【ネタバレ解説】「DC がんばれ!スーパーペット」はアメコミファン必見の作品だった! トリビアを紹介
2022年9月7日 10:00
アニメーション映画「DC がんばれ!スーパーペット」(公開中)は、“あなたのペットが突然、スーパーパワーを手に入れてしまったら…?”をテーマとした作品です。
空を飛べる犬のクリプト、その相棒ミサイルドッグのエース、体の大きさを変えられるブタのPB、超高速移動ができるカメのマートン、手から電流ビームを出すリスのチップなどなど、キュートなキャラクターたちが大活躍! 世界征服を目論む子猫のウィスカーズやモルモット軍団にさらわれた飼い主を救い出すため、最強の敵に立ち向かうさまが描かれています。
同作、実は「アメコミファン必見の作品」だったということをご存知でしょうか? DC映画のポテンシャルを存分に感じる部分だけでなく、アメコミファンもうなる小ネタが満載なんです。
本記事では、アメコミ映画評論家/ライターの杉山すぴ豊さんに「DC がんばれ!スーパーペット」の魅力を存分に語っていただきました!
「DC がんばれ!スーパーペット」はDCの冠がついている通り、DCコミックをベースにした映画です。実はスーパーマンやバットマンなどのDCヒーローの世界にはスーパーパワーを持つ動物たちもいて、ヒーローたちのペットだったりします。彼ら・彼女たちを主人公にしたコミックやアニメもあるのです。
一番有名なのはスーパーマンのペット犬クリプトでしょうか? このワンちゃんも惑星クリプトンから地球にやってきたのでスーパーパワーがあります。本作はこうしたスーパーペットたちを主人公にしたアドベンチャー映画です。とはいえ本映画オリジナルのキャラもいるし、またクリプトを除いてほとんどのキャラがコミックとは異なるこの映画独自の設定で描かれています。この映画ではクリプトに加えスーパーパワーを得た動物たち、ブタちゃん、カメさん、モルモットくん、猫ちゃんたちが大活躍しています!
そもそも可愛い動物が活躍するというだけで楽しい。なのでこの映画、確かに愛らしいしファミリー・ピクチャーに仕上がっていると思うのですが、しっかりスーパーヒーロー物になっているんですね!
まず登場するヒーローはスーパーマン、バットマン、フラッシュ、ワンダーウーマン、サイボーグ、アクアマン、グリーン・ランタンとジャスティス・リーグの面々。大スクリーンでジャスティス・リーグが活躍を楽しめるのは「ジャスティス・リーグ」(2017)以来。そして今回登場するグリーン・ランタンはコミックにおける8代目のグリーン・ランタンことジェシカ・クルス、ラテン系の女性です。
しかしこの映画の主役はあくまでペットたち。ヒーローたちがピンチに陥り、それをスーパーペットたちが救うという展開になります。タイトルにペットとうたっていますが、クリプト以外の動物たちはまだヒーローの愛玩動物ではありません。この映画で描かれた事件をきっかけに動物たちはヒーローたちと出会い、それぞれのペットになっていきます。そうスーパーペットのオリジン(誕生秘話)ですね。
よくよく考えてみるとこの映画、「THE BATMAN ザ・バットマン」に続くDC映画なわけです(笑)。やはりDCというとダークで重みのあるヒーロー物というイメージがありますよね。「THE BATMAN ザ・バットマン」なんて、その典型だと思うのですが、本作はヒーローたちが派手に暴れまわるカラフルなDC映画です。こういう幅の広さがDCのポテンシャルでもあるのです。
前にあるアメコミ翻訳家の方に聞いたのですが“希望と楽観”というのもDCのヒーロー物が持っている遺伝子ではないかと。まさにそういう明るい部分がこの映画につまっています。
とはいえ実はこのペットたちのほとんどが捨てられた動物だったり、ヴィランとなる悪のスーパーペットも人間の実験によって生み出されたという悲しさを背負っています。またクリプトも大好きなスーパーマンが恋人ロイスとの生活を優先して自分が捨てられるのではないか的不安をかかえています。こういうスパイスが物語をひきしめています。
この映画のもう一人の主役は、のちにバットマンのパートナーとなるエースです。
彼もまた悲しい過去があり、それ故気難しいんですが、だからこそバットマンと共鳴するくだりが最高。特にこの映画で描かれるバットマンは、今までのバットマン同様、他のヒーローより面倒な奴としてちゃんと描かれています。
本作はアメコミファンをニヤリとさせるネタもいっぱいです。さりげなくマーベルのアイアンマンの名を出したり、また街の看板にDCの異色ヒーロー、ジョナ・ヘックスを意識したレストランの看板も出てきます。よーくみるとホークマンというヒーローの存在を匂わせるシーンも。
また78年のクリストファー・リーブ出演の「スーパーマン」へのリスペクトも多い。クリプトン星の描写やクラーク・ケントが赤い縁の眼鏡をかけているのはまさにそれ。
個人的には「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」で、あっさり死んだルーサーの秘書マーシー・グレイブスが大活躍でうれしかったです。ドラマ「ヤング・スーパーマン」や「スーパーマン&ロイス」で描かれたクリプトナイトが作用し地球上の人間たちが特殊能力を得るといった設定が動物たちの変異の原因としてうまく活かされています。カメのマートンの甲羅に翼の飾りがあるのは初代フラッシュやコミック版のマートン(コミックでは雄)へのオマージュです。
まだまだ気づいていない小ネタがありそうですね。何年かして、アメコミ映画ファンの間で「『DC がんばれ!スーパーペット』観た?あれよかったよね」と盛り上がれること必至!
アメコミ映画ファン、DCコミックファンは必見の、正統派スーパーヒーロー映画です!
本作がすごいのは豪華な声優陣。ざっとあげてもバットマン役がキアヌ・リーブス、スーパーマン役がジョン・クラシンスキー。最近ではマーベルの「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」で別バースのMr.ファンタスティックを演じていました。
ロイス・レイン役がオリビア・ワイルド。ジャンル映画ファンにとっては「トロン レガシー」や「カウボーイ&エイリアン」が有名ですね。ワンダーウーマン役がジャミーラ・ジャミル。マーベル「シー・ハルク ザ・アトーニー」でシー・ハルクの敵タイタニアを演じています。このまま実写でその役を演じて欲しいぐらいのキャスティング。
さらにエースの声は「ジュマンジ」シリーズのケビン・ハートが演じています。そしてクリプトの声を演じているのはドウェイン・ジョンソン! なおケビン・ハートとドウェイン・ジョンソンは「ジュマンジ」や「ワイルド・スピード スーパーコンボ」等でも共演しており仲がいいのかもしれませんね。
驚きなのは本作でレックス・ルーサーの声を演じているマーク・マロン。この人はあの「ジョーカー」にも出ているのです。ロバート・デ・ニーロと一緒に楽屋でジョーカーことアーサーと会話するTVショーのプロデューサーみたいな役です。「ジョーカー」と「DC がんばれ!スーパーペット」の両方に参加してるってすごいですね(笑)。
本作においてドウェイン・ジョンソンは“一人四役”の大活躍です。まず彼はこの映画のプロデューサーもつとめています。そして俳優としてクリプト、最後に登場するアヌビスという魔犬、その飼い主である超人ブラック・アダムと3つのキャラの声を演じています。
もうおわかりですね、実はドウェイン・ジョンソンはプロデューサー兼主役俳優として、次のDC映画超大作「ブラック・アダム」に参加するのです。そうこの映画のエンディングは「ブラック・アダム」のティザーでもあるのです。ドウェイン・ジョンソンは本当にDC好きですね!
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