「佐々木、イン、マイマイン」内山拓也監督、PTA作品からの影響を明かす オマージュも
2022年6月24日 07:00
ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作「リコリス・ピザ」のトークイベントが6月22日、都内で行われ、「佐々木、イン、マイマイン」で知られる内山拓也監督が登壇。MCを務めた映画ライター・SYOと共に、本作の魅力を語り合った。
本作は1970年代の米サンフェルナンド・バレーを舞台に、写真技師アシスタントのアラナと高校生ゲイリーの恋模様を描く。第94回アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚本賞の3部門にノミネートされ、3人姉妹バンド、ハイムのメンバーであるアラナ・ハイムと、フィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマンが主演。ともに鮮烈な映画デビューを飾った。
内山監督は「最高じゃね?という感じが詰まっている映画です。この時代に70年代のボーイ・ミーツ・ガールの物語が見られるんだなあ、楽しく撮ったんだろうなあということがしっかり映画から伝わってきた」と感想を明かす。
また、アンダーソン監督から強く影響を受けているという内山監督は「とにかく横移動、高速パン、移動ショットとロングショットの使い方がうまい」と語り、「佐々木、イン、マイマイン」でも「実は、(藤原)季節くんに原っぱでジャンプをしてもらって走り抜けるシーンを撮ったんですが、これは『ザ・マスター』でホアキンが荒野を全速力で走るシーンのオマージュなんです」と振り返る。
「カメラマンの四宮(秀俊『ドライブ・マイ・カー』他)さんにこの説明をしたら、一言で『ああ、わかったわかった。見なくても分かる』と納得してくれて(笑)。四宮さんも好きなんだな」と嬉しそうに話した。なお、そのシーンは本編ではカットしたが、予告編で復活したという。
最後に、内山監督は「閉塞的な時代ではありますけど、PTA(ポール・トーマス・アンダーソン)はボーイ・ミーツ・ガールの多幸感あふれた幸せな映画を撮ってくれたと思う。全体的に幸せオーラが感じられる作品だと思います。今、こういう作品を映画館で見られるというのはとても意義がありますよね。70ミリのフィルムを存続しようとしている監督でもあるので、そういった意味でもぜひスクリーンで見てほしいです」とメッセージを送った。
「リコリス・ピザ」は7月1日から公開。