カンフー×ワイヤーアクション、バレットタイム… 「マトリックス」の衝撃&映画界に与えた影響
2021年11月12日 20:00

12月17日に日本公開を迎える「マトリックス」の新章「マトリックス レザレクションズ」。いまだ謎の多い本作の公開を前に、新章でもメガホンをとったラナ・ウォシャウスキー監督にフォーカスしつつ、改めて「マトリックス」が映画界に与えた影響を掘り下げていく。

「マトリックス」シリーズでメガホンをとったラナ&リリー・ウォシャウスキーは、監督としてデビューする以前は、木工用具店を営む傍らコミック制作を行っていた。マーベル・コミックスの原作にも携わり、リチャード・ドナー監督の「暗殺者」等で脚本を手掛けた後、脚本第3作「バウンド」で念願の監督デビュー。その後、「マトリックス」を手掛けることとなる。

しかし、ウォシャウスキーコンビがイメージしていた「マトリックス」は、複雑なストーリーや、スピードアップしたキャラクターの動きを知覚できるよう表現する「バレットタイム」などの斬新な視覚効果から、当初はハリウッドでなかなか理解されずにいた。そこに、ハリウッドのヒットメーカーであるプロデューサーのジョエル・シルバーが目をつけたことから、「バウンド」の400万ドルに対し、「マトリックス」では6000万ドルの予算を取り付けることに成功。「マトリックス」は、シリーズ累計での全世界興行収入が16億3300万ドル(約1800億円 ※Box Office Mojo調べ)にも及び、世界中でヒットを記録した。

ウォシャウスキーコンビは、「マトリックス」について「この脚本には個人的趣味を反映させましたが、一番は観客がスクリーンで見たこともないような映像のアクション映画を作り出そう、という思いで書いたんです」と語っている。
キャストは誰も経験のなかったカンフー、加えてワイヤーアクションの4カ月にも及ぶトレーニングを経て撮影された。モーフィアス役のローレンス・フィッシュバーンは「欧米の俳優の中で、このタイプのアクションを披露するのは我々が初めてじゃないかな。そんな貴重なチャンスを与えてもらったことに感謝しているよ」と、「マトリックス」のインタビュー内で明かしている。
当時のハリウッドのアクション映画では、スタントマンがキャストの代わりにアクションを務めるため、顔が見えにくい位置からの画で構成された映像になりがちだった。そこに香港映画では常識の、キャスト自身がアクションをするという点が加わった。カンフー×ワイヤーによるダイナミックかつナチュラルな格闘、そしてド派手な銃撃戦という、東西のいいとこどりをしたアクションシーンが誕生した。

第1作でも長期トレーニングとハードなアクションを求めたウォシャウスキーコンビだが、続編でもその要素は健全。「マトリックス リローデッド」では、通常1秒に24フレームで撮影するところ、130フレームで撮影したというシーンでのエピソードを、ネオ役のキアヌ・リーブスが当時のインタビューで語っている。「その中には、僕が刀から身をかわさなければならないシーンがあったんだ。24フレームでは分からなくとも、130フレームだとかなりハッキリと刀が近づかない内に避けるとバレてしまう。そうすると(ウォシャウスキー)監督たちは、『もっと待って、身をかわしてくれないか』って文句を言うんだ(笑)」。
そんなアクションシーンの撮影の過酷さは、リーブスが筋肉痛を和らげるために氷を入れたプールに漬かるほどだったという。こうしたハードなアクションの数々から成り立っている「マトリックス」。本シリーズのほか、多数のハリウッド大作でスタントやスタントコーディネーターを務めたチャド・エスタルスキが、リーブスのもう一つの代表的シリーズである「ジョン・ウィック」で初監督を務めたことにもつながっている。

全米に先駆けて日本公開される「マトリックス レザレクションズ」の予告編内では、ネオが銃弾を止めるシーンや、ヘリから発射されたミサイルの軌道を曲げて近くのヘリに直撃させるシーンのほか、第1作を彷彿とさせるモーフィアス(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)との組手など、アクションシーンが多く確認できる。

ネオがトリニティー(キャリー=アン・モス)と共にビルから飛び降りるシーンのほか、ジェシカ・ヘンウィック演じる新キャラが壁走りをしながら銃を撃ったり、ビルからビルへ宙返りをして飛び移ったりと、新章でのアクションの進化にも期待が高まる。
「マトリックス レザレクションズ」は、12月17日から全国公開。
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