佐々部清監督が果たせなかった被災地での映画作りに思いを込め…「歩きはじめる言葉たち」予告編
2021年8月5日 10:00
東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市で、返事のこない手紙を受け取り続ける「漂流ポスト」をテーマにしたドキュメンタリー映画「歩きはじめる言葉たち 漂流ポスト3・11をたずねて」の予告編が公開された。
震災ボランティアを経験した野村展代監督が、大切な人を亡くし、悲しみを抱えた人々の“心の拠り所”として存在する「漂流ポスト」の活動に感銘を受け、2016年から取材を続け、映画化を決意。しかし資金繰りや内容の折り合いが上手くいかず、監督する予定であった故佐々部清さんと話し合い、企画を一度中断。その後、佐々部さんのサポートも受けながらドキュメンタリー映画として再出発が決まり、野村プロデューサーが初監督として再び企画をスタートした矢先、佐々部さんが急逝した。
映画は、野村監督が、一人静かに手紙を受け取り続ける赤川勇治さんと被災地の人々の心に寄り添い、「亡き人へ手紙を送る」ことの真の姿と、佐々部さんが被災地で撮ろうとしていたものを見つめるドキュメンタリー。東日本大震災から10年。岩手県陸前高田市にひっそりと佇む森の小舎(もりのこや)に、大切な人を亡くし、悲しみを抱えた人々からの手紙を受け取り続ける「漂流ポスト3.11」がある。そこには2020年3月に急逝した佐々部さんに想いを馳せる俳優升毅(ます・たけし)の姿。「監督のよーいスタートがないのにカメラが回っているのが不思議な気がする…」。升は喪失感を抱えたまま、佐々部氏ゆかりの地や親しかった人々を訪ねる旅に出る。
佐々部さんの盟友・升、撮影監督・早坂伸氏が共同監督として参加し、佐々部組の伊嵜充則、三浦貴大 比嘉愛未、中村優一らも出演。岩手、鹿児島、そして山口への旅路を瑞々しい映像で映し出す。
予告編を製作した野村監督は「升さんが旅をする姿を伝えたいと思いました。切ない旅路ですが、涙とともに綺麗な風景もこの作品の表情だと感じたからです。岩手の漂流ポスト、美しい自然、被災地としての姿。山口では佐々部監督の高校時代からの親友、西村プロデューサーに『チルソクの夏』のロケ地を案内して頂くカットを。また、なじみのスナックで泣き、笑い…。庶民派の佐々部さんならではのカットです。そして鹿児島での三浦貴大さん、比嘉愛未さん、中村優一さん。若い佐々部組の方々が前を向いて進む姿が清々しかったので。亡き人に想いを届けるその先には…という希望を込めて作りました」とコメントを寄せている。
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