【コラム/細野真宏の試写室日記】「ワイルド・スピード ジェットブレイク」。本作は“ジェット”でどこまで行くのか?
2021年8月6日 10:00
映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
まず、この「ワイルド・スピード」シリーズは、日本も含めて世界中で大ヒットをしていて、「ユニバーサル・ピクチャーズ作品で最も稼いでいるシリーズ」になっています。
それは、そもそも「ワイルド・スピード ジェットブレイク」で9本目となる(スピンオフは除く)ことに加えて、すでに20年という月日が流れていることも関係しています。
そのため、正直、本作の最大の痛さがあるとすると、「登場人物」が増えている面があります。
そこで、「ワイルド・スピード」シリーズの20年の歴史をざっくりと確認していきましょう。
この「ワイルド・スピード」シリーズは、実は当初、“違法なストリート・レース”を題材にした3部作という構想だったのです。
2001年に第1作目「ワイルド・スピード」が公開され、日本での興行収入は4億5000万円、世界的な評価ではRotten Tomatoesだと批評家は54%とやや厳しく、一般層は69%と何とか及第点、といった感じでした。
続く2003年の第2作目「ワイルド・スピードX2」は、日本での興行収入が7億円と少し伸びましたが、Rotten Tomatoesだと批評家は36%、一般層は50%と、かなり厳しくなりました。
そして、2006年の第3作目は、“車なら日本は外せない”ということで、日本が舞台の「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」。第3作目では妻夫木聡や北川景子も出演し、日本での興行収入は10億円と少し伸びましたが、Rotten Tomatoesだと批評家は38%、一般層は69%と、多くの日本人から見ると「う~ん」な出来でしたが、評価は僅かに盛り返しています。(とは言え、世界興行収入は、シリーズで最悪な結果となっています)
また、この3作品を見ると分かりますが、実は主役のヴィン・ディーゼルが第2作目で脚本に難色を示して出演していなかったりと、製作も難航していたのです。
その一方で、ユニバーサル・ピクチャーズはヴィン・ディーゼルにこだわり続け、第3作目では「カメオ出演」に漕ぎ着けています。
同時に、他の大作映画が軒並みコケ続けてしまったヴィン・ディーゼル。彼にも心境の変化があったようで、ユニバーサル・ピクチャーズと合意に至り、「ワイルド・スピード」シリーズでの「主役ヴィン・ディーゼルの復帰」が決定。再始動を果たしたのです!
第4作目となる2009年「ワイルド・スピード MAX」では、ヴィン・ディーゼルは「主演」に加え「製作」としても参加。実に8年ぶりに、ドミニクが主人公となりました。
完成披露試写会で見る前の私の印象は、「もう終わった作品なのに」とテンションが低かったです。ただ、試写中には「アレ、何が起こった?」と驚くくらい出来は良くなっていて、伊達に日本のサブタイトルが「MAX」となっているわけではないな、と思いました。【とは言え、未だに「MAX」の意味は分かりませんが…(笑)】
ただ、日本での興行収入は9億5000万円と前作の痛手を引きずっています。そして、Rotten Tomatoesだと批評家は28%、一般層は67%と、批評家の評価は厳しいものでしたが、やはり「ワイルド・スピード MAX」で世界興行収入は一気にアップしています!
この第4作目以降の大きな変化は、“違法なストリート・レース”がオマケ要素のようになり、本格的な「カーアクション映画」となっていることです。
2011年の第5作目「ワイルド・スピード MEGA MAX」では、日本の興行収入は14.4億円と伸びています。Rotten Tomatoesだと批評家は77%、一般層は83%と作品の評価も上がっていき、世界興行収入が倍近くにまで上がっています。
作品の出来も、日本のサブタイトルが「MAX」からレベルアップして「MEGA MAX」となっているだけのことはありました。
例えば、巨大金庫の強奪のシーンでは、リハーサルの段階で本物の車を190台規模で破壊していくという力の入れ様です。
さらに、2013年の第6作目「ワイルド・スピード EURO MISSION」では、日本での興行収入が20.2億円と、ようやく20億円コンテンツに。Rotten Tomatoesだと批評家は71%、一般層は84%と作品の評価は安定し、世界興行収入はさらに上がっています。
ちなみに、この「EURO MISSION」では、「車VS飛行機」といったところまで「カーアクション映画」が加速しています。
ところが、2015年の第7作目「ワイルド・スピード SKY MISSION」で、大きな転機が訪れます。
このシリーズをヴィン・ディーゼルと共に引っ張ってきたポール・ウォーカー(第1作目、第2作目の主役、第4作目からも)が撮影期間中、プライベートで自動車事故に巻き込まれて亡くなってしまったのです…。
作品の完成さえ危ぶまれましたが、何とかポール・ウォーカーの家族の協力もあり無事に完成したのです。
この「SKY MISSION」では、車が中東の超高層ビルから超高層ビルへとダイブを繰り返すなど、まさに「SKY MISSION」でした。
「ワイルド・スピード SKY MISSION」の完成度はシリーズを通して圧倒的で、個人的にもシリーズで唯一Blu-rayを買っている作品です。
日本での興行収入は35.4億円と跳ね上がり、Rotten Tomatoesだと批評家は82%、一般層は82%と批評家の評価も高く、「世界興行収入はシリーズ最高」を記録しています!
そして、2017年の第8作目「ワイルド・スピード ICE BREAK」では、シャーリーズ・セロンが演じる、かなりの強敵である“サイバー攻撃を仕掛ける頭脳派”のサイファーが登場します。
日本での興行収入は40.5億円と、前作の好評によって40億円コンテンツにまでなっています。この作品は、脚本にやや大きめなツッコミどころがあり、Rotten Tomatoesだと批評家は67%、一般層は72%と作品の評価は下がってしまっています。
この「ICE BREAK」でもカーアクションは健在で、アイスランドの氷湖で「車VS原子力潜水艦」といったシチュエーションまで描いています。
では、これまでの内容を踏まえて、2021年公開の第9作目「ワイルド・スピード ジェットブレイク」について考察していきましょう。
まず、このシリーズは、いつまで続くのか、ですが、実は「ゴール」は決まっていて、次の第10作目がラストとなるようです(ただし、前・後編の2本に分かれます)。
そのため、「車VS飛行機」「車VS原子力潜水艦」など、もうあり得ないくらいまでの設定を描いてきた本シリーズは、どこに舞台を移すのでしょうか。これは今のところ、おそらく「宇宙では?」と予想されています。
実際に、本作でその序章のようなシーンもあります。
本作では、凄いジェットエンジンを作っている“車いじりの好きな3人組”が登場します。彼らは(きっと、ほぼ誰も覚えていない)第3作目「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」の主人公を含むメンバーなのです。
これは知らなくても問題ないですが、あくまで「マメ知識」として知っているといいのかもしれません。
また、第3作目「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」で登場し、第6作目「ワイルド・スピード EURO MISSION」のラストに東京で事故死したように見えたハンが、本作で復帰します。
「生きているのかも」と、レティら女子2人組が日本に調査しに行きます。
ただ、残念ながら、見れば分かりますが、ロケ地は日本ではありません。おそらく、コスト的にもセットが組まれたようです。
とは言え、日本語の看板や言葉が行き交うのでギリギリ許容範囲内でしょう。
少しだけ気になったのは、レティら2人は屋台でラーメンを頼みますが、話に夢中なのかレティは全く食べてくれません。相方も麺は食べようとせず、トッピングのようなものを少し口に入れるくらいです。
まぁセットの屋台なので、そんなものでしょうか。
そんなことよりも、ハンに関連して新キャラクターの「エル」という女性がメンバーに加わります。
この女性を私は知らなかったのですが、ニュージーランド生まれ東京育ちの澤井杏奈(アンナ・サワイ)という方。2013年~2018年の間、日本のアーティストグループのメンバーとして日本全国をツアーで回っていたようです。
英語や立ち振る舞いを見ても、「また、なんちゃって日本人か」と思っていましたが、どうやらそうではなさそうなので今後に期待がかかります。
さて、本作は冒頭で登場する「ユニバーサル・ピクチャーズ」のロゴが“古いもの”になっています。
それは、“昔”の主人公ドミニクの「父親のレースシーン」から始まることに合わせてのようです。
そして、若いころのドミニクに加えて、ジェイコブという弟も登場します。
さらに、その弟ジェイコブが大人になって、本作の「敵」として再登場するのです。
今回は、このような時間軸での話に加え、「これまでの歴史」と「新キャラ」と「再登場キャラ」などが入り混じります。
そのため、ちょっとだけ混乱が生じるのかもしれません。しかし、基本は「カーアクション映画」で、その軸はしっかりしています!
本物の「カーアクション」にこだわった本シリーズでは、これまでの9作品で1万2000台以上の車を使用し、そのうち約2500台も破壊しています。
さらに、その約2500台のうち、本作1本だけで500台以上もの車が破壊されているのです!
そして、「ダークナイト」の“あのシーン”を超えるような独自の「巨大装甲車」を実際に4カ月かけて作ってしまうなど、気合いが入りまくっています。
本作はアメリカなどでは公開中で、Rotten Tomatoesだと批評家は59%、一般層は82%となっていて、批評家層はやや厳しめで、一般層からは好評のようです。(評価はすべて2021年8月4日時点)
また、本作を考える上で押さえておきたいのは、監督がジャスティン・リンに戻っている点です。
ジャスティン・リンは、第3作目と(シリーズを復活させた)第4作目~第6作目を監督していて、本作で復帰し、ラストの前・後編の2本も手掛ける予定なのです。
本作での“かく乱要因”としては、ドウェイン・ジョンソンが登場しない、ということでしょうか。
これは真偽不明なため断言はできませんが、ヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソンがケンカをしているらしく、そのため、スピンオフの「ワイルド・スピード スーパーコンボ」が作られ2019年に公開されています。
ちなみに、このスピンオフの日本での興行収入は30.6億円でした。
以上の要素を踏まえて考えると、本作は興行収入30億円は十分に狙えるはずです。
新型コロナウイルスや、ケンカ(?)によるスピンオフなどがなく、スムーズに第9作目となる本作が作られていたのなら、右肩上がりだったため興行収入40億円台もあり得たのかもしれません。
なお、第8作目は、名作・第7作目の特殊要因によるもの、と捉えると、第6作目でようやく興行収入20億円に達したので、「本来的なポテンシャルは20億円台」と考えることも可能です。
とは言え、スピンオフでさえ興行収入30億円に行けたのですから、やはりまずは興行収入30億円が目標興行収入だと思われます。
シリーズ物で流れが途切れてしまった点と、「車社会の地方でも強いシリーズ」ですが新型コロナウイルスの再拡大により「本シリーズで人気の高いレイトショー」がどんどん減っている点は気になるマイナス要素です。
いずれにしても今年の現時点でハリウッド映画は、まだ興行収入20億円を突破できていないので、日本でも人気のある本シリーズ作が3連休とお盆期間を使ってジェット級のスタートをきれるのか大いに注目されます。
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