トップコートで最も丸刈りの似合う男・山時聡真の誓い ZIP!朝ドラマ最終審査へ
2022年1月24日 08:00
進境著しい俳優の山時聡真が、更なる飛躍を誓い2022年の活動をスタートさせている。昨年は短い尺ながら、映画「CUBE 一度入ったら、最後」で所属事務所の先輩・菅田将暉と初共演。大きな刺激を受けた山時はいま、何を見据えて歩みを進めているのか話を聞いた。(取材・文/大塚史貴)
山時が銀幕デビューを果たしたのは、松原智恵子と故津川雅彦さんが共演した「ゆずの葉ゆれて」(16)。撮影が行われたのは15年8月で、山時はまだ10歳。それでも、ふたりとの共演は鮮明に覚えているという。
「最初に撮ったのが津川さんとのシーンだったのですが、とにかく緊張していました。まだ小学校4年生だったのでよく分かっていませんでしたが、津川さんから『すごく良い笑顔だね』と言っていただいて……。いま考えると、すごいことだなと思います。あと、『演技というのはそこにカメラがあるだけで、日常の生活を送っていればいい。それが自然に繋がる』と話してくださったことも覚えていて、今でも意識しています」
「松原さんとは今でも年賀状のやり取りをさせていただいています。松原さんがソチ国際映画祭で主演女優賞を受賞された時にお花を贈ったのですが、そうしたら自宅にお礼の電話がかかってきて、ビックリして聞き返しちゃいました(笑)。松原さんは僕が幼かったこともあって、ちゃんとしていない時はきちんと注意してくださったり、とてもよくしていただきました」
日本映画界を牽引してきた大ベテランからの薫陶を受けた山時はその後、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」やNHK連続テレビ小説「エール」、映画「約束のネバーランド」などで確かな存在感を放つようになる。筆者が山時を俳優として意識して見るようになったのは、山田洋次監督の原作小説をドラマ化した「少年寅次郎」で、寅次郎の兄・昭一郎役を好演している。
当時もそうだったが、山時は丸刈り姿が良く似合う。担当マネージャーと別件で話をしていた際に「トップコートで一番丸刈りが似合う俳優がいるんです」と売り込まれたことが、今回の取材につながっている。
「あまり実感はないのですが、皆さんがそう言ってくださるのはありがたいです。役の準備で丸刈りにする前、嫌がっちゃう部分はあったのですが、やってしまえば案外いいなと感じることもあって。とにかく楽なので、髪型であまり悩まなくなりました(笑)。ですが、高校に入学してから仕事で丸刈りにするときは、少し躊躇したんです。みんな、ビックリするかな……と思って。でも、友だちたちも似合うと言ってくれますし、特に気にならなくなりました」
そう笑顔で話す山時は昨年、所属事務所の先輩である菅田が主演した「CUBE 一度入ったら、最後」に出演し、菅田が演じる後藤裕一の弟・後藤博人に扮した。短い尺ながら、愁いを帯びた横顔、兄をじっと見据える眼差しは強いインパクトを観る者に残した。
菅田本人も、筆者に「さんちゃん、良かったですよね! 事務所に入りたての頃、本当に小さかったんですよ。上から目線になっちゃうけれど、余計な芝居をしないし、ちゃんと佇まいと心で現場にいた。事務所の後輩たち、めっちゃ焚きつけましたよ(笑)。『いやあ、さんちゃん良かったなあ!』って。16歳といえば、僕がこの仕事を始めた時ですけど、お芝居するうえであんなにじっと出来なかったですよ。もっとアピールしなきゃっていうのがあったから。本当に素晴らしかった」と語っている。
「本当に嬉しいです。撮影の昼食時、菅田さんと一緒にご飯を食べさせてもらったのですが、『仮面ライダーW』をやられていた頃の話をしてくれました。僕としては、同じ役を1年間も撮り続けるということがよく分からなかったんです。1年もあれば色々な経験が出来るので、仮面ライダーもやってみたいけれど、他の作品にもいろいろチャレンジしたいと思っていました。でも菅田さんが『1年間、同じ作品を撮るって素晴らしいものだ。それ自体が素晴らしい経験。1日1日がすべて大切なんだよ』って教えてくださったんです。その話を聞いてからは、『1年間同じ役を演じることを経験してみたい!』と思うようになりました」
また昨年は、「青のSP-学校内警察・嶋田隆平-」を皮切りに、「ここは今から倫理です。」「ひきこもり先生」「この初恋はフィクションです」など、ドラマ出演が相次いだ。今年は、日本テレビ系「ZIP!」で3月に放送される約8分間の朝ドラマ「サヨウナラのその前に」(全23回)出演に向け、第一関門を突破した。
これは、隕石衝突による地球最後の31日間を、月曜から金曜まで曜日ごとに視点を入れ替えて計5人の主人公がリレー形式で紡ぐ物語。月曜日の主役は、視聴者投票型オーディション「Hello New STAR」で決定する。山時は、約150人が参加した一次選考を通過し、最終候補5人から3人に絞られる二次選考も勝ち進んだことになる。山時を含む3人が、最終審査に臨む。
「去年は、途中から加わる形が多かったんです。作品の雰囲気を乱すことなく、展開を運んでいくキーマン役でとてもありがたい役どころ。でも、今年は最初から最後まで共演の皆さんやスタッフさんと一緒に作品を作るということをやってみたいんです。あとは体を動かすことが得意なので、アクションや時代劇などにも挑戦してみたいです」
赤面症だといって照れ笑いを浮かべる山時の素顔は初々しいが、「僕は昔から人がやっていないことをするのが好きなんです。この仕事は色々な経験をさせていただけるし、作品の中で色々な人物になれるので毎日毎日、本当に楽しくて仕方がありません」と真摯に話す姿からは凛々しさも感じる。作品で垣間見せる表情からは、16歳とは思えない覚悟が垣間見えることからも、今後の更なる飛躍を期待せずにはいられない新星だ。
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