島崎藤村の名作「破戒」間宮祥太朗主演で60年ぶりに映画化! 石井杏奈、矢本悠馬らが共演
2022年2月16日 05:00

島崎藤村の名作「破戒」が60年ぶりに映画化されることがわかった。主演を務めるのは、間宮祥太朗。石井杏奈、矢本悠馬、眞島秀和、高橋和也、竹中直人、本田博太郎、田中要次、石橋蓮司、大東駿介、小林綾子が共演し、7月8日に公開される。あわせて、ティザービジュアルも披露された。
1948年に木下惠介監督、1962年に市川崑監督と名だたる巨匠が映画化を試みた「破戒」。今回は、制作を東映、制作プロダクションを東映京都撮影所、配給・宣伝を東映ビデオと“オール東映グループスタッフ”で不朽の名作を復活させる。監督を務めるのは「発熱天使」「みみをすます」の前田和男。脚本を加藤正人(「クライマーズ・ハイ」「孤高のメス」「ふしぎな岬の物語」)と木田紀生(「バトル・ロワイアルII 鎮魂歌(レクイエム)」)が担当する。
瀬川丑松(間宮)は、自分が被差別部落出身ということを隠して、地元を離れ、ある小学校の教員として奉職する。彼は、その出自を隠し通すよう、亡くなった父からの強い戒めを受けていた。彼は生徒に慕われる良い教師だったが、出自を隠していることに悩み、また、差別の現状を体験することで心を乱し、下宿先の士族出身の女性・志保(石井)との恋に心を焦がしていた。友人の同僚教師・銀之助(矢本)の支えはあったが、学校では丑松の出自についての疑念も抱かれ始め、丑松の立場は危ういものになっていく。
苦しみのなか丑松は、被差別部落出身の思想家・猪子蓮太郎に傾倒していく。猪子宛に手紙を書いたところ、思いがけず猪子と対面する機会を得るが、丑松は猪子にすら、自分の出自をカミングアウトすることができなかった。そんな中、猪子の演説会が開かれる。丑松は、「人間はみな等しく尊厳をもつものだ」という猪子の言葉に強い感動を覚えるが、猪子は演説後、政敵の放った凶刃により命を落とす。この事件がきっかけとなり、丑松はある決意を胸に、教え子たちが待つ最後の教壇へ立とうとする。
「破戒」は、7月8日から丸の内TOEIほかで全国公開。キャスト、スタッフのコメントは、以下の通り。
映画「破戒」で瀬川丑松役を演じます。島崎藤村氏の小説はこの話を頂いてから読みました。
戒めを破ると書いて破戒、シンプルで確固とした主張を抱いた題名。情景や風景、その場のあらゆることが繊細な描写で表現されていて、肌で知ることのできない時代の物語が目の前に表れるようでした。
そして作品の中枢の部分にぶっとく流れる強い激情。今このコメントを書いている最中も何と言葉にしていいかわからずにいます。しかし一方で言葉を探す作業こそ重要なのだとも思っています。他人に見えず自分の中だけにある感情を探す事に繋がっている気がします。この映画も、言葉で語りづらいものになっていれば、そして観客の皆さん一人一人が自分の言葉や感情を探してくれればと願っています。真夏の京都での撮影は静かに着々と進みました。
映画「破戒」宜しくお願い致します。
間宮祥太朗は違う次元に行ってしまった。
原作における主人公・瀬川丑松は、苦悩と葛藤にまみれた複雑なキャラクターである。
ところが、間宮祥太朗は深く静かに丑松になりきり、信じられないほどの軽みと透明な人物をそこに生み出した。
映画のDNAの本質は、何かを「じっと見つめる」ことにある。
「静か」「透明」……それこそ映画が映画であるための本質である。間宮祥太朗はそこに到達した。
役者が演じている顔(気持ちから導き出された演技)とは違う次元に行ってしまったのだ。
それは映画開始早々1分30秒で登場する間宮祥太朗=瀬川丑松を見れば一目瞭然だろう。その恐ろしいほどの美しさに、撮っていた私は鳥肌がたった。
島崎藤村の「破戒」は、1948年に木下恵介監督、1962年に市川崑監督によって映画化されている。いずれも日本映画史に残る名作だ。
「破戒」は、差別に対する悲憤を描いた小説だ。出版されて110年以上の時が流れた現在も、未だに部落差別は社会に残っている。
それどころか、外国人やマイノリティに対する新しい差別も生まれている。人間の心から消えない差別意識というものを常に意識しながら、現代にも通じる「破戒」にしたいという想いでこの脚本を書いた。
主人公の瀬川丑松は、過去の作品で、池部良、市川雷蔵といった名優によって演じられたが、今回この難役に挑戦してくれた間宮祥太朗君には深く感謝している。
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