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是枝裕和監督「ベイビー・ブローカー」カンヌで2冠 ソン・ガンホが最優秀男優賞 韓国人俳優で初

2022年5月29日 06:35

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「ベイビー・ブローカー」主演のソン・ガンホ
「ベイビー・ブローカー」主演のソン・ガンホ
Photo by Stephane Cardinale Corbis/Corbis via Getty Images

第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された、是枝裕和監督が手掛ける初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」主演のソン・ガンホが、最優秀男優賞を受賞した。さらに「ベイビー・ブローカー」は、コンペティション部門とは別に、「人間の内面を豊かに描いた作品」に贈られるエキュメニカル審査員賞にも選ばれた。

現地時間の5月28日に行われた授賞式でソン・ガンホは「本当に有難うございます。光栄です。偉大なる芸術家、是枝裕和監督に深く感謝申し上げます。一緒に頑張ってくれた役者のカン・ドンウォンさん、イ・ジウンさん、イ・ジュヨンさん、ペ・ドゥナさんに深い感謝と、この光栄を分かち合いたいと思います。イ・ユジン代表、そしてCJの関係者の方にも本当に感謝しています。今、2階にいると思いますが、愛する家族と共に来ました。本当に大きなプレゼントになりました。とても嬉しいですし、このトロフィーの光栄と永遠なる愛を差し上げます。多くの映画ファンにこの栄光を差し上げます」と目を潤ませながらスピーチをした。

カンヌ国際映画祭において、韓国人俳優が最優秀男優賞を受賞するのは初。さらに、是枝裕和監督作品がカンヌ国際映画祭で同賞を受賞するのは、「誰も知らない」(2004)で柳楽優弥が受賞して以来2度目となる。

画像2Photo by Stephane Cardinale Corbis/Corbis via Getty Images

「エキュメニカル審査員賞」は、カンヌ国際映画祭の独立部門のひとつで、キリスト教関連の国際映画組織「SIGNIS and INTERFILM」の6人の審査員によって、コンペティション部門出品作の中から選ばれる賞で、「人間の内面を豊かに描いた作品」に与えられる。1974年から授与されており、昨年のカンヌ国際映画祭では同賞を濱口竜介監督作「ドライブ・マイ・カー」が受賞。そのほか2000年に「EUREKA」で青山真治監督が、2017年に「光」で河瀬直美監督が受賞を果たしており、日本人監督としては4人目の受賞となる。

「エキュメニカル審査員賞」授与にあたり、審査委員長は作品について「この映画は、血のつながりがなくても家族が存在できることをとても親密な方法で示してくれる。傷ついてきた過去を持つ大人3人(ブローカーの男2人とベイビー・ボックスに赤ん坊を置いた母親1人)と養護施設から抜け出した子供1人によって、赤ん坊の命と魂は守られる」と評価し、さらに本編後半に登場する彼らによるあるシーンがとても感動的だったことについて触れた。

自らの手で育てられない赤ん坊を匿名で預けることができる“赤ちゃんポスト”。本作の主人公は、そこに預けられた赤ん坊を横流しし、マージンを稼ぐベイビー・ブローカーの男2人、サンヒョン(ソン・ガンホ)とドンス(カン・ドンウォン)。ある雨の夜、2人は監視カメラの映像を消し、若い女性ソヨン(イ・ジウン)が預けた赤ん坊をこっそりと連れ去るが、翌日思い直して戻ってきたソヨンに疑われ、なりゆきから一緒に養父母探しの旅に出る。「ベイビー・ブローカー」は、6月24日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開。

▼「エキュメニカル審査員賞」是枝監督の受賞コメント
「有難うございます。今僕が言うことは何もないと思うくらい、僕がこの映画でやりたかったことを伝えていただいたので、短く感謝の言葉を述べて終わりにしたいと思います。映画の冒頭で捨てられた赤ちゃんと捨てた母親が、子供を売ろうとする男たちと旅に出るという話が、映画の最後間近で、彼ら全員が生まれてきたことを祝福されます。

これは今回映画を作る上で施設で育った子や親元を離れて育った子たちを取材する中で、自分が社会の側、大人の側としてどうしても伝えたい言葉だったので、普段はやらないくらいはっきりとセリフにしました。その祝福の言葉を聞いた後にちょっとだけ人生が上向きになる、上を向いて生きていけるようになるというか、そんな物語にしたいなと思いました。

最終的には捨てられたひとつの命がもう少し大きな、それは側でみている人もいれば、側に近寄れないので遠巻きにみている人もいるけれども、社会という少し大きな箱の中で見つめられて育てられていくという、そういう話にしました。なので、今回は本当にこの作品にとってふさわしい賞をいただけたなと思っています。有難うございます」

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