映画.comでは、企画「あの人が見た名作・傑作」を更新中。映画業界、ドラマ業界で活躍する著名人がおすすめする名作、傑作をご紹介していきます。第15回は、映画.comが運営するアニメ情報サイト「アニメハック」が、月1回お届けしている生配信番組「アニメハックTV」で、MCを務める声優の徳井青空 さんです。
「ラブライブ!」矢澤にこ役、「探偵オペラ ミルキィホームズ 」譲崎ネロ役など、多くのアニメ作品に出演している徳井さん。クロスメディアコンテンツ「ウマ娘 プリティーダービー 」ではテイエムオペラオー役としてライブ出演もしています。
漫画家としての顔をもち、自身が描いた漫画「まけるな!!あくのぐんだん! 」は2017年にタツノコプロ制作でテレビアニメ化されました。また20年には実写短編映画「時々は、眠れない夜に」で監督デビュー、22年には恋愛アンソロジー「にがくてあまい」に収録されている「恋のや」にて初の小説執筆を行うなど多岐にわたって活動しています。
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徳井さんがMCを務める「徳井青空のアニメハックTV」では、毎回ゲストをお招きして、アニメやイベントの最新情報などを約1時間の生配信でお届けしています。アニメハック公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/c/animehack_official)で生配信後、アーカイブも無料で視聴できます。
――徳井さんの生涯ベスト映画を教えてください。
徳井:なかなかひとつには絞れませんね。ベタですけれどやっぱりジブリ作品は大好きで、なかでも「
耳をすませば 」がすごく好きです。ジブリ作品と同じぐらい「エヴァンゲリオン」も大好きで、そのふたつを同じぐらい繰り返し見ているんじゃないかと思います。
――「エヴァンゲリオン」にもいろいろありますが、どの作品がお好きなのでしょうか。
徳井:「
まごころを、君に 」です。もうめちゃめちゃ好きで、これまで何度も見ています。
(C) 1995 柊あおい/集英社・Studio Ghibli・NH ――「
耳をすませば 」は、「あの人が見た名作・傑作」シリーズに登場いただいた
釘宮理恵 さんもお好きだと話されていました。
徳井:本当ですか! なんだかうれしいですね(笑)
徳井:主人公の雫が物語を書くという夢に向かって葛藤するところが特に好きでした。実際に夢にトライしてみたら、やっぱりすごく大変なことなのが分かるところや、そんななかでも学校生活もしっかりおくらなければいけないもどかしさなど、子どもの頃に漫画家を目指していた私には共感できました。
――徳井さんが漫画家を目指したきっかけはなんだったのでしょうか。
徳井:幼稚園ぐらいの頃から、物心がついたときには漫画を描いていました。これがっていうきっかけは特になくて、気が付いたら目指していた感じですね。
「耳をすませば 」は、雫のセリフが全体的に“セリフっぽいセリフ”というか、物語を読んでいる人特有のセリフまわしのように感じられたのも印象的です。お姉ちゃんなど家族の会話は自然で生身っぽい口調な気がするのですが、雫のセリフはそれ自体が物語のセリフっぽく感じられて、そうした言葉のチョイスも好きだなと思いながら見ていました。
【「
耳をすませば 」作品情報】
柊あおい の同名少女コミックが原作。読書好きな中学生3年生の少女・月島雫が、バイオリン職人を目指す天沢聖司と出会い、お互い惹かれあう青春模様が真っすぐに描かれる。ジブリ作品を支えてきた名アニメーターの
近藤喜文 による長編初監督作。
――実写映画でお好きなものはありますか。
徳井:そうですねえ……難しいなあ。最近はアニメ映画を見にいくことのほうが多いのですが、それこそ「
シン・ゴジラ 」は「エヴァンゲリオン」の庵野(秀明)さんが監督をされていて、アニメ的なカットの面白さもあって好きでした。「
シン・ウルトラマン 」も見て面白かったのですけれど、「ウルトラマン」にくわしいわけではなかったので、くわしければくわしいほどより楽しめたのだろうなと思いました。
――最近の劇場アニメでお好きなものはなんですか。
徳井:「
劇場版 呪術廻戦 0 」がめちゃくちゃ面白かったです。テレビアニメのときも戦闘シーンの作画が大好きだったのですけれど、劇場版を見たときはその迫力が尋常じゃなくて。細かい演出がいっぱい入っていて、本当に面白かったです。
(C) 2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 (C)芥見下々/集英社 ――劇場アニメを見るとき、お仕事柄、声の演技に注目することはあるのでしょうか。
徳井:見ているときは、「この人の演技が」みたいなことは思わないですね。見終わったあとに、「あそこのセリフ、すごく残っているな」というふうに感じることはあるかもしれません。
――映画館やテレビを問わず、直近で見た映画を教えてください。
「時をかける少女 」が公開されるときも楽しみにしていて、実際、予想をこえる面白さがありました。大人になった今見返すと、いろいろな見方や深い考察ができるので、いつ見ても本当にいいなと思います。
(C) 「時をかける少女」製作委員会2006 ――テレビを見る人が減ったと言われていますが、徳井さんはテレビで映画を見るのがお好きなほうなのですか。
徳井:わりとテレビっ子で、朝起きた瞬間から寝る寸前までテレビをつけていることが多いです。配信で見ることもありますが、なんだかんだで「金曜ロードショー」などテレビでやっていると、つい見ちゃうというのはありますね。テレビで放送されると全国のみんなで同時視聴できるわけじゃないですか。それって、なかなかない機会ですよね。テレビをとおしてみんなで何かを見るって、いいなって思います。「
ラブライブ!The School Idol Movie 」のように自分がでている作品でもテレビでやるのなら見ようと思いますし、そこで新しく初めて見たよという方もいたりするので、そういうのってすごくうれしいし、一緒に私も見たいなと思ってしまいます。
【「
時をかける少女(2006) 」作品情報】
テレビドラマや映画で映像化されてきた
筒井康隆 の同名青春SF小説を初めてアニメ化。過去へ飛べる「タイムリープ」の力を手にした女子高生の真琴が、過去を何度もやり直していくうちに、人生のかけがえのない時間に気づく姿を描く。
――最初にジブリ作品と同じぐらい好きだと話されていた「エヴァ」について、もう少し聞かせてください。どんなところがお好きなのでしょうか。
徳井:リアルタイムではなく、中高生ぐらいのときにたしかビデオで見たのですが、なんて新しいんだと思いましたし、最初に見たときは分からなかったところが、どんどん気になる感じがありました。「これはどういう物語なんだろう?」と考える楽しみに満ちていたように思います。でるたびに映像ソフトを買っていて、ブルーレイボックスとDVDボックスの両方をもっているぐらい好きな作品です。
2021年に再上映された「REVIVAL OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」 (C) カラー/EVA製作委員会 ――「シン・エヴァンゲリオン」はご覧になりましたか。
徳井:公開初日の朝7時半の回に見にいくぐらいには、気合いをいれて臨みました。誰よりも早く映画館で見たいなと思いましたし、映画館に足を運ぶワクワク感もすごくあって、イベント的な楽しさがありました。
見終わって、シンプルにこれからも「エヴァンゲリオン」を見たいなと思いました。これで完結みたいな雰囲気もありますが、今後も「エヴァンゲリオン」と名のつく新作が見られたらいいなと期待しています。
「シン・エヴァンゲリオン」の公開でもうひとつうれしかったのは、「エヴァ」の過去作が劇場で上映されたことでした。私が好きな「まごころを、君に 」も映画館で見ることができて、最後の「気持ち悪い」「終劇」の流れでファンの方は衝撃をうけたという伝説を聞いていたので、それをリアルタイムで経験した人はうらやましいと思っていたんです。テレビであの結末を見るのと映画館で見るのとでは印象が違うだろうなと思っていたので、それに近い体験が劇場で味わえて面白かったです。「エヴァ」にかぎらず過去の名作の再上映は、もっとやってもらえるとうれしいです。
――「シン・エヴァンゲリオン」では、リアルタイムで見る体験ができたわけですね。
徳井:朝いちの回であのエンディングを見て、午前中のうちから雨の降る東京にほうりだされたときの気持ちは一生忘れないと思います。
●アニメの魅力や裏側を知りたいし伝えたい
――最後に、MCを担当している生配信番組「アニメハックTV」について、あらためて聞かせてください。
徳井:ひとつのアニメができるまでにはすごく時間がかかりますし、たくさんの人が携わっています。みんなが本気で一生懸命につくっている作品ばかりなので、少しでもその魅力を伝えたいですし、こだわった部分をいちオタクとしてもすごく知りたいんです。番組をとおして、そんなところを聞けるのがいちばん楽しいです。
――ゲストの皆さんは生配信の1時間があっという間だったとよく話されています。毎回どのように臨まれているのでしょうか。
徳井:気になったことは遠慮せず聞くように心がけています。声優さんの場合、アフレコのときに感じたことがあっても、聞かないと意外とでてこないエピソードがあると思うんです。そういうことをいっぱい知れて、視聴者の方に届けることができたらいいなという気持ちでいつもやっています。
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――「アニメハックTV」を知らない方に向けて、一言お願いします。
徳井:アニメ映画がたくさん公開されて、配信でもいろいろなアニメを見ることができるようになって、より広い人たちにアニメを見てもらえている実感があります。声優やアニメ制作の裏側などが少しでも気になった方は、ぜひ「アニメハックTV」を見てほしいなと思います。