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【「サマーフィルムにのって」評論】伊藤万理華が新境地を切り開いた映画愛溢れる爽快な新時代の青春映画

2021年8月8日 23:00

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「サマーフィルムにのって」
「サマーフィルムにのって」
(C)2021「サマーフィルムにのって」製作委員会

今年は6月に「夏への扉 キミのいる未来へ」、7月に「東京リベンジャーズ」が公開され、いわゆるタイムトラベルものが続き、その流れの中で8月6日より公開の「サマーフィルムにのって」は出色の出来ばえとなっている。映画作り、時代劇へのリスペクト、高校生の恋と友情、そしてSFといった要素を見事にシンクロさせ、映画愛に溢れた痛快で、爽快な青春映画が誕生した。

ドラマやCM、ミュージックビデオなどで活動する松本壮史が長編映画の初メガホンをとり、数々の映像作品を共に作り上げてきた劇団「ロロ」主宰の三浦直之とともに脚本も手掛けている。まず主人公が時代劇オタクの女子高生という設定が秀逸なのだが、彼女が敬愛する勝新太郎演じる「座頭市」などの名シーンや当時のポスターなどが映し出されると、映画好きの心はくすぐられてしまう。

さらに本映画内(劇中)で彼女が名作へのリスペクトを込めて作る時代劇と対比して、彼女が所属する映画部のライバルらによってキラキラ恋愛映画も同時に作られていくという二重三重の映画内映画の構造、映画作りあるあるが散りばめられ面白い。時代劇作りに集まる仲間が“七人”というのも心憎いではないか。

そして、本作を新時代の青春映画として輝かせているのは、主人公の女子高生ハダシを演じた伊藤万理華の魅力だ。元「乃木坂46」のアイドルで、卒業後は女優としてドラマ、映画、舞台に出演し、きらりと光る存在感を放ってきた。本作では、ハダシを演じるために猫背でがに股、白目まで披露して勝新を真似た殺陣にも挑戦するなど、小柄な彼女の独特な動きやセリフ回しが物語に不思議な説得力、躍動感を与え、役者としての新境地を切り開いている。加えて、金子大地河合優実、祷キララ、甲田まひる、ゆうたろうといった新世代の俳優たちとの息の合った掛け合いも作品を瑞々しいものにしている。

撮影のメインは栃木県足利市内の各所。同地では映画「ちはやふる」「湯を沸かすほどの熱い愛」「今日から俺は!!劇場版」「踊ってミタ」、ドラマ「水球ヤンキース」「テセウスの船」など多くの作品が撮影されており、学校やその屋上、渡良瀬川の土手、神社など、各作品のファンにとっては聖地化している。本作には筆者にとっても思い出深い場所が多く出てくる。前述の話につなげると、この撮影地であることも本作の構造をさらに重層化させているのだ。

もちろん映画作りや時代劇、撮影地に興味がなくても、この作品は充分楽しむことができる。ハダシが「映画って、スクリーンを通して今と過去をつないでくれるんだと思う」と言うが、高校生活最後の夏を“傑作”にしようとする彼女たちの姿に、自分の青春時代の恋や友情、持っていた情熱を思い出して、笑い、胸が熱くなるだろう。注目バンドCody・Lee(李)による主題歌「異星人の熱帯夜」もエモーショナルに響く。

和田隆

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