小松菜奈「ムーンライト・シャドウ」で佐藤緋美が柊、臼田あさ美が麗! “月影現象”に導かれる予告編も初公開
2021年8月13日 07:00
小松菜奈と宮沢氷魚が共演し、吉本ばなな氏の初期の名作を映画化する「ムーンライト・シャドウ」に、佐藤緋美、臼田あさ美らが出演していることがわかった。俳優でありアーティストとしても活躍する佐藤は、主人公・さつき(小松)の恋人である等(宮沢)の弟・柊(ひいらぎ)、臼田はさつきの前に現れる不思議な女性・麗(うらら)を演じる。あわせて、コラボレーションソングに決定した小袋成彬の約1年9カ月ぶりとなる新曲「Parallax」が流れる予告編と、メインビジュアルも披露された。
原作は、吉本氏が「初めて他人に見せることを前提に書いた思い出深い小説」と語る、1988年に刊行された「キッチン」(新潮社刊)に収録された短編小説。映画版では「アケラット ロヒンギャの祈り」で第30回東京国際映画祭の最優秀監督賞に輝き、かねて原作のファンだったというエドモンド・ヨウ監督がメガホンをとった。愛する人を亡くしたさつきが、満月の夜の終わりに死者と再会できるという「月影現象」を通して、悲しみを乗り越えようとするさまを描く。
予告編は、「等はいつも、小さな鈴を肌身離さず持ち歩いていた。それは彼のそばを最後まで離れない運命となった」という、さつきの意味深な言葉でスタート。失くした鈴をきっかけに出会い、恋に落ちたさつきと等は、やがて柊とその恋人・ゆみことも意気投合し、4人の穏やかで幸せな日々が映し出される。しかし、ふたりの事故死を告げる柊からの電話で状況は一変し、深い悲しみに打ちひしがれ、生きる気力を失ったさつきが活写される。
そして「Parallax」がかかるとともに、麗に出会い、「月影現象」に導かれていくさつきと柊。さつきのなかで、等と過ごした愛しい記憶が湧き上がり、「もう、その音は、私の頭の中にしかなくて……」と涙をこぼす。映像の最後には、「どこかとどこかの歯車が、偶然噛み合ったら、何かが起こるのかも」という等の言葉がおさめられている。彼らは愛する人との別れをどう乗り越えるのか、「さよなら」の先にある「はじまり」がどのように描かれるのか――本編への期待が高まる。
メインビジュアルには、何かに思いを馳せているかのようなさつきと等が切り取られている。「ひとつのキャラバンが終わり、また次が始まる。」というキャッチコピーは、原作にも印象的に登場するさつきのセリフだ。
新たに出演が発表された佐藤演じる柊は、等とゆみこを同時に亡くし、兄の恋人であったさつきともに歩む難しい役どころ。ゆみこの死後、彼女のセーラー服を着て日々を過ごし、何かを感じようとする。原作でも非常にインパクトのあるキャラクターで、ファンの間でキャスティングに注目が集まっていた。
そんな柊役をオーディションで勝ち取った佐藤は、2018年に寺山修司原作の舞台「書を捨てよ町へ出よう」で主演デビュー後、「#ハンド全力」などにも出演し、「HIMI」としてのアーティスト活動でも注目を浴びている。佐藤は「まさかこの役をいただけるとは思っていなかったのでびっくりした。柊は僕自身と合致する部分が全くないので、正直すごく難しかったけれど、だからこそ挑戦してみたいと思った」と述懐する。印象的なもみあげとおかっぱの髪型も、「素の自分とは違う姿で演じたい」と自らヨウ監督に提案。ヨウ監督は起用理由を「オーディションで、独自のリズムとテンポによって出来た別世界に住んでいるような印象で、原作で描かれる柊にとても近いと感じた」といい、撮影現場では「自由奔放で、刺激的なエネルギーを発していた」と明かした。
喪失感を抱えるさつきと柊の前に現れ、ふたりを「月影現象」へと導いていく麗役は、「南瓜とマヨネーズ」「愚行録」の臼田。「とても不思議なキャラクターで、答えがないと感じた。『監督はこの作品をどんな風に撮るんだろう?』と、予測できない部分に興味が湧いた」と振り返っている。さらにコカ・コーラ、アディダスなどのイメージモデルを務める中原ナナがゆみこ役で女優デビュー。ほか、吉倉あおいがさつきの親友・蛍、中野誠也がさつきと柊と麗をめぐり会わせる充に扮し、原作にはないオリジナルのキャラクターを体現する。
「ムーンライト・シャドウ」は、9月10日に全国公開。