氏)

映画「シコふんじゃった。」から30年の歳月を経た2022年、新キャストを迎えたオリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」が制作された。卒業と引き換えに廃部寸前の相撲部に渋々入部した崖っぷち大学生の亮太(葉山奨之)と、たったひとりの部員で相撲一筋だが、“人生音痴”な穂香(伊原六花)、そして個性豊かな仲間たちが、人生大逆転をかけて土俵にあがる。王道の青春テイストに加えて、女性が土俵にあがり、女子相撲や男女混合戦に挑む姿を描き、令和の時代にあわせてアップデートされている点も見逃せない。

「青春とは、それがたとえ愚かに見えようとも、何かひとつの事に懸命に立ち向かう喜劇なのです。そして再び、我々は、新たな若い俳優部とスタッフを迎え、学生相撲というひとつのことに本気で夢中に挑んだのです。これが、リアルな青春喜劇にならないはずはありません。アルタミラピクチャーズは、これからもずっと青春ドラマを作り続けたい、そう改めて強く思いました」(桝井氏)
「シコふんじゃった!」は、ディズニープラスで配信中(全10話/11月16日から第5話配信)。周防監督作「ファンシイダンス」「シコふんじゃった。」「Shall We ダンス?」も配信されている。
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