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黒沢清監督が絶賛する「三度目の、正直」予告 正常と狂気の境目が、穏やかに崩れ始める

2021年12月20日 12:00

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黒沢清監督「普通の人々がただ普通に生きようとして直面する凄まじい苦悩と危機を、この映画は淡々と暴き立てる」
黒沢清監督「普通の人々がただ普通に生きようとして直面する凄まじい苦悩と危機を、この映画は淡々と暴き立てる」
(C)2021 NEOPA Inc.

黒沢清監督作「スパイの妻 劇場版」、濱口竜介監督作「ハッピーアワー」の共同脚本を手がけた野原位が監督デビューを果たした「三度目の、正直」の予告編と本ビジュアルがお披露目された。公開日は、2022年1月22日に決定した。

物語は、パートナーである宗一朗(田辺泰信)の連れ子・蘭がカナダに留学し、寂しさを抱えていた月島春(川村りら)と、公園で記憶を失くした青年(川村知)との出会いから始まる。過去に流産を経験している春は、その青年を神からの贈り物と信じ、今度こそ自らのそばで育てたいと願う。一方、春の弟・毅(小林勝行)は音楽活動を続けている。妻の美香子(出村弘美)は精神の不安を抱え、心療内科医である宗一朗の診察を受けながらも、4歳の子を育て、毅の創作を献身的に支えていた。それぞれの秘めた思いが、神戸の街を舞台に交錯する。川村ら多くのキャストが「ハッピーアワー」に続き出演し、製作チームとともに再び兵庫・神戸に結集。第34回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出された。

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予告編では、春が公園で倒れていた青年を家に連れて帰り、記憶を亡くした彼を“生人”(なると)と名付けるシーンが切り取られている。一方、毅と美香子と子どもたちの生活も映され、毅が体調を気にかけるものの、美香子は浮かない表情で佇んでいる。「ずっと、子どもが欲しかった」と寂しさを語る春の話を、「気持ち悪い」と遮る“生人”。「好きやで」と告げる毅に、「あんた誰?」と返す美香子。それぞれの家族の形を求めて生きる彼らの思いが錯綜し、正常と狂気の境目が、穏やかに崩れ始めるさまが映し出されている。

ビジュアルは、トレンチコートを着た春が、街の雑踏のなかで立ち尽くす印象的なカットを使用。上部には“生人”、下部には車中にいる毅と美香子の夫婦が配置され、「今度こそ、自分を生きる。」というキャッチコピーが添えられている。

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ドライブ・マイ・カー」が世界中の映画祭で高く評価されている濱口監督は、東京国際映画祭で本作を鑑賞し、映画祭のデイリーペーパー(10月31日付)で、「主演の川村りらさんの感情に心を鷲掴みにされてしまい、日本でここまでジョン・カサベテスに近い作品を完成させたことに嫉妬を禁じ得ませんでした」と賛辞を贈る。「スパイの妻 劇場版」で銀獅子賞(最優秀監督賞)を獲得した黒沢監督は、「地域コミュニティがとうにマボロシと化した地方都市で、普通の人々がただ普通に生きようとして直面する凄まじい苦悩と危機を、この映画は淡々と暴き立てる。何かが確実に崩壊している。しかし同時に、希望もそこにある」とコメントを寄せている。

三度目の、正直」は、22年1月22日から東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。

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