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名怪優ウド・キア、主演作「スワンソング」が好評「主役を張れるのは面白い」

2022年8月27日 12:00

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名優ウド・キアの主演作
名優ウド・キアの主演作
(C)2021 Swan Song Film LLC

ダンサー・イン・ザ・ダーク」「アイアンスカイ」などの名優ウド・キアが主演を務め、引退したヘアメイクドレッサーが亡き親友に最後のメイクを施すための旅を、実在の人物をモデルに描いたロードムービー「スワンソング」が公開された。

世界の巨匠に愛され、これまで様々な異端のキャラクターに扮してきたウド・キアが、己の生き方を貫きながらも人間味あふれる主人公パットを強烈な個性で熱演。米映画批評サイト「ロッテン・トマト」で93%フレッシュ(22年8月2日時点)という満足度を獲得しており、世界でも高い評価を得ている。オンラインインタビューに応じたウド・キアに本作、これまでのキャリアについて聞いた。

画像2(C)2021 Swan Song Film LLC
――この作品のどんなところに共鳴されて、出演のオファーを承諾したのですか?

送られてきた脚本を2回読んだところで、是非演じたいと思ったのだけれど、まずはトッド・スティーブンス監督に会いました。作品が良くても監督と良い関係を築けないようではダメなので、自宅に来てもらったところ、これはうまくいくだろうと確信しました。何よりパットというキャラクター、そして彼が自分の過去を遡る過程が好きでした。老人ホームで静かに暮らしていた彼が、過去の顧客の依頼から始まる旅路が面白い。隠れて吸っていたたばこも堂々と吸いながら、かつて住んでいた街を辿っていく――。これが役作りの上で大事だったので、監督に順撮りでお願いしました。何よりも嬉しいのは、一人の男の人生の旅路に皆さんをお連れすることができたことです。

画像3(C)2021 Swan Song Film LLC
――長いキャリアをお持ちで、もう何百本という作品に出演されていますが、今作では、ずっとそのお姿を拝見できたのがうれしかったです。やはり、主演として作品に臨まれる際は、脇役での出演と心持は大きく変わりましたか?

やっぱり、大きく違いますね。ちょっと自分の過去の話をすると、ドイツからアメリカへ来たのが約30年前で、これまでに色んな役のオファーがきました。だけれどもすべて「サポーティングロール、脇役になります」と。今回は主役ということで、ニューヨークタイムズや批評家の方々から、「50年を経て、ウド・キアがリーディングロール、主役を演じた」ということで良い評価をもらったのですが、過去にはメインキャラクターとして、ドラキュラやフランケンシュタイン役をやったこともあります。ただ、あれはアメリカ映画ではないのでね。ようやくここへきて、今回アメリカ映画で主役を張ることができたという記念の作品ですね。

そしてこの作品を経て、今後は主役にこだわりたい気持ちが出てきました。役の方向性としては今度は今回とはむしろ違う役を狙いたいところ。やはり、脇役や悪役だと、数日間演じて殺されておしまい。みたいな感じですから(笑)。やっぱり主役を張れるのは面白い。この映画のおかげで、GQの表紙も飾りました。これからは積極的に主役をやらせてくれる作品を探していきたいですね。

画像4(C)2021 Swan Song Film LLC
――「スワンソング」はまさしくあなたの代表作の一つになると思います。様々なマイノリティを演じられることで、見る人々に異端であることを恐れない勇気を与えられる、唯一無二の俳優であると思います。本作以外で特に愛着のある役や監督とのエピソードがあれば教えてください。

ただただ僕は幸運だっただけです。ビム・ベンダースライナー・ベルナー・ファスビンダーラース・フォン・トリアーガス・バン・サントら、世界屈指の素晴らしい監督と仕事ができました。彼らが私を発見してくれたという感じです。自分からあなたの作品に出させてくださいとお願いしたことはないです。中でも思い出深いのは、ファスビンダーですね。初めて会った時は彼が15歳で私は16歳。非常に思い出深い監督のひとりです。ガス・バン・サントとは、ベルリンで会って、彼の作品に出演したことが、アメリカへ行くきっかけとなりました。アメリカでの1作目が、「マイ・プライベート・アイダホ」でリバー・フェニックスキアヌ・リーブスと共演しました。

あとは30年ほどにおよぶコラボレーションになったラース・フォン・トリアーです。彼は役者に芝居を求めない監督で、そういうところが気に入っています。皆さんそれぞれに特別な大事な思い出があり、中には気難しい監督もいるけれども、凄く才能があったり。やっぱりそれはアーティストということですよね。人それぞれで面白いです。

画像5(C)2021 Swan Song Film LLC
――70代後半となってから今回主演で高く評価されたように、役者という仕事は、キャリアや年齢を重ねてもその年代にあった役柄が来たりと、柔軟性のある職業だと思います。あなたにとって、俳優は天職ですか? ほかの人生があればどんな仕事に就いていましたか?

明言しておかなければならないのは、私は自分で演技を習得してきたわけではないことです。今、学校で演技論なるものを教えてもいますが、生徒の皆さんには、才能は学びとれるものではないと言っています。そういう話はさておき、自分が違う人生を歩むなら、ガーデニングをやりたいです。実際に普段から庭の手入れをしたり、木を植えたりするんですが、撮影現場から帰ってくると、自分はあの現場で良かったかな? と体験談を木に語り掛けるんです。それは自分を振り返るひとつの手段でもあって。だから俳優じゃなかったら、庭師になっていると思います。

――ご自身の出演作以外で、映画はよくご覧になりますか?

とりわけ昔の映画スターがいた時代の映画が好きですね。エリザベス・テイラージェームズ・ディーンとか。特にエリザベス・テイラーは美しいし、大好きですね。最近の俳優の芝居はちょっと違うのかなと思うこともあります。やっぱりテレビやインターネット配信で見ると、バイブレーションが違うんですよね。なるべく巨大なスクリーンに飲み込まれたいと思っているので、いつも映画を見る時は映画館に行きます。

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